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八月二十一日 壱【一方通行編】

「なるほど。面倒なことになってるみたいじゃん」

コーヒーカップを口につけて黄泉川は呟く。
既に時間は夜中。
雲雀と白井は既に眠っている。
起きているのは黄泉川だけだった。

黄泉川が白井を掻っ攫った後、家に着く頃には落ち着いた白井と3人で焼肉をしながら経緯を聞いた。
白井が途中途中ではぐらかすので黄泉川は具体的な内容はさほど聞けなかったが、どうやら綾峰がまた何やら1人でやっているらしい。
それについてはいつもの事だし、綾峰の事だから何かしら理由があるのは黄泉川にはわかっている。
伊達に10年間も面倒を見ていない。
綾峰が人の命を軽んじるヤツで無い事を自信を持てるくらいには信頼はある。
でも、と黄泉川は呟くと。

「だからと言って女泣かすのはダメじゃん」

コーヒーを飲みきると、カップを流しに置き水を入れる。
そして、私もシャワーでも浴びるかと考え、黄泉川は風呂場に向かった。
洗面所で服を脱ぎながら、黄泉川はふと、笑いながら呟いた。

「あいつも女を泣かすくらいには成長したのかねぇ」
とある科学の事件体質(トラブルメーカー)第53話







「メンドクセー」

いつもの口癖を呟きながら綾峰は夕焼けの紅に染まる空をどこかの建物の屋上から眺めていた。
オレンジ色の雲が流れる空の下、今日も人々が日常を過ごしていた。
その裏で、どれだけの数の犠牲がうまれているかも知らずに。
風が吹き、綾峰は溜め息を吐いて現実に目を向けた。
視線の先には、路地裏。
暗い影の中で複数の少女と1人の少年が向き合っている。
『妹達(シスターズ)』と上条当麻だった。
1人のミサカが抱える袋には、本人達がミサカ一〇〇三一号だと思っている物体が入っている。
本人は今綾峰の横で気絶しているが、ミサカ達も上条達もそれに気がついてはいない。
幾つかの問答の後、ミサカ達が去る。
しばらく呆然と路地に立っていた上条も黒猫を持ちながらどこかへ歩いて行った。
きっと御坂を探して常盤台中学学生寮まで向かったのだろう。

「長かったが、これで終わりか」

綾峰は仮面を外すと、笑みを浮かべていた。
全てが綾峰の予定通りだった。
100人を越える『妹達』を救い、かつそれでいて原作通りに話を進めなければならない。
そのためにこっそりと『妹達』を救うという、面倒な事をしながら実験を成功しているように思わせていたのだ。
しかし先ほどの上条と『妹達』の会話によって原作にも影響は出ていないことが綾峰にはわかった。
このまま行けば全てが原作のまま終わるだろうと、綾峰は安堵の溜め息を漏らす。
後はそれを見守るだけ。
幾つか不安要素もあるが、それらも全て問題ない状態のはずだ。
そこまで考えて、綾峰は足下に転がっているミサカを担ぐと最後の届け物をしに病院へと向かった。

こうして、原作に沿っているようで沿っていない21日が始まった。








その日、御坂は第二三学区へと来ていた。
目的は只1つ。

『樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)』の破壊。

実験が始まったのはこの世界最大の演算機が原因。
ならば、この演算機を操って『どれだけ『妹達(シスターズ)』を殺しても一方通行(アクセラレータ)はレベル6に届かない』という演算を出させればいい。
そう考えたからこそ、第二三学区へ来たのだが。
『樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)』の演算結果の全てを受け取る施設である情報送受信センターの一室で御坂はあり得ないものを見てしまった。
それは、

「『樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)』の……大…破?」

そう書かれた報告書だった。
慌てて『樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)』との通信記録を見るが、此処数日の間稼働していた形跡はない。
機材は動いているものの人1人いないもぬけのからの状態の学園都市最重要施設に御坂は目の前の報告書を受け入れざるを得なかった。
そしてそれは御坂の最後の切り札(ジョーカー)が崩された事実だった。
つまり、御坂にはもう『実験』を止める手段はない。
今度こそ追いつめられた御坂は、

「あは、あははは…あはは」

力ない笑みを浮かべていた。
そして、

「そう言えば、この学区にも施設の1つがあったわよね…」

光を無くした目でどこかへと立ち去った。







路地裏の中で日常とはかけ離れた音が響いていた。

「が……っ!?」

少女が体を貫かれる様な衝撃によって吹き飛ばされる。
ごろごろと転がる少女を打ち抜いた凶器は少女自身の放った雷撃だった。
ミサカは震える唇でどうにか言葉を紡ぐ。

「反、射……!?」

ぴくぴくと体を震わせるミサカの問いに、ミサカの目の前の闇から浮かび上がった白濁の笑みが答える。

「いや残念。そいつも合ってンだけど俺の本質とは違うンだよねェ!」

ミサカはゆっくりと近づいてくる白い少年に距離を置こうとするも、先ほどの雷撃で痺れた体は言う事を聞かない。

「答えは『向き(ベクトル)』変換でしたァ!運動量、熱量、電気量。あらゆる『向き』は俺の皮膚に触れただけで変更可能って訳。デフォじゃ『反射』に設定してあるけどなァ!」

あまりにも根本からかけ離れた能力を持つ少年にミサカは呆然となる。
能力にもある程度まで大別できる種類と言うものが存在する。

ミサカも持つ『発電能力』、『発火能力』などの自然操作系。
空間を別次元から移動する『空間能力』系。
人の精神部分を操る『精神操作』系。
どれも一般人からしたら恐ろしい能力だ。
だが、そのほとんどが人間にとって『武器で太刀打ちできる程度の能力』にすぎない。
つまるところ、武器にすら劣るのが大抵の能力である。
レベル3のミサカだって電撃を使えば近くにいる人間を行動不能にできるだろう。
だが、もし遥か遠く、感知すらできない遠い場所から狙撃されたら?
ミサカにその銃弾を止める術はない。
いや、そんなものを止められる能力者なんてこの学園都市にはほとんど存在しない。
だが、このレベル5は違う。
あらゆる『向き』を操るこの男の前では銃弾など軽々とされる。
ということは、銃で無理なら機関銃も、戦車も戦闘機も戦艦空母も最悪核兵器ですら、このレベル5に触れる事すら叶わない。
つまるところ、全人類が死滅しても関係なくこの少年は立って嗤っていられるという事だった。
どれだけこちらが攻撃しても無意味。
あちらからの攻撃だけが通じる。

まるで、一方通行じゃないか。

ミサカの思考を他所にレベル5『一方通行(アクセラレータ)』はミサカの横にしゃがみこんだ。

「あらゆる『向き』を制御する超能力(レベル5)」

少年(カイブツ)は嗤いながら少女の肩に手を伸ばす。

「こいつを使うとさァ、こんな事も出来るんだぜ?」

そしてミサカの肩の傷に手を入れて少年は言った。

「さァてそれじゃ敗者復活戦の問題です」

少年(カイブツ)は激痛に顔を歪める少女を嘲るように言葉を紡ぐ。

「俺は今『血』に触れている。血の流れに触れている。さてこの向きを、この血の『向き』を逆流させると人間の体はどうなっちまうでしょうかァ?正解者には安らかな眠りを♪」






「やだっ、やっ…やめ…」

御坂の呟きがモニターの前で漏れる。
御坂の目の前のモニター、そこでは第一〇〇三一次実験が映し出されていた。
モニターの中でびくびくと震えていたミサカは一瞬動きを止めた直後、

全身から血を噴き出して止まった。

それと同時にモニターにノイズが走り砂嵐しか映し出さなくなった。
がくりと項垂れる御坂の周りは廃墟となった実験施設が広がっていた。
先ほどまで自暴自棄になった御坂が暴れ回っていた後だった。
既に研究者達は逃げ出しており残っているのは御坂だけだ。

ぽとり、と透明な液体が壊れてショートした機材の上にこぼれた。
無人になった研究施設に味方のいない孤独な少女の嗚咽が響いた。








後書き!
短いですが、今回はこれくらいで。
お久しぶりです。
皆様、わたくし、スザクは戻って参りました~!!
え?どうでもいいからさっさと続きを書け?
すいませんorz
実はですね、自宅のパソコンからこちらのサイトへの更新などのアクセスができない状態でして、今も外のインターネット環境を使ってどうにか更新している状態なのです。
なので、更新やコメント返しがこれからも遅れるかもしれませんのでどうかご容赦の程をお願いします。
さて、今回ですが、ついに21日が始まりました。
白井の葛藤や御坂を救う上条さんについては次回当たりにお見せしようと思います。
それと帝督達『スクール』の動きについても次回かな。
そして綾峰が実験場でどんな事をするかも次回かな?

ん?なんか次回のハードルがどんどんあがっている?
ま、なんとかなるさーww

それでは、また次回!  ノシ







え?■■?ああ、ひまがみさんですね?
それも次回当たりに忘れてなかったら書こうかなw(←忘れるフラグですね、わかり(ry

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