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八月十五日 肆【一方通行編】

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
咆哮だった。
なりふりなんて構ってられなかった。
アイツは殺した。
アイツは潰した。
妹を、殺した。
ワタシノ妹ヲ殺シタ。
             ?!                  !!    !
          !!!              !?       !!
あまりのショックに思考が止まる。
心の底の横っ面を殴られたかのように、どうするなんて考えられない。
考えるという理性が働かない。
相手が誰なんてわからない。
自分が誰なんてこともわからない。
思考が止まり、理性が消え、感情すらまっさらに吹き飛ぶ。
ただ、走る。
目の前の相手にとにかくぶつけることしかできない。
それしか思いつかない。
だから、これはある意味の暴走。
今まで感じた事のない、最大の暴走。

御坂美琴という『人間』の暴走だった。










とある科学の事件体質(トラブルメーカー)第48話










常盤台中学学生寮の二〇八号室に白井が帰って来たのは夜の8時くらいだった。

「やっと終わりましたわ~」

へろへろ、と言った感じで疲れきった体をベッドに投げ込んだ白井は、制服のしわも気にせずそのまま寝入りそうだった。
朝から風紀委員の夏期公募に駆り出されて、使えない上司達のせいで…本当に、使えない上司達のせいで仕事が非常に手間取ってしまったのだ。(大事な事なんで2k(ry)
書類が尋常じゃないくらいに溜まってたのもあったが、その中に夏期公募に関する書類が複数あり、内容の確認や更なる資料の作成など緊急の仕事が増えたのだ。
朝一番から戦々恐々となった第一七七支部で、白井は決意した。

「ふぎ、会う時はどう叱ってあげましょうか…」

ベッドの上で寝ぼけ眼のままそんなことを呟く白井はどこか幸せそうに見えた。
そこに、どこから現れたのか、黒い動物が現れる。
トカゲのような頭部に小型犬のような体躯を持つ、その動物は入り口の床からのそのそと歩き、白井のベッドの脇に移動すると、『空間移動』したかのようにベッドの上に現れた。

「きゅい」

クロは白井に呼びかけるように鳴き声をあげる。

「すー、すー」

寝息を立てる白井は気づかない。

「きゅい」

もう一度、鳴き声をあげるが、

「すーすー」

よほど疲れているのかリアクションはない。
鳴き声で起こす事が不可能だと理解したのか、次にクロは白井の顔をぺろぺろと舐める。

「ん。お姉さま~」

「きゅいっ!?」

寝ぼけながらクロを枕ごと抱きしめる白井にクロは慌ててベッドに逃げる。

「きゅーいー!!」

クロは怒ったのか、白井の頭の上に移動すると、白井の耳に口を近づけ。
かぷ

「ひゃん!!」

艶かしい叫び声が二〇八号室から響いた。









とある電話ボックスに御坂はいた。
初めにミサカと会った際にパスを確認するという事で言われた文字の羅列の意味を知りたかった。
そのために暗号等に詳しい知り合いに電話をかける事にした。

「初春さん!夜分にごめんなさい。唐突で悪いんだけど、『ZXC741ASD8521QWE963'』って何の事か分かる?」

『へ?』

御坂が実験のことを知るのはこのすぐ後のことだった。







路地裏を駆け巡った2人はどうにか表の通りまで逃げることに成功した。

「あれ?というかあいつ追ってこないわね…ま、いっか」

背後の路地を見ながら麦野が呟く。

「…どうするの?」

麦野の横で尋ねるのは滝壺だった。
尋ねているのは第二位についてだ。
先ほどの会話からどうやら第二位が『多重能力者』に関する重大な情報を手に入れているのはわかった。
だがその情報も、第二位がこちらに敵意むき出しの今の状態では手に入れる事は難しいだろう。

「第二位なんて関係ないわ。とにかく『多重能力者』さえぶっ潰せればそれで良いのよ」

「……そう」

麦野の悪い癖が出た、と滝壺はため息を吐いた。
麦野はノーミスクリア以外に興味はない。
そういう『人間』なのだ。
完璧以外の結果は気に入らない。
敵は殲滅。
己は無傷。
そうでなければこのレベル5は納得しない。
納得しないから、ノーミスクリアできないなら、それ以外の結果を望み始める。
つまり今の麦野は、
『仕事を完遂する』から『多重能力者を潰す』という目的に入れ替わってしまっているのだ。
それをふまえた上で滝壺は尋ねる。

「でも具体的な居場所が分からなければ何もできない」

「第二位の野郎が知ってんだからアイツに聞きましょ?」

「どうやって?」

滝壺は麦野の言葉に訝しげな表情になる。
そもそもそれができないからどうしようかと悩んでいるのだ。

「簡単よ。ああ、ちょっと下部組織のやつら呼んでくれる?」

その時滝壺には麦野の笑みにまるで悪魔に取り付かれたようなそんな狂気を孕んだ美しさが見えた気がした。







「……何よ、これ」

御坂はあまりの驚愕に口が塞がらなかった。
汗ばむ手に握られた端末には先ほど初春に手伝ってもらった結果が表示されていた。

『「妹達(シスターズ)」を運用した絶対能力者(レベル6)への進化法』

学園都市には7人の超能力者(レベル5)が存在するが、『樹形図の設計者(ツリーダイヤグラム)』の予測演算の結果、まだ見ぬ絶対能力に辿り着けるのはたった1名のみと判明した。
この被験者に通常の『時間割(カリキュラム)』を施した場合、絶対能力に到達するには250年もの歳月を要する。
我々はこの『250年法』を保留とし実戦による能力の成長促進を検討した。
特定の戦場を用意し、シナリオ通りに戦闘を進めることで成長の方向性を操作する。
予測演算の結果、『超電磁砲(御坂美琴)』を128回殺害する事で絶対能力者に進化すると判明した。
しかし『超電磁砲』を複数確保するのは不可能であるため、過去に凍結された『量産型能力者計画(レディオノイズ)』の『妹達(シスターズ)』を流用して、これに代える事とする。
武装した『妹達』を大量に投入することで性能差を埋める事とし、2万体の『妹達』と戦闘シナリオをもって絶対能力者(レベル6)への進化(シフト)を達成する。
これを『絶対能力進化(レベル6シフト)』と位置づける事とする。



御坂はあまりの事実に呆然となる。
その口はぱくぱくと開閉され、目の前の現実が信じられないようだった。

「アハハ…悪フザケにも程があるわ」

明るい口調に対し、その声色は震え、動揺の色は隠せていない。

「私を殺すとか、代わりにクローンを使うとか、絶対能力者(レベル6)とか…」

御坂の視線が一点に向かう。

「こんな計画実現できるわけが…」

第9982実験
開始時刻
8月15日 21:00
絶対座標
X-162258 Y-415687


『…いえ、さようなら。お姉さま』


御坂の脳裏を妹の声が過る。
この瞬間、御坂は”さよなら”の意味に気づき、確信した。
そして御坂は近くにあった時計を見つけると既に9時を過ぎていることを知り、

「もうっ」

駆け出した。









「どうしたんですの?クロ」

白井は目を覚ますと、起き上がって耳をさすりながら尋ねた。
黒いペットは白井の腰の辺りに頭をすりつけると甘えてくる。

「きゅい」

そんな他愛無い様子に白井は苦笑すると、クロの頭をなでた。

「それにしても私も…また綾峰さんに撫で撫でしてもらいた……///」

自分で言って勝手に真っ赤になる白井だった。

「きゅいー」

ふと、白井はクロの鳴き声が弱っているように感じた。

「どこか体調でも悪いんですの?」

「きゅ~い~」

(体調が悪いなら、動物病院に…あら?でもクロって普通の動物なんですの?)

首を傾げる白井の横で、クロが苦しそうに口から何かを吐き出そうとしとしていた。
それに気がついた白井はクロの口から僅かに出て来た物を触り、金属であることに気がついた。

「クロ、あなたどこかで拾い食いしましたのね?」

「きゅ~」

白井はクロの口に入ってる物を掴み、それを引き抜こうとする。

「きゅ~」

苦しそうにするクロに、白井は罪の意識にかられるが、クロのためにもここは手を止めることはできなかった。
そして2人の奮闘の結果、クロの中から金属質の何かを引きずり出すことに成功した。
白井は反動で後頭部からベッドにダイブしてしまう。

「きゅい~♪」

苦しいのが無くなったのか嬉しそうに駆け回るクロの横で白井は頭を押さえながら、手に持っていた物を見た。
それは、髪留めだった。

「え?」

それは、ミサカの髪留めだった。
瞬間、白井は思い出す。
8月11日の出来事を。

「あ、ああ、ああああああああああああああああああああああああああああああああ」

その叫びは絶望だったのか、驚愕だったのか、
それとも、この記憶を封じた綾峰への怒りだったのか。

「きゅい?」

クロは突然感じた”雨”に首を傾げる。
上を見ると、黒子の目から雨が降っていた。

「きゅい?」











「邪魔しないでよ!!」

御坂の悲痛な声が実験場に響き渡る。
地雷によってむき出しになった地面、遥か上空から叩き付けられてぼろぼろになった電車だったもの、ひしゃげたレールの数々。
それらが散らばるその中心に、3人の人影があった。
1つは白く、赤い目をした一方通行(アクセラレータ)。
1つは茶髪に、コインを持った右手を一方通行に向けている御坂美琴。
最後は黒く、御坂美琴の右手を押さえた綾峰唯鷹。

「止メテオケ、御坂。アレニハ、オ前デモ勝テナイ」

そう言うと、綾峰は御坂の持っていたコインを奪い。
一方通行に『超電磁砲』を放った。

「なっ!?」

驚く御坂の前で、光と轟音と共に吹き飛んだのは、綾峰だった。

「え?嘘…」

衝撃によって吹き飛ばされた綾峰はコンテナにめり込んでいた。

「いきなり現れていきなり俺に攻撃ってェのは自殺願望者って奴ですかァ?しかも俺の能力を知ってるみたいだったし。こりゃ確定かなァ?」

「あんたの能力?」

「俺の能力は『一方通行(アクセラレータ)』。あらゆるベクトルを操る能力者ってェわけだ。だからお前のあらゆる攻撃を反射するし、俺はお前を攻撃し放題。だからテメェが俺に勝てる理由なンざねェンだよ」

ニヤリと、白濁した笑みを浮かべる一方通行に、

「……そんな能力…」

御坂はそれでも四肢に力を込める。
諦めない、それが綾峰から学んだことだから。

「はっ、威勢が良いなァ!まァ軽く死ンどけ」

毒手を御坂に向け一気に近づく一方通行、
それを止めたのは、

「だから、止めろって言ってんだろっ」

黒い壁だった。

「なっ?」

「え?」

2人の驚いた声が重なった。
一方通行は黒い壁など障害ではないと考えていた。
もちろん、普通の壁など一方通行の『ベクトル操作』に対しては紙切れよりも薄い。
だが、一方通行の右手は防がれた。
只の壁にしか見えない黒い壁に。

「…、へェ。お前面白いな」

一方通行の赤い瞳が爛々と光り、綾峰を見る。

「くっ」

瞬間、一方通行は綾峰の前に立っていた。

「これはどうなンだ。あァ!?」

両手が綾峰に襲いかかり、綾峰は慌ててその両の手の隙間を縫う様に体を捻る。
右手は避けられたが、左手が綾峰の黒カッパに触れてしまう。
一方通行は勝利を確信する。
あらゆるベクトルを操作する一方通行に一部分でも触れてしまえばその瞬間、相手は血流から何まで操られ、死に至るのだ。
触れた瞬間、
何も起きなかった。

「あァ?何で俺の能力が効かねェンだ?」

「さァ?日頃の行いが良いからなンだろ?」

余裕を見せるためか、一方通行の口調をまねる綾峰に、一方通行は更に白濁した笑みを浮かべた。

「面白い。面白いぜオマエ」

(だーっ。もーっ!何で俺はこう上条の敵さんに毎回目を付けられるかな!?)

「メンドクセー」

ついついいつもの口癖が漏れる。
瞬間、前触れもなく綾峰がその場から消える。

「ちっ」

舌打ちをしたのは、『空間移動』によって己の手を避けられた一方通行だった。

「オイオイ、俺の攻撃を喰らわねェってのは褒めてやるとしてもよォ。逃げてばっかじゃ意味ねェンだぜ?あァ?」

一方通行は先ほどまで自分のいた場所にいる綾峰に声をかける。

「俺はメンドクセーのは嫌いなの、嫌いなんだっつーの、嫌いなんです三段活用。まったくそんな元気ならそこら辺のバイト先紹介してやるよ。アンタの能力ならすぐに皆雇うと思うけど?」

「興味ねェな。まァ、楽しませてもらったが、ようはテメェは俺の能力を何か別の能力で防いでるって訳だろ?なら、その能力ごとベクトル変換してやるよ。そろそろ喉乾いたんでなァっ!!」

何の前触れもなく、一方通行が綾峰の前に飛んだ。
ベクトル変換による物なのか、肉体的な動きなど、まるでない本当にノーモーションによる移動に綾峰も対応しきれない。

「くそっ」

一方通行の手が綾峰の黒カッパの中に入る。

「終わりだ。糞ったれ」

それは短い言葉だった。

「止まりなさい、とミサカは警告を発します」

「ンァ?」

「っ?」

「え?」

三者三様の驚きと共に周りを見渡すと、数十人のミサカ達が綾峰達を囲っていた。

「何の用だ?お前ら?」

一方通行が腹立たしげに妹達に尋ねる。

「これ以上の戦闘は、とミサカは口火を切ります」

「無意味です、とミサカは言葉を繋げます」

「その方は一般人」「であり、本日の実験は」「既に終了」「しています。それに一般人を」「殺せばお姉さま」「が黙っていないでしょう」「お姉さまは」「あなたと戦闘を起こし」「お姉さまは確実に」「あなたに殺されます」「それはこの計画に支障」「が起きる可能性があり、」「計画自体が破綻する可能性」「があります」「と、ミサカは言葉を切ります」

複数のミサカから発せられたリレー言葉は異様な光景だった。
それを見た一方通行がウンザリしながら舌打ちをすると、

「じゃァな。黒カッパ。またやろうぜ。後、第三位。テメェのクローン勝手に使わせてもらってるぜ」

それだけ言うと、去っていった。
緊張が解けたのか、その場で御坂は崩れ落ちた。
綾峰はいつの間にかいなくなっていた。










あとがき
そして『実験』を知ってしまった御坂美琴。
あの日の事を思い出してしまった白井黒子。
錯綜するレベル5達。
多重能力者がレベル5と交わる時、物語は加速する。
後、俺の更新速度も加速する。

ついて来れるか?

と、どっかの赤い弓兵みたいな台詞を言ってみましたが、できるのか?俺?
とりあえず、行けるとこまで行ってやるw
では、また次回 ノシ






没シーン1
御坂に一方通行の能力を理解してもらうために綾峰が行った行動。
シリアスな空気をそぐため没へ。





「止メテオケ、御坂。アレニハ、オ前デモ勝テナイ」

そう言うと、綾峰は手元から黒いボールのような物を出し、

一方通行に投げつけた。

ぽ~ん。

妙な効果音と共にボールが跳ね返ってくる。

「…………………………………」

「…………………………………」

もう一度、綾峰は黒いボールを一方通行に投げつける。

ぽ~ん。

妙な効果音と共にボールが跳ね返ってくる。

「…………………………………」

「…………………………………」

更にもう一度、

ぽ~ん。

「…………………………………」

「…………………………………なァ、何やってンだ?」

「え?心を閉じ込めてる一方通行クンとの心のキャッチボールだけど?」

「え?嘘…」

「ンだ?その目は!?俺をどっかの引きこもりを見るような目で見るンじゃねェ!!」

「ほら、シロラビータクン、行くよ~」

「だからボール投げんじゃねェ!何だその略称は!?」

「ほら、白くて、ウサギみたいだから…」

「なるほど!」

「アホかァ!!」

そして、バトルが始まる。





うん、ないな。



没シーン2
時系列的におかしいので没



「簡単よ。ああ、ちょっと下部組織のやつら呼んでくれる?」

麦野の要請に1人の下部組織の構成員が来た。

「なんだよ、麦野」

チンピラ風情の男は上司に対して面倒くさそうに答える。

「ああ浜面、ちょっとやってほしいことがあるの」

「あん?何するんだ?移動か?足なら初めから言っとけばすぐ用意しといたのに」

「違うわよ。あんたにしかできないのよ」

「へぇ、何だ?」

「第二位の××を掘って来てほしいの」

「……アノ、今何テオッシャイマシタコノヤロウ」

「だからちょいと第二位とお×モ達になって情報を仕入れて来てほしいのよ」

「麦野!?どうした?ちょっと頭のネジ吹っ飛んでだろ!?」

「…大丈夫だよ、はまづら。私はそんなはまづらを応援してる」

「滝壺さん!?何か色々間違った方向を全力でプッシュしないで!!っていうかお前らその光景が見たいだけだろ!?」

「ねぇ、浜面、お願い。あんたしか頼れないの。後やらなきゃ、殺すわよ?☆」

「そんな語尾に☆とかつけても……ちくしょう、一瞬ときめきやがった俺のバカやろう!でも死んでもやりたくねえ!」

「はーまづらあ、良いからやって来いって言ってんだよ!!」

「ちょ!?能力行使はシャレにならないぞ!?」



なんか、途中から浜面がかわいそうになって来た。
ごめん、浜面。久々の登場がこんな役で…



誤字修正
「そにしても」→「それにしても」
rafale様ありがとうございます^^

2010/11/3 はき様のご指摘により誤字修正

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