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八月十五日 弐【一方通行編】

とある病院の地下にどんな電磁波も通らない様にされた防磁室が存在する。

「ただいま~」

「やぁ、ご苦労様、大変だったみたいだね?」
『空間移動』で侵入した部屋で、一般的な帰宅の挨拶をする綾峰にカエル顔の医者は挨拶を返した。
綾峰は担いでいた培養器を床に置くと、真ん中の机の上に置いてあるお菓子を1つつまんだ。

「おや、結局1つしか運べなかったのかい?」

「そりゃ、俺だってレベル5相手に目の前で盗みをほいほいできる程すごくはないですから」

「いや、世間的には一個軍隊と比べられる相手にそれだけ盗めるのはすごいと僕は思うけどね?」

「そうですか?まぁ、今日は相手との能力の相性が良かっただけですよ。それに…俺は逃げることに関してだけは最強ですから」

「なるほどね?それにしても、わざわざそこまでリスクを犯す必要はないんじゃないかな?このレベルの培養器なら僕一人で十分作れるけど?」

「良いんです。持って来る事に意味があるんですから」

「そうかい?さて、それじゃ僕はそれをさっさと直す事にしようかな?」

「俺も行ってきます」

瞬間、綾峰は次の実験場へと向かっていった。








とある科学の事件体質(トラブルメーカー)第46話








とある場所にあるキャンピングカー。
その中でレベル5の麦野は怒りを溢れさせていた。

「逃げられたですって?あんたの能力で?」

「…………………………」

麦野の叱責を無言で受け止めているのは滝壺だ。
気絶から恢復し、既に風呂に入った絹旗もフレンダと共に2人の流れを不安げな表情で見ていた。

「『多重能力者』のAIM拡散力場は安定してない。ダミーが数十個も常に用意されてた」

「例えダミーがいくつあろうが、その中に本物があるんでしょ!?だったら捕まえられるでしょうが!」

滝壺の弁解も怒髪天と化した麦野には届かない。

「正確には、本物はない」

「ああ?ないですって?」

「『多重能力者』は常に身の回りのAIM拡散力場を変えることができる。そうとしか考えられない」

「あ、あの結局どういうこと?私いまいち滝壺の能力ってわからないんだけど、さ」

2人の問答の間に割って入った声に2人の視線がフレンダに向く。
ひぃ、とフレンダはその視線に寒気を感じながら言葉を待つ。

「AIM拡散力場っていうのは、能力者個人個人が無意識に発してしまう微弱なフィールドのこと。だから能力によってそれぞれ形も違えばその現象も変わる」

「そ、それで?」

「私の『能力追跡(AIMストーカー)』はその微弱なフィールドを記録し、例え太陽系の外に出ても追い続けることができる能力」

「えっと、じゃぁなんで結局『多重能力者』を追えないの?」

「先ほどの戦闘中に私の能力が記録したAIM拡散力場の全てがダミーであり、現在追いかける事ができない。たぶんあれにそもそも『固有のAIM拡散力場』という概念がない」

ガンッ、とキャンピングカーに付属されているテーブルが音を立てる。
フレンダ、絹旗、滝壺が驚き視線を向けるとテーブルに拳骨をめり込ませているリーダーがいた。
その表情は俯いていて伺うことはできない。

「つまり、滝壺はこう言うわけだ?」

普段とは明らかに違う声を出す麦野に三人は生唾を呑む。

「アンタの能力よりあいつの能力の方が上だから追いかけられない、と」

ゆらりと、幽鬼の如く麦野が立ち上がる。
3人は恐怖に震えながら静かに審判を待つ。

「……じゃ、仕方ないか」

「へ?」

「いやだって、追いかけられないんでしょ?」

「良いんですか?アレを捕まえられないって事は仕事が超失敗って事ですけど?」

絹旗の問いに麦野はにやりと笑う。

「んなわけないでしょ。追いかけるわよ」

「え?結局どういうこと?」

「やつの狙いを洗い出すわよ。そんでもって逃げられないとこまで追い込んで、ぶち殺すのよ」

麦野の笑みがぐにゃりと歪む。
それは他の3人の背筋を凍らせるには十分だった。








「ごめん両替お願いっ!」

御坂は後ろに立っていた少年に一万円札を手渡すと再度目の前の敵に視線を戻した。
そこにあるのはガチャガチャ。

(ガチャガチャ…正式名称「カプセルトイ」。カプセルに入ったおもちゃを求める遊び。シリーズ物が多く、ゲーム・アニメ等のキャラクターからご当地もののキャラクターまで種類が多く。そこでしか手に入らない物も多いので、これらを集めるために人生を駆けている人も多い。ちなみに御坂がやっているものは『世界のマスコットピンバッチシリーズ』という物で全部で255種類ある)

御坂が今ある財布の中身を全てかけてガチャガチャに向かっているきっかけは缶蹴りをしていた子供達の内の1人が服の胸部分につけていた『ゲコ太バッチ』を見たからだ。
何を隠そう、というか隠せてないがゲコ太がもうこれ以上ないくらいに好きな御坂はついついコレクター魂が暴走したのだった。
気がつけば、スーパーのカゴを2個も用意しても収まらない程にガチャガチャをやっていた。
そして、その努力と金額の結果。

「なかった…」

絶望に瀕した声を上げる御坂だった。
その後ろにいた少女がこれ以上はまずいと判断したのか自分の持つバッチを交換しないかと持ち出そうとしたが、

「駅前にもあるよ」

と、他の少女がそれを遮った。
そして御坂は子供達を引き連れて駅前に向かうのだった。







「おい、何やってんだ?」

駅前のスーパーに移動した御坂がガチャガチャをしている途中、それに付いていた雲雀に声がかかる。
その声に反応する子供達。

「カキネのおにーちゃん!」

「あ、ロリコンだー」

「本当だ~。ロリコンレベル5だー」

「お前ら、ぶち殺すぞ?」

「ロリコンが怒った~」

「ロリコンが怒ったぞ~」

「アンタ達、騒いでる暇あったらこれの両替お願いっ!」

ガチャガチャに忙しい御坂は帝督のことに気がつかず、一番近くにいた帝督に一万円札を渡す。

「あ?おい」

いきなり手渡された一万円札に驚く帝督に近くにいた少年が声をかける。

「良いから、ていとく。行っとけってさっきから目がヤバいんだ」

「はぁ?」

「ほら、行くよ~。カキネのおにーちゃん」

訳がわからん、という表情の帝督の腕を雲雀や他の少女達が引きずって行く。




そして、奮闘の結果。

「~~~~~~~~~~~~~~~!!」

声にならない声を上げて歓喜する御坂がいた。
その背後で少年少女達と共に帝督が手を叩いていた。

「はいはい、おめでとー」

ふと、御坂はやっと気がついたのか、

「あれ?あんた誰?」

と、帝督に声をかけた。
その御坂の姿を帝督は見て、

「さっき両替をお前に頼まれ者だけど?」

と、普通に返した。
実はこの帝督、あの夜に一方通行が何か実験をしているのは見たが実験相手であるミサカの姿は見ていなかったので気づかなかったのだ。

「え?嘘!?ご、ごめんなさい」

驚いた御坂は先ほどまでの自分の言動を思い出したのか、顔を赤くしながら頭を下げた。

「カキネのおにーちゃん、どうしたの?」

「あん?仕事帰りだよ。ったく。終わったんなら俺は帰るぞ?」

「あ、待って~。私も一緒に行く~。じゃぁね~。皆」

立ち去る帝督に付いて雲雀は手を振って帰っていった。
そこに下校時間を知らせるチャイムが鳴り響いた。








「すごいパーンチ」

「だからお前それ止めろっブロッサム!」

十数メートル離れた位置にいたスキルアウトが吹っ飛び、倒れた。

「お前らその程度か!?もっと根性出せよ!!ほら、もう一回立ち上がって!!」

ナンバーセブンこと学園都市第七位、削板軍覇の声にその場にいたスキルアウトの全員は答えることができずに倒れ伏していた。
話は少し前にさかのぼる。
街でかつあげ兼ナンパをしていたスキルアウト達、そこに削板登場。根性!根性!!根性!!!
と今に至る。
え?説明が雑?というか説明になってない?
………………あ、ちなみにかつあげ兼ナンパされた女の子は既に逃げ出している。

「………………………………ま。今日はこれくらいにしとくか」

夕日の赤い日差しが照り、既に自分だけの気配しかなくなってしまった路地裏で削板は呟いた。
そして倒れているスキルアウト達を適当にほっといて、そのまま帰ろうとした瞬間。
目の前に女の子を担いだ黒カッパが現れた。

「は?」

「へ?」

「…………」

「…………」

一瞬の合間、無音の静寂がその場を包む。

「ア、ドーモ」

片手をあげて挨拶をする黒カッパに担がれている女の子、茶髪でどこかの学校の制服を着ている、その女の子の頭部から、ドロリと赤い液体が垂れる。

「何やってんだあああああああああ!!」

「ギャアアアアアアアアアアアアア!!」

どっかーん、と削板の背後から赤青黄色の爆発が起こる。
黒カッパは慌てて飛び退くと、そのまま削板と対する形になった。

「なるほど、お前はあれか?最近ある人さらいだの何だのというやつだな?根性たりてねぇな!!おい!!しかもそのなかなかイケテル格好は顔を隠し、かつ敵味方を判…」

ガシッと黒カッパが削板の手を掴む事で言葉を遮った。

「な!?「良かった!わかってくれる人がいて!」は?」

「さっきもこの格好ダサイって言われたんだ」

おいおいと泣き始める黒カッパの言葉に削板は驚愕すると、

「何だと!?誰だその根性なしは!!」

と怒りをあらわにして叫んだ。
なんか意気投合し始めた2人だったが、気絶していた少女が2人の声に、んっと起きかけたのを見てさっと距離を取った。

「で?お前はいったい何やってんだ?そこの子はどう見ても放課後帰りに迎えにいった妹って感じじゃないな」

「色々ト理由ガアッテナ。コノ子ヲトアル所カラ誘拐シテ来タ」

「へぇ?ってことはお前は誘拐犯ってやつか?まぁどこから誘拐してきたかは知らないが、流石に誘拐現場を見逃す程、俺は根性なしじゃねぇ」

「ダロウナ。ソレデコソ、ナンバーセブンダ」

「あ?何だって?」

黒カッパのつぶやきが聞こえず削板は聞き返すが、

「イヤ、何デモナイ。邪魔スルナラ潰スゾ。レベル5」

少女を戦いに巻き込まない様に路地裏の端に置いた黒カッパの言葉に削板はわずかに笑う。

「すげえな。すげえよ、お前。普通だったら俺が第七位だから、なんとか勝てるんじゃねえかって理由で立ち向かってくる奴らは何人もいるが…そう言うのとは違う。俺を学園都市のレベル5と正しく認識して、それでいながらあえて俺の前に立ち塞がるか。なるほど、お前は根性あると見た」

「イヤイヤ、根性ナシサ。デモ逃ゲテモアンタハ追ッテキソウダ。アンタヲ巻キ込ムノハ嫌ダシナ。ソレニアノ子ノ容態ノ事モアルシ、急ガセテモライタイ。ココデサクット潰レテクレ」

向かい合う2人。
先に動いたのは削板だった。

「すごいぱーんち」

削板の”何か”による攻撃が黒カッパを襲う。
が、その攻撃は黒カッパが右手を前に出しただけで空中で無効化された。

「メンドクセーシ、一発デ終ワラセテクレ」

そしてそのまま出した右手でコインを弾く。

「ん?」

ピーン、とコインが音を立て、空中で回り、そのまま元の右手に戻る。
瞬間、
これ以上ないくらいの轟音と光と共に削板が吹っ飛んだ。
削板は路地裏を突抜け、そのまま奥にある無人のビルに突っ込む。
衝撃により轟音と軽い揺れが起きる。

「ジャ、失礼サセテモラウゼ。削板」

そう言って横にいた少女を担ぎ直すと黒カッパは『空間移動』で消えた。
ガラリ、と先ほどの衝撃で崩壊しかけたビルの奥から、

「ふるわァァああああああああああああああああああああああああ!!」

根性のヲトコが立ち上がる。

「ったく痛えな。何だコレ?コインか?」

胸に当たりそのまま削板をビルまで押し続けた、摩擦熱で溶けたコインを見て削板は首を傾げる。
一応、先ほどの一撃は普通の人間が受けたら皮膚が裂け、肉は千切れ、骨は砕かれ、内臓は潰れる、まさに一発必死の一撃なのだが。
削板の場合は胸に変な痣ができるだけだった。
黒カッパである綾峰も流石に気絶くらいするだろうと考えていたが、それを上回ったのは流石と驚くべきか。

「次は必ず根性を叩き直してやる!!」

誓いを胸に削板は帰って行った。








後書き
綾峰VS麦野戦は省く結果になりました。
色々考えたのですが、結果としては上の形の方が面白いだろうということで。
ちなみに作者は削板が苦手です。
キャラが苦手とかではなく、書きにくいという方がいいでしょうね。
何と言うか、あの奔放さを自分では表現しきれない気がして…。
まぁ、今後も登場するあの学園都市最強のギャグキャラを頑張って活かしたいと思ってますw
後、なんか今回はレベル5祭り?って言う感じにレベル5達が登場してますね。
しかも半数以上。
一方通行編とか書いときながら未だに一方通行の出番が一回しかないということに驚愕してる作者ですが、よくよく考えたらこのSSで出番の多い敵キャラはいない。(断言)
今後もきっと敵キャラは出番もほとんどないままやられるのかなぁと思ってたりする作者でした。
では、また次回。





今日のひまがみ

「アイスクリームを1つ」

「あいよ。味は何にするんだい?嬢ちゃん」

「チョコミント味を1つ」

「オーケー。あいよ、嬢ちゃん。上のチョコチップはおまけだ」

「ありがとう。ふむ。おいしい。コーンとアイスのそれぞれにこだわりを感じる」

「はは、ありがとうよ。っとそろそろ仕舞いだな。じゃあな、嬢ちゃん。また寄ってくれよ」

「うん。また」




このアイスクリーム屋、わかる人はわかると思う。
終わり。

トップに、
「この作品は原作の『とある魔術の禁書目録』全巻、及び『とある科学の超電磁砲』単行本全巻を読み進めてる方が楽しめます」
と書いた方が良いのだろうか。
諸君、意見を求む。

誤字修正
「えっと、じゃぁなんで結局『多重能力者』を負えないの?」
                     ↓
「えっと、じゃぁなんで結局『多重能力者』を追えないの?」
猫世様のご指摘でした。
ありがとうございますm( . . )m

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