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八月十一日 伍【一方通行編】

『能力可能性問題』とは

 「『自分だけの現実(パーソナル・リアリティ)』を能力者が持ち、それを『演算能力』を使い現実に当てはめているのだとしたら、もしも人間と同等、あるいはそれ以上の『演算能力』を持つ機械が『自分だけの現実』を持つ事ができるなら、それは能力者と同義ではないか?」
 という『自分だけの現実』を研究していた科学者、小萌剛鶴が提唱した問題である。

 この問題について様々な科学者がその答えを導こうと様々な研究を行って来た。
 『自分だけの現実(パーソナル・リアリティ)』が脳の内部に形としてあるとする者。
 『自分だけの現実(パーソナル・リアリティ)』が脳の構造ではなく、精神面の異常から発生するとする者。
 かつて様々な研究が行われた末に、未だこの問題は解決していない。


以下略
とある科学の事件体質(トラブルメーカー)第40話






「あら、これは…」

しばらく歩いてから白井はポケットに髪留めがあることに気がついた。
白井の物ではない。
多分ミサカのものだろう。
ミサカが新しい物を試着した際に預かった記憶があった。
また会う時に渡せばいい。
白井はこの時そう思った。
だというのに。

「まぁ、別れたばかりですし。すぐに追いかければ渡せますわね」

白井はミサカを追いかけて行った。








「またな~、帝督~」

「楽しかった~。また遊ぼ~」

思い思いの言葉を言いながら、子供達が帰って行く。
最後に残ったのは帝督と雲雀だけだった。

「おにーちゃん、今日はすごかったね~」

「おう、俺にとっちゃぁ朝飯前だがな」

ははっと帝督は笑う。

「今日はうち来る?」

「行かねえって。まぁ、送ってはやるが」

「そうなんだ~。あ、そう言えば最近マネーカードが落ちてるの知ってる?」

「マネーカード?なんでそんなもんが」

「よくわからないけど、私も見つけたんだよ」

そう言って雲雀は肩に下げていたポーチから何枚かの封筒を出した。

「ちゃんと黄泉川に渡しとけよ。怒られてもしらねぇからな」

「え?怒られるの?」

「知らん。っつーかテメェはどこからそういう物を拾って来るんだ」

「え?路地裏からだよ」

そう言って雲雀は路地裏の方を指差した。

「あ」

「ん、どうした?」

「シライのおねーちゃんだ」

「あぁ?」

帝督も雲雀の指差す方を見る。
するとツインテールの少女が路地裏の方へと入って行くのが見えた。

「なんだってこんな時間に」

既に陽は落ちている。
確か帝督の記憶ではあの白井という少女は風紀委員だったはずだ。
だが、いくら風紀委員とは言え、少女が1人路地裏に入るのはあまり安全とは言えない。
それを風紀委員であるならなおさらわかっているだろうに。

「まぁ、俺らには関係ないな。行くぞ雲雀」

雲雀に声をかけて帝督は黄泉川の家の方に向かう。
しかし雲雀からの返事がない。

「雲雀?」

訝しんで振り返った帝督の視界に雲雀が白井を追いかけて路地裏に入って行くのが見えた。

「ちっ。あの馬鹿」

帝督は慌ててその後を追った。










少し前に別れたはずなのにすぐにミサカは見つけられず、白井は駅の構内を探しまわった。
10分ほどして結局見つけられず、そろそろ門限もまずい時間なので戻ろうとした時、
白井はミサカの後ろ姿を見た。
なぜか体とほぼ同じ大きさの荷物と大きな軍隊用のゴーグルをしていたが特徴的な赤いリボンの髪留めは見間違えようがなかった。

「ちょっ。妹さん」

声をかけるが、駅の構内で他の騒音と距離が離れていたためミサカには届かなかったようだった。
ミサカはそのまま駅の構内を歩きながらずんずんと進んでいく。
白井は回りに人がたくさんいるため『空間移動(テレポート)』するわけにもいかず、それを徒歩で追いかけて行く。
しかしどういう理屈か徐々に距離は離され、ミサカはすこしずつ小さくなっていく。
焦りながらも急いで追いかけるとミサカは途中で駅を出て人ごみを縫うように進み、路地裏へと入って行った。

「なんでこんなところに?」

路地の入り口で白井は首を傾げた。
確かにスキルアウト3人をいっぺんにのせる能力があっても少女が路地裏に陽も落ちたこの時間帯に入るのは危険だ。

「妹さん?」

もちろん、自らも危険であることに変わりはない。
白井は警戒をしながらもミサカの後を追うのだった。
白井の足音が暗い闇の中へと吸い込まれて行った。









「おねーちゃん?」

暗い路地裏の中で雲雀の声が響いた。
白井を追って路地に入ってはみたものの、暗い路地のせいですぐに白井を見失っていた。

「おねーちゃーん!!」

雲雀の呼びかけに対する応えはない。

「しらいのおねーちゃーーん!!!!」

雲雀の叫びが空しく路地の中を反響した。
雲雀は嫌な予感がしていた。
何か、とてつもなく嫌な予感。
今すぐ何か行動をしなければ一生後悔し苦しむ。
そんな具体的で抽象的な気持ち。
雲雀の中で何かが雲雀をせかしていた。
それは子供の勘のするどさか、あるいは超能力による第六感なのか。
雲雀は一歩、闇に足を進めた。

「おい、クソガキ。どこに行く気だ?」

突如、雲雀の背後から帝督が現れた。

「カキネのおにーちゃん」

「戻るぞ。黄泉川が心配するだろうが」

帝督は雲雀の手を握り、そのまま路地から表通りへと連れて行こうとする。

「で、でも!シライのおねーちゃんが!」

雲雀は必死に声をあげながら後ろの暗い闇を指差した。

「あいつは確か風紀委員だろ?大丈夫だって」

「でも!」

「デモでもクソでもねぇ。さっさと帰るぞ!ったくメンドクセェ」

帝督はイライラとしながらも雲雀を連れて表通りに向かった。

「おにーちゃんのバカ!ロリコン!」

「んなっ!?バカッ!テメッ、そんな事こんな所で言ったら」

慌てて帝督は雲雀から手を離すが既に時は遅し。
表通りにいた人たちが帝督を真性の犯罪者として見ていた。
その内の1人の大人が帝督に近づいてくる。

「ちょっと、そこの高校生、一緒に来てくれますか?」

その肩には『警備員』の腕章があった。

「お、俺は違ええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「良いから、良いから。さっさと来なさい」

「こら、テメッ!俺を誰だと!?」

「ただの変態でしょ?わかってるよ」

「違う!わかってねぇ!てか俺は普通だああああああああああ」

帝督が引っ張られていった。

(ごめんね、おにーちゃん!)

心の中で謝罪をしながら雲雀は路地の中を走って行った。







「現在、午後7時29分丁度。まもなく第九九三二次実験を始めます。実験関係者は所定の位置に着いて準備してください」

静かな声でミサカ九九三二号は宣言する。
ミサカの九九三二号目の前に立つのはこの学園都市最強の能力者。

『一方通行(アクセラレータ)』

1万人近くのミサカをもってしても1度すらもかすり傷1つ付けられなかった、『最強』。

それが今、ミサカ九九三二号の目の前にいた。
ミサカ九九三二号は万全の状態だった。
頭にゴーグルを。
両腕にはメタルイーターMXと呼ばれる化け物のような銃を。
その脳には今までの戦闘経験を。
全てを用意し、ここにいた。

「なァ、そのリボンはどうしたンだ?」

しかし『最強』が尋ねるのはそんな些細なことだった。

「これは…実験とは関係のない物です。実験に影響を与えるものではないのでお気になさらずに」

「テメェらは工場でボタン1つ押しゃァ出てくるクローンなンだろ?だったらなンでそンなシャレたもンしてンだ?なァ?」

「それではまもなく実験を開始します。残り10秒、これよりカウントダウンを開始します。5、4、3、2、1」

「はァ。こンなンで本当に『レベル6(無敵)』になれンのかねェ」

瞬間、火花が路地を満たした。







火花が見えた。

「え?」

暗い路地を進んでいく白井の目の前で何かが火花を出していた。
そして漂ってくる火薬の臭い。
瞬間、ちゅん、ちゅんと小鳥がさえずるような音が路地の先から聞こえてくる。
音も火花も1つや2つじゃない。
連続した音と火花が白井の知覚を刺激する。

「…ぐっ」

くぐもった音が路地の先から聞こえると共に音と光が止んだ。
白井はゆっくりと路地の奥へと向かう。
そこは先ほどまでと同じ静寂な暗闇に戻っている。
しかし、先ほどまでと何かが違った。
そこにある何か、それが白井を圧迫する。
微かに聞こえて来るのは、押し殺しきれていない荒い息、そして、

「くくくくくくくくく」

狂ったような甲高い笑い声。

「おいおいおいおい。いィ加減、学習したらどうだなンだァ?俺に銃は効かねェってよォ」

声と共に、ドンと足を踏みならすような音が聞こえてきた。
瞬間、ガンッという音と共に何かが吹き飛ぶ音がする。

「ガっ!?」

悲鳴のような声と共にどさっという音が聞こえ、同時に金属質な何かがアスファルトに落ちる音がした。
白井は路地の陰から顔を出し、中を見た。

「なっ!?」

そこには白い髪の少年とミサカが立っていた。
慌てて白井は口を押さえながら隠れる。
しかし白い髪の少年は気づいたようだった。

「あァ?そこに誰かいンのか?」

白井は息を押し殺しながら先ほど見た情報を整理していた。
白い髪の少年、そしてその前に倒れるミサカ。
見間違えでなければミサカの脇腹からは赤い液体がこぼれていた。
嘘だ、こんな現実は嘘だ。
心が叫んでいた。

「オーイ。殺さねェから出ておいでェ。くははははは」

笑いながら少年がやってくる。
その声は甲高く、嫌に耳に残る。
心臓がうるさいぐらいに音を立てている。
押し殺しているはずの息が煩い。
こんな大きい音では白い髪の少年に聞こえてしまう。
いや、聞こえているのかもしれない。

「今なら、見逃してやっても良いぜェ」

甲高い声が先ほどより近づいている。
白井を追いつめるように足音が聞こえてくる。
足音が心臓の音に合わせて聞こえてくる。
心臓の音も聞こえている?
あり得ない。
でも、聞こえているに決まっている。

「カクレンボかなァ?だったら捕まって鬼に何されても文句言うンじゃねェぞォ!」

すぐ横に少年がいる。
捕まったら、殺される。


そして、



そして、






「見ィつけたァ!!!」








「おねーちゃーん!」

白井を追って雲雀は走っていた。
しかし途中で見失ったせいか白井は見つからない。
暗い路地の中を雲雀は走っていた。

「おねーちゃーん!どこ~?」

雲雀は完全に迷っていた。

「おねーちゃーん!」

それでも雲雀は白井を追いかけるために走っていった。






「ニャァッ!?」

路地の中を黒猫が逃げて行った。

「チッ。ただの猫か」

『一方通行』は忌々しげに声を荒げるとミサカの方を見る。

「あァ?どこ行った?」

さっきまでミサカが倒れていた場所には誰もいなかった。
先ほどの『一方通行』の攻撃で吹き飛ばされた銃が落ちているだけだった。
『一方通行』が猫に気を取られている内にどこかへ逃げたらしい。

「はっ。カクレンボの次は鬼ごっこでェすかァ?良いねェ、良いねェ。全力で逃げ回れ!捕まったら、テメェの負けだからなァ!!」

そして『一方通行』はミサカの落として行った血の跡を辿り、ゆっくりと歩き始めた。






「俺はロリコンじゃねぇ!」

「はいはい、ここに調書あるから、名前書いてね」

「だから俺はあいつの保護者で……」

「で?どこまで触ったの?冗談抜きで色々問題だからね」

「だから違うッつってんだろうがあああああああ」

帝督の叫びが交番で響いた。





「はっはっ…はぁ」

白井は荒い息を押さえるようにため息をついた。
見つかると思った瞬間、『空間移動』で違う路地へと逃げたのだ。
しばらくその場で息を殺していると、どうやら白い髪の少年は立ち去ったようだった。

「……何だったんですの?あれは?」

一息ついて、どうにか口を動かした。
手はぷるぷると震えており、嫌な汗が体中を覆っていた。
息を整え、もう一度先ほどの路地へと向かう。

「何ですの?これは」

そこは戦争などと縁のない白井ですらわかる戦場だった。
そこら中の壁や地面には穴が開いており、空間には火薬の臭いが充満している。
暗い路地の一画にはビルの窓からの光で反射している赤い液体があった。
白井は赤い液体に触れてみる。

「やはり、血ですのね」

それはぬるりとした生暖かい感覚。
わけがわからなかった。

「何が、起こってるんですの?」

白井は疑問を口にしながら、考えた。

だが、しばらく考えてもわかったのは自らの友人が殺されようとしているという事だけだった。
しかし白井には救えない。
あれは、きっと化け物だ。
あの白い髪の少年はミサカや白井、もちろん御坂美琴すらも敵わない化け物だ。
白井にはそんな直感のような恐怖があった。
だが、

『己の信念に従い正しいと思う行動をとるべし!』

この言葉が白井を押して行く。
白井は友を救うため、走り出した。









「よう、帝督。幼女に手を出したんだって?」

「違う!てか、黄泉川!そんな目で俺を見るな!」

「いや、私は信じてるじゃんよ。帝督」

「嘘だ!っていうか微妙に遠い位置に立つんじゃねぇ!」

「冗談は置いといて、雲雀がまだ家に帰ってこないんだけど、知らないじゃん?」

「知ってるも何も、テメェの妹のせいでこんなことになったんだぞ!」

「あら、そうなの?何?浮気?」

「何でだよ!っつーかどんな発想でそうなった!?」

「雲雀以外の幼女に手を出してそれを見た雲雀が嫉妬して、ロリコンと言われたと思いました。で、帝督は二股が発覚して最終的には私に殺されると思います」

「作文んんん!?つーか、俺がお前の妹に手を出してる前提!!?てかさり気なく抹殺宣言してんじゃねぇ!!」

「まぁ、出してたら殺すけど」

「真顔で言うんじゃねぇ!こえぇよ!つーか、あんなガキ相手に手ぇ出すか!出してたら俺は犯罪者じゃねぇか!」

「あ?手ぇ出してないの?あんな可愛いのに?ぶち殺すじゃんよ、あんた?」

「テメェはどっちが良いんだよ!?」








「はっ…はっあ……はっ」

ミサカは息を荒げながら左肩を右手で押さえながら走っていた。
今までの『実験』で『一方通行』に銃を撃って反撃された箇所である頭などの急所以外の箇所を狙ったのだが、そこでも反撃を喰らってしまった。
どうやら『一方通行』の能力による防御は急所以外の場所も有効らしい。
急所以外の場所を銃で狙っても効かないのならばそれ以上の攻撃ならどうか。
ミサカはロケットランチャーを用意してあるポイントまで移動しようとしていた。
そのため、暗い路地を全速力で走って行く。
その途中、何かにぶつかった。

「キャッ!?」

ミサカの腰程までしかない相手にミサカは驚いて倒れてしまう。
一瞬、『一方通行』による攻撃かと警戒したが、

「いたいよ~。むー」

目の前で倒れている雲雀、雲雀を見て違うと判断した。

「すいません、急いでいたものですから、とミサカは謝罪しつつ立ち去ります」

ミサカはすぐに立ち上がると雲雀を巻き込まないうちに立ち去ろうとした。

「お、おねーちゃん。大丈夫!?怪我してるよ!」

しかしワンピースを着た雲雀はミサカの服を掴みそれを止めて来た。

「離してください。とミサカは手を払いながら先を急ぐために脳内マップからより短時間で移動できる道を再構築します」

「で、でも!」

「良いですから、離してください。とあなたの安全のためにミサカは語尾を強めて話します!」

「ご、ごめんなさい」

ミサカの迫力に雲雀は手を離してしまう。

「すぐにこの場を離れてください。ここは現在実験中ですのであなたの安全を保証しかねます」

ミサカはそれだけ言うとその場をダッシュで離れようとした。
瞬間、

「見ィつけたァ!」

進行方向から『一方通行』が現れた。

「ッ!?」

「オイオイオイオイ、逃げンじゃなかったのか?こンな所でガキ相手におしゃべりったァ、余裕だなァ。あァ?」

「この子は実験とは関係ありません。この場で実験を続行するのは危険だとミサカは進言します」

「はっ。紛れ込んじまったガキが不運なんじゃねェの?良いからさっさと始めンぞ!おらっ」

ガンッ、と『一方通行』は足下の地面を蹴った。
瞬間、地中を伝わって衝撃が移動していく。

「くっ!」

ミサカは雲雀を守るように抱きかかえる。
次の瞬間、ミサカを狙ってそばにあったプラッチック製のゴミ箱が飛んで来た。
ゴミ箱はミサカの背中を強打する。

「ぐっ!」

「おねーちゃん!?」

「ほらほら、ぼけっとしてっとガキ諸共死ぬぞ!」

ガンッガンッ、と『一方通行』は足下の地面を蹴る。
衝撃は地中を伝わりエアコンの室外機を固定するネジが壊れ、重さ50kgはある室外機が2人に襲いかかった。
ミサカは次の衝撃に備え、ぎゅっと雲雀を抱きしめる。
しかし、その衝撃は、

「やめなさい!!」

という凛々しい声と共に地中にめり込んだ。

ミサカは驚きながらも背後を見る。
そこには、

「あなたを暴行の現行犯で確保します!」

白井黒子が立っていた。

「な、なぜあなたがここに?とミサカは驚愕を隠せないまま問いかけます」

ミサカは口を震わせて問う。

「シライのおねーちゃん!」

雲雀が嬉しそうに呼びかけた。

「そんなことより、すぐに逃げてくださいな。さすがに私もあれ相手は少々骨が折れますし」

白井はミサカの問いかけには答えず、2人を守るように『一方通行』の前に立ちふさがった。

「逃げるのはあなたの方です!ミサカのことは良いので、早くこの子を!」

しかしミサカも叫ぶ。

「なっ!?そんな怪我でよくそんなことを。あの男は確実にあなたを殺す気ですわよ!」

その様子を見ていた『一方通行』が声をかける。

「おいおい、俺相手に骨が折れる、だァ?ふざけてンのか?テメェ。つーか、お前風紀委員だよな。マズいンじゃなかったかァ?表の奴らに『実験』がばれるのは、なァ」

「『実験』ですって?」

白井はきっと、『一方通行』を睨みながら尋ねる。

「あァ、こいつは実験なンだよ。お嬢さン。俺が『レベル5(最強)』から『レベル6(無敵)』に到達するためのなァ」

「そ、そんな馬鹿げたことのためにこんな事を!?人の命を何だと思ってますの!?」

「良いンだよ。そいつらはどうせ20万ぐらいでできあがるクローンなンだからよォ」

「ク、ローン、ですって?」

白井は驚愕の表情になり、ミサカの方を縋るように見る。
嘘だと、言ってほしいとその表情には書かれていた。

「はい、ミサカはお姉さま、つまりオリジナルである御坂美琴の体細胞をもとに作られたクローンです。単価は正確には18万円で、ミサカは今回の実験で殺されるために作られました」

その願いをミサカは打ち砕く。

「そ、そんな……」

白井はあまりの事実に立つ事すらできずにへたり込んだ。

「はっ。まァちょうど良いか。他の奴らが片す死体が1つ2つ増えるだけだしなァ」

そう言って、再度『一方通行』は自分の足下を2回蹴った。
今度は邪魔する者はいなかった。
白井は意気消沈。
ミサカは雲雀を抱きしめて衝撃に備えている。

次の瞬間、

「やめてぇぇぇええええ!」

ミサカが抱きしめていた雲雀は叫ぶと、両手を地面に置いた。
ミサカは雲雀の行動に疑問を抱いたが、

「あン?」

何も起こらない事と、『一方通行』の怪訝な顔つきに雲雀が何かをしたことを悟った。

「おい、ガキ。テメェまさか…」

『一方通行』は驚愕の表情でいたが、何かを思いついたのかすぐに地面を3回蹴った。

「むー!!」

雲雀が叫ぶ。
しかし、”何も起こらない”。
雲雀は『一方通行』の攻撃を完全に打ち消していた。

「テメェ、ガキ。もしかして俺の…ベクトルを…消してンのか?」

『一方通行』の言葉に白井もミサカも驚愕の表情で雲雀を見た。
それは、雲雀の能力と『一方通行』の能力による相性の問題だった。
雲雀の能力は『運動変速(スピードチェンジャー)』。
ベクトルには必ず、『向き』と『大きさ(スカラー)』がある。
『一方通行(アクセラレータ)』はその『向き』を、
雲雀の『運動変速(スピードチェンジャー)』はその『大きさ』を変える能力だった。
故にどれだけ『一方通行』がベクトルの『向き』を変えようとも、雲雀はベクトルの『大きさ』を0にしてしまう為に『一方通行』の攻撃は全て無効化されたのだ。
しかし、この事実を知る者はこの場にはいない。
雲雀は驚くミサカの戒めを振りほどくと、

「ちょっ、何を」

白井の呼び止めすら無視して、

「むー!いじめちゃだめ!」

と、『一方通行』に食ってかかった。

「っは!クローンどもよりよっぽど敵になるぜ!ほらほら、これはどうだァ?」

しかし『一方通行』は聞いていない。
敵となりうる人物の登場に喜ぶ『一方通行』は雲雀に対して、デコピンをした。
見た目は他愛のないデコピン。
しかし、それは『一方通行』の能力により、銃弾と同じ威力を持った致死のデコピンだった。
雲雀はその威力さえも。

「むー!!」

気迫と共に0に戻した。

『一方通行』は楽しそうに雲雀を見る。

「クハハハハハハ!良いねェ良いねェ!ほらっほらっほらっほらっ!」

そして連続して致死のデコピンを雲雀に叩き込む。

「むー、むー、むっ、むー!!!」

どうにか雲雀はその攻撃を全て打ち消していた。
だが、圧倒的な差が徐々にその隙間を広げて行く。
レベル5とレベル3。
1人で軍隊と戦えると言われるレベルと、日常生活に役立つ程度のレベルでは、その差は歴然だった。
むしろここまで雲雀が保ったは『一方通行』の手加減のおかげだった。
そして、ついに圧倒的な力は、

「むー!!?」

雲雀の能力を上回る力で雲雀を吹き飛ばした。

「「きゃあっ」」

吹き飛ばされた雲雀を白井とミサカが受け止めるが、3人ともその衝撃を殺しきれずに壁にぶつかった。

「惜しかったなァ、おィ!よく頑張ったぜェって褒めてやるよ!」

『一方通行』は楽しそうに言うと、ゆっくりと3人に近づいてくる。

そして、

「でも、残念。ゲームオーバーだ!!」

必殺の毒手を振り下ろした。




それは一瞬だった。
バオッという音と共に烈風が路地裏を駆け巡った。

「「「きゃあああ!!!」」」

『反射』の膜で守られている『一方通行』以外の3人はその風によって路地の中を吹き飛ばされて行く。

「あァン?何だァ?」

『一方通行』は驚きながらも烈風の吹いた方向を見た。

そこには、

「何してんだ?テメェ。ぶち殺すぞ?」

ヤクザとホストを足して2で割ったような優男、レベル5の第二位が2枚の翼を広げて立っていた。

「オイオイ。次から次へといったいお前ら何様ですかァ?自殺願望者様ァ?それとも気違いさン?あるいは無知な情報弱者様ですかァ?お前らの目の前にいるのが誰なのかわかってンのかなァ?」

『一方通行』は3人目の招かれざる客に声をかける。

「ああ、知ってるぜ。第一位、『一方通行(アクセラレータ)』。テメェこそ。目の前にいる俺を誰だと思ってやがる」

にやりと笑う2人の『最強(レベル5)』

「さァ、生憎雑魚の知り合いはいないもンでねェ」

「だったらその身に刻んでやるよ、第一位!この『未現物質(ダークマター)』の名前をなぁ!!」

『一方通行』と『未元物質』。

長い一日の終わりについに『最強』と『最強』がぶつかり合う。








身構える帝督。
それに対するのは只立ち尽くす『一方通行』だった。

「かまえねぇとは余裕だな?第一位。それほど自信があるってか?」

「あン?良いから来いよ。格下」

「言われなくても!」

瞬間、帝督の背中から6枚の翼が広げられる。

「おらっ!」

翼を叩き付けるように動かすと、幾枚もの羽が『一方通行』を狙いダーツのように放たれた。

羽が『一方通行』に迫る。

そして『一方通行』に触れた羽はその全てが『反射』の膜によって跳ね返された。

「くっ」

今度は自らに迫る羽を弾こうとして翼を構える帝督。
しかし、それらは突如現れた黒い壁によって阻まれた。

「あン?」

「んな?」

驚く2人のレベル5達が反応する間もなく。
壁は帝督に襲いかかった。

「なっ!?」







視界がまた元の路地裏に戻る。
『一方通行』は何事かと周りを見渡すが、そこには既に第二位も先ほどの少女達もいなかった。
ただ、ミサカを除いては。

「……実験を再開します」

ミサカは銃を構えた。

「くはっ。結局こうなンだな。さっさと終わらせるか」

にやりと『一方通行』の口元が歪んだ。







「何のつもりだ、テメェ?」

帝督は目の前の人物に言った。
そこにいるのは、『多重能力者』。
黒いカッパを着たその姿は見間違えようがなかった。

「唯鷹さんですの?」

「おにーちゃん?」

「もう一度言う。この『実験』に、二度と関わるな。ここで見た事、聞いた事、その全てを忘れてここを去れ」

『多重能力者』の言葉に白井は唖然としながらも、どうにか言葉を繋いだ。

「そ、そんな…そんなことできるはずが…ありませんわ」

「忘れろ」

『多重能力者』の返事はそれだけだった。

「はっ、テメェ。さっきから聞いてりゃ勝手な事ばっか抜かしやがって。またぶっつぶされてぇのか?あぁ?」

第一位との戦闘を途中で止められた第二位が吠える。

「ぐっ!」

しかし気がつけば帝督は倒れていた。
綾峰が第二位の背後に立った事に白井が気づいた時には既に終わっていたのだ。
何をされたのかもわからず、いつの間に背後に立たれたのかもわからず。
帝督が周りを見ると既に他の2人も倒れていた。

「実験は…”成功”させる。どんな手を使っても」

『多重能力者』のその一言だけが耳に響いた。







後書き~!
というわけで、気がついたら残りも書いてたよ!
ちょいとこれからバイト行ってくるから。
おまけ部分はまた後で!
では。   ノシ


追記の前書き~
さて、なんかおまけ部分がだいぶ後回しになりましたが、お待たせしました^^
続きをどうぞ。






「禁書目録とー!!」

「上条当麻のー!!」

「「とある質問のコメントコーナー!!」」

「よーし、今回もコメントに対してのお返事をしtザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザな、何だこrザザザザザザザザザザ」



ブツンッ


パッ


「月詠小萌とー!!」

「姫神秋沙のー」

「とある質問の返信計画(デンパジャック~)!!」

「いえーい」

「はい、始まりました!お久しぶりの先生ですよー。読者の皆様お待たせしましたですー」

「今回は久しぶりに。私達が返事をする」

「最近、原作の主人公・ヒロインに奪われてましたけど、今回は負けないですよー」

「うん。負けない」

「というわけで、姫神ちゃーん!お願いしまーす」

「うん。まずはアンデビ様。
『帝督は何をやっているんだww
 ところでこのカレー、『未元物質(ダークマター)』で普通の辛さにするという能力の無駄使いしたらよかったのに…
 あと黒子は遊んだ上、完全に浮気ですね。』」

「あはは、確かにですねー。さてそこら辺をご本人に伺ってみますよー」

「ちちんぷいぷい」

ポンッ

「………何だここは?」

「はい、帝督ちゃーん。前回のカレーですけどー、どうして『未元物質(ダークマター)』で辛さを普通にしなかったんですかー?」

「あん?なんであんたがそれを…?つーか、ここどこだよ。っていうか俺をちゃん付けで呼ぶんじゃねぇ!」

「良いから。答えて。じゃないとあなたが実は○○○○○っていうプレイが好きだって雲雀ちゃんに教える」

「ちょっ!?テメッ!何でそれを!!?つーか、ガキに変なことを教えんな!!」

「うわー、どん引きですー」

「うん。いくら何でも○○○○○はない」

「人の嗜好なんてどうでも良いだろうが!つーか、テメェらそれをどこで!?」

「で、どうなんですかー?」

「………ちっ。単に、そんなことしてもつまらねえからに決まってんだろ!」

「そうですかー。意外とフツーですねー」

「うん。実はレベル5では一番の常識人だったり?…それはないか変態だし」

「テメェらおとなしく聞いてりゃ好き勝手に言いやがっt「ちちんぷいぷい」ボンッ

「ということらしいですー。アンデビさーん。おーけーですかー?」


「じゃぁ。次。q-trueさんから。
『質問です。
 レベル0:無変態者
 レベル1:低変態者
 レベル2:異変態者
 レベル3:強変態者
 レベル4:大変態者
 レベル5:超変態者
 作中のロリコンと称される方達の変態強度をランク付けするとしたら、それぞれどんな感じになるんでしょう?
 ちなみに上条さんはレベル6で既に確定済みですw』
という質問だけど。…それを知ってどうするの?」

「姫神ちゃーん。読者さんにそんなこと言っちゃダメですよー。とりあえずは作者さんから預かった回答を紹介して行きますねー」

「まずはレベル0。該当者は。一方通行(非覚醒時)。服部半蔵。アレイスター」

「次はー、レベル1ですねー。該当者は綾峰唯鷹(非覚醒時)ですー」

「次。レベル2。該当者は。垣根帝督」

「レベル3ですー。該当者は青髪ちゃんですよー」

「レベル4。該当者は土御門元春。綾峰唯鷹(覚醒時)。ステイル」

「レベル5。該当者は駒場利徳。そして一方通行(覚醒時)ですよー」

「「異論は認めない」」



「次はぽつさんから。
『シリアス期待して開いたら帝督なにやってんのw
 完全に子供達の人気者になってるよw
 これは至高のロリコン一方通行でもまねできないw

 ところで唯鷹ってレベル5の能力も使えるんでしょうか?レールガンやダークマターは見たので使える気もするんですが。

 あと完全に出番を失ったひまがみ乙』
 私。舞い戻ったもの。乙じゃない」

「おかえりなさいですー(ほろり)。とりあえず質問に答えてもらいましょうか。姫神ちゃーんお願いしますねー」

「うん。ちちんぷいぷい」

ボンッ

「………何だこk(ry」

「で、綾峰ちゃん。レベル5の能力が使えるって本当ですかー?」

「いったいどこでそれを…って小萌先生こんな所で何やってんですか?」

「いいから。さっさと答えろこのロリコンレベル4」

「ちょっ。この毒舌巫女さん、誰ッ!?」

「ど。毒舌!?私に新たなキャラ(個性)が」

「はいはい、悦ってないでささっと聞くですよー。とにかく綾峰ちゃん答えてくださいですー。答えてくれないと…」

「ないと?」

「すけすけ見る見る…って言っても綾峰ちゃんは透視もできるのでダメですから…先生泣きますよー?クラスの皆の前で」

「ちょっ!?いきなり死刑判決!?」

「で?答えは」

「使えなくはないけど…多分1回が限界かな」

「綾峰ちゃん、ありがとうですー。ばいばーい」

「え「ちちんぷいぷい」

ボンッ

「はい、じゃぁ次リョウさんから
『ロリコンのレベル5って(笑)
 原作が当麻と一方通行のダブル主人公(最近は浜面も加わりトリプル?)だけど、ここは唯鷹と未元物質のダブル主人公だったとは!?
 ここからどうなって学園都市頂上決戦に発展するのか気になります。

 原作だとこの後美琴が事実知って死の現場を目撃するけど、黒子がどうなるのか気になります。』
 よし。次」

「ちょっ!?コメントそれだけですかー!?」

「だって。私のこと触れてないんだもの」

「だからって…えっと、とりあえずコメント返しはこちらだけでなくコメント欄でも作者がやってますので見てくださいですー」

「えっと次は日ノ本春也さん。
『面白かったです。
 垣根君が面白キャラにwHallowの子供たちに囲まれるギルガメッシュみたいでしたね。
 黒子と妹ちゃんの買い物、黒子の脳内会議がまたwこの妹ちゃんは何番目の子なんだろう?
 そしてユタカ君は今何をしているんだろう?
 それでは次回も楽しみにしています。』
 Hallow?ギルガメッシュ?」

「某型月と呼ばれるところの和名で『運命』という作品のキャラクターですよー。えっと作者のメモによると~、作者もそのキャラクターを意識して書いたそうですー」

「ふーん。ちなみに今回出てる妹の番号は今回出てるけど9932。原作第三巻に出てくる妹のちょうど100人前」

「作者のメモですとー、漫画の番号と原作の番号を計算して出したそうですー」

「じゃぁ。次箱の中の猫さん。
『提督じゃなくて帝督じゃなかったけ?』
これは。質問?」

「えっとこれはー作者のミスを指摘してくださったコメントですー。ありがとうございましたですー」

「ありがとう。相変わらず作者は書き上げてからすぐ上げてるの?」

「はぁ。原作読むとか見直しして欲しいですー」

サーセンorz

「じゃ。次。良さん。
『帝督→ロリコン5
 ステイル→ロリコン神父
 上条→ロリコンハーレム王
 土御門→妹限定ロリコン
 青髪ピアス→変態ロリコン
 一方通行→超ロリコン

 いやーこの作品の男共は紳士ばっかりだなぁ。あ、あと変態レズっ子も居た。』
 あと。
 小萌→年下限定
 黄泉川→シスコン
 カエル→神変態
 とかもいる」

「ちょっ!?先生はそういうつもりじゃないですよー」

「大丈夫。私は小萌の味方。後ろで見守ってあげる」

「それって完全に変態を見る目じゃないですかー!」

「そんなことはないよ(棒読み)」

「ふ、ふん。どうせキャラ薄い人に言われたくないですよーだ」

「な!?そ。それは触れてはいけない禁句。許さない」

「ふふふふー。先生がいつまでもやられ役だと思わないことですよー」

「小萌がそうくるならこっちにだって考えがって。あザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ間違えザザザたザザザザザザザ」




「…とうまー。みかんー」

「我慢しなさい。インデックス。つーかさっきから何個食べてんだ」

「まだ34個だよー」

「十分ですよね!というかやっぱりこたつ+みかんはインデックスに見せるべきじゃなかったー!!」

「とうまー。ジュース取ってー」

「自分で行ってくれー。上条さんはこたつから出たくないんですー」

「とうまー。ジュースー。とうまジュース。とうまジュース。とうまジュースとうまジュースとうまジュースとうまジュースとうまジュース…とうまジュース!!!」

「だー!もー!それじゃ俺が100%果汁のおいしい飲み物みたいだっつーの!上条さんは砕いても握り潰しても芳醇な香りの飲み物は出しませんー」

「むーってあれ?とうま。映像戻ってるよー」

「え?…………おお。本当だー。じゃぁ。今回はこんな感じで」

「良いの?何もしてないよ?」

「良いの。良いの。どっかのお二人がやってくれたみたいだし。それじゃ」

「「さよーならー」」














「最後くらいちゃんと挨拶したかったですー」
「ごめんね。小萌」
「良いですよー。姫神ちゃん。次回頑張るですよー」
「うん!」

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