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八月八日 【吸血殺し編?】

「必然、君をその地獄から救いだそう」

かつて聖女(ヒロイン)に誓い、それでも救えなかった主人公、アウレオルス=イザード。

「誰も、私を救ってくれなかった」

かつて吸血鬼(モンスター)に襲われ、それでもヒロインになれなかった、姫神秋沙。
2人が出会い、禁書目録の少女と幻想殺しの少年と交差する時、物語が始まる。







のだが、一方その日の綾峰は何かを忘れてたいた。
昼を過ぎて外が容赦ない太陽の光線により灼熱の地獄と化していた頃、

「何だったかなぁ………………?」

冷房の効いた風紀委員(ジャッジメント)の事務所にて綾峰は呟いていた。

「何だったけぇ………………?」

うーん。と唸る綾峰は事務処理仕事を淡々とこなしていた。

「何だったんだっけ?あるぇ~?」

先ほどからずっとこの調子でうんうんと唸り続けている。
それでいて綾峰の身長の2倍程に溜まった書類を軽々と処理していた。

「んー?何だったかなぁ………………?」

「もう、何だ何だうるさいですわよ。唯鷹さん」

綾峰が事務所内で延々と唸っていることに痺れを切らしたのか、白井が綾峰に注意してきた。

「うーんってあれ、黒子?お前今日は外回りは?」

綾峰の言葉に今まで自分の存在が気付かれていなかった事に気がついた白井は少々むっとした表情になりながら左肩に腕を吊るした右肩を示した。

「何言ってるんですの。この肩じゃ、外回りには行けませんわ。今日はここで唯鷹さんと……その、お留守番ですわ」

「………………あ、ああ。そうか……」

白井の言葉に聞いていた綾峰どころか、白井も赤くなる。
そして2人は見つめ合い、

「………黒子」

「………唯鷹さん」

「だー!!もー!!いちゃいちゃするなら外でやってください!!冷房の効いてる中だってのに2人のせいで暑すぎます!!」

初春の怒りの声に正気に戻されたのだった。









とある科学の事件体質(トラブルメーカー)第33話








「………っと、そう言えば綾峰先輩がさっきから唸っているのは何だったのですの?」

「さぁ、何だったかなぁ………なぁ、白井。今日何かあったっけ?」

初春に説教を喰らい、事務所内では今まで通りに呼び合うことを約束させられた2人は先ほどの話に戻った。

「今日は………八月八日………特に何も………………あ!!」

白井が思いついたように立ち上がった。

「どうした?」

「そう言えば今日は、お姉さまと私が会った日から4ヶ月目の記念日でしたわ!!」

何か祝う物を準備しなければと、言い出してきゃっと顔を赤くする白井に綾峰はつまらなそうに拍手を送る。

「………ワー、スゴーイ」

「…………何ですの?その反応は」

「イエ、ナンデモアリマセンヨ?」

「むぅ、ひっかかりますわね。まぁ、それは置いといて特に思いつきませんわ」

「…………はぁ。だよなー。っつうか。すっごい大事な事だったはずなんだけど……」

うーん、と唸りながら綾峰は右手で頭を抱えつつ、左手でぽんぽんと書類に判子を押していく。
そんな綾峰を見ながら白井はしばし考えるとぽつりと言った。

「だったら誰かとの約束では?」

「あれ?そうだったかなぁ?うーん、ちょいと待ってて聞いてみる」

そう言って綾峰は立ち上がって事務所の隅に移動し、携帯を取り出すと適当に電話し始めた。



『にゃー、峰やん。何の用にゃー?今日は俺は舞夏とのデートでいそブチッ』

『なんや、峰やん。もしかしてこの前話してた『ドキッ☆巨乳なポニーテールっ娘だらけのビーチバレー』でも借りたブチッ』

『よう、綾峰か。どうした?え?約束…………無かったと思うけどってインデックスさん!?流石にシェイク十個は俺の経済的には厳しいのですよ!?第一、シスターとして修業なんたらはどこに行った!?ツーツー』



「…………なんか違うっぽいなぁ」

綾峰は携帯を閉じると、席に戻った。
すると、同時にprrrrrrrrrrrrと携帯のコール音が鳴った。
ディスプレイを見るとQKYという文字が浮かんでいた。

「んー?どうしたんだ、黄泉川こっちに用事なんて」

普段は仕事なら、”裏”の携帯を使ってくる黄泉川が”表”の携帯に電話してくることはほとんどないからだ。
綾峰がそう言って珍しがっていると黄泉川は今にも爆発しそうな何かを抑えるような声で聞いた。

『あんた………まさか忘れてたんじゃ』

「へ?何が」


『今日は、雲雀の誕生日じゃん』


「な、なんだとおおおおおおおおお!!!?」

綾峰の突然の叫びに電話の向こうの黄泉川だけでなく、事務所にいた白井と初春は驚いて飛び上がった。








「と言うわけで、俺と黒子は地下街に来た」

「何がと言うわけですの。というか誰に言ってるんですの?」

「気にすんな」

綾峰達が地下街に来たのは、夜にある雲雀の誕生日会のプレゼントを買う為だった。
本当は流行の物を第十五学区まで買いに行きたかったのだが、誕生日会までの時間が足りないのでデパートの集合地帯に来たのだった。
ついでに仕事は全部初春に押し付けてきたのは秘密だ。

「それにしても、黄泉川も教えるの忘れてたって…………あんにゃろぅ」

危うく雲雀の誕生日を祝ってあげられない所であったことに綾峰は怒っていた。

「まぁ、唯鷹さんも何だかんだで入院やらなんやらやってましたし。言う暇が無かったのでは?」

「まぁ、そうなんだろうけどさ。メンドクセー」

はぁ、とため息を吐きつつ、綾峰は白井に詫びる。

「そう言えば、誕生日プレゼントを買うの付き合ってもらって悪かったな」

「べつに構いませんわ。第一、唯鷹さんだけだとどんなとんでもない物を買うか心配になって付いてきただけですもの」

「…………はいはい、ツンデレ乙。まぁ、実際女の子がどんな物喜ぶんだか知らねぇしな。サンキュー、黒子。」

「なっ!何がツンデレですのっ!?」

「それじゃ行くぞー、黒子~」

「ちょっ!待って下さいですの!唯鷹さん!?」

ぎゃーぎゃー叫ぶ白井を連れながら綾峰は地下街の奥に進んでいった。



「忘れてた。何で俺は忘れてたんだ」

綾峰は己が忘れていた事実をやっと思い出し、後悔の念に駆られていた。

「? どうしましたの?」

白井はきょとんとした表情で頭を抱えている綾峰を見る。
白井の手には、クマのぬいぐるみが抱えられていた。
片目を閉じ、舌を出した表情をしているのがチャームポイントなのだろう。
それだけなら綾峰とて構わないのだが、

(こいつも『お嬢様キャラ』なんだよな。
いや、普段から、お姉さまとか、風紀委員とか、ナイムネとか、百合とか、ナイムネとか、そういったところばっかり目立ってたから忘れてたけど)

ぬいぐるみの値札には娘に買いに来たサラリーマンのお父さんも卒倒するような値段が書かれていた。
もちろん、ただの学生である綾峰にそんなぬいぐるみは買う事はできない。
それを白井はさも当然のように持ってきたのだ。

「喰らいなさいですの!!」

「って黒子?黒子さん!?黒子様!!?何でいきなりドロップキック!?ってぎゃあああああああーもー、メンドクセー!!」

白井の突然のドロップキックに綾峰は受け身も取れずにもろに喰らい、そのまま白井の下敷きになる形になった。

「…………何か今、女として全力で唯鷹さんにドロップキックをかまさないといけない気がしたんですの」

そうかい、と綾峰はため息を吐き、自らに足を乗せている白井に諭すように言う。

「………………とりあえずそのぬいぐるみは値段的に買えないから元の場所に戻すように、あと黒子、そんな大人パンツはお前にはまだはyぐふッ!!」

白井は真っ赤になりながら綾峰の鳩尾を踏むと、スカートの裾を手で寄せて隠しながら綾峰の上から退いた。
そしてぽつりと呟く。

「………………唯鷹さんのスケベ」

「い、異議あり!!俺は見ようとして見たわけじゃないですよ!?」

立ち上がりながらも綾峰は必死に反論する。

「見た事に変わりはありませんわ」

黒子は真っ赤な顔をそっぽを向いて綾峰から隠しながらクマのぬいぐるみを元あった場所に戻した。

「と、とにかく雲雀ちゃんぐらいの年の女の子なら髪飾りかぬいぐるみが良いと思いますの」

「だとしても、ここは無理だって」

綾峰は店内を見回しながら言った。
綾峰達が来たのは地下街の一画にあるブランドショップだった。
店内は落ち着いた雰囲気でありながら、学生が多いせいか先ほどの綾峰達の喧騒も特に気にされている様子はない。
と言ってもその学生はほとんどが明らかにお嬢様な人達だらけで綾峰にはどうにも居づらい場所だった。
また、値段もなぜか異様に高い物が多く。こんな値段設定で儲かるのかと、初めて来た店に心配すらする綾峰だった。

「それにしても、ぬいぐるみにこんな値段がつくとは…………学園都市だからこそ成り立つんじゃないか?」

「あら?そうですの?プレゼントってこれくらいが普通だと思ってましたけど」

「………………ぜってー、お前に財布のひもは渡さない」

「……なんでそうなるんですの?」

白井は訝しげな表情で問うが、綾峰はため息を1つ吐くだけで答えなかった。

「……まぁ、時間もないし他の店行くぞ」

「何か納得いきませんが、わかりましたわ」





日が沈み、誕生日会まで時間が迫っている中、2人は急いで黄泉川の家に向かっていた。
誕生日プレゼントを選んでいるうちにこんな時間になってしまったのだ。

「それにしても、結局何だったかなぁ?」

その途中、綾峰がふと思いついたように呟いた。
その手にはプレゼントの入った紙袋が握られていた。
綾峰は桜の髪飾りを、白井はクマのぬいぐるみを買う事になり、綾峰の持つ紙袋にはそれぞれがラッピングされた状態で入っている。

「……どうしたんですの?」

「いや、雲雀の誕生日でなんだかんだで忘れてたんだけど、まだ何か思いださなきゃいけない事がある気がして」

「まだ言ってるんですの。なんならもう一度電話でもしてみたらどうですの?」

「そうだな。してみるか」

歩きながら綾峰は特に意図せず、上条に電話した。





三沢塾、科学と魔術が交差した場所で上条とステイルはある男の目的について話し合っていた。
男の名はアウレオルス=イザード、3年前のインデックスのパートナーであり、神裂やステイルと同じくインデックスを救えなかった者。
その男は今、学園都市に潜り込み、あろうことか『吸血殺し』を監禁していた三沢塾ごと乗っ取ったのだ。
そのためにステイルと上条はここに共闘することになった。
一度はアウレオルスによって撃退された彼らだったが、上条の右手により再度彼らは敵の本拠地三沢塾に潜り込んでいた。

「2年前が僕と神裂、役割は『友達』。3年前がヤツで役割は『先生』。ついでに4年前は『姉弟』だったかな。とにかく僕等の末路は皆同じでね。インデックスの記憶消去を食い止めようと必死に足掻き、そして必ず失敗する」

ステイルは吐き捨てるように言うと言葉を繋ぐ。

「当然、ヤツも同じ末路を辿ったはずだが―――なるほど、結果が出ても認められなかった訳だ」

「……どういう?」

「簡単だ。別に僕達歴代のパートナーは、別にインデックスにフラれた訳じゃない。単に彼女に忘rprrrrrrrrrr…………またか、またなのか!!」

ステイルの言葉を遮るように携帯の着信音が三沢塾に鳴り響いた。

「わ、悪い。今切るから!!」

「何だ、僕は携帯に呪われているとでも言うのか……」

ステイルはやり場のない怒りにふるふると全身を震わせていた。

「なんて言うか………………どんまい」

普段不幸体質である上条が少し嬉しそうだったのは上条だけの秘密だ。




「………………おっかしいな、切られた」

綾峰は首を傾げながら呟いた。

「っと、唯鷹さん。そろそろ急がないと本当に間に合いませんわよ」

「げっ、やばっ。後十分ないじゃん。ったくメンドクセー」

綾峰は先ほどまで頭の中を支配していた、気掛かりを無理矢理忘れると白井と慌てて黄泉川の家に急いで行った。





後日。

「え?上条また入院してんの?」

「うん。まったくとうまっていつもああなの?女の子がからむとすぐ走り出して。ぷんぷん」

昼ごろ、綾峰はスフィンクス(三毛猫)に餌を上げているインデックスとたまたま出会い、愚痴を零されていた。

「………………あれ?あ、ああああああああああ!!思い出した!!」

「え?え?何、何が?」

突然叫び出した綾峰にインデックスは驚いてスフィンクスの餌の入ってる皿を蹴ってしまう。
中身のネコ缶(頼まれて綾峰が買い与えた)が吹き飛んでスフィンクスは飼い主の如く、

「ニャ、ニャーー!!(ふ、不幸だー!!)」

と叫ぶが、綾峰はそんな事に気を回しているほど余裕はない。

「何で、俺は忘れてたんだ!!」

「ど、どうしたの?何かあったの!?」

綾峰の様子にインデックスは慌てて訊ねる。

「昨日の雲雀の誕生日会にカエル医者を誘ってやれば良かった」

「あ、そう。って誕生日会!?ってことはケーキとかあったの!?」

インデックスは彼女らしく食べ物の話に飛びついた。

「え?あ、ああ。てか残り物で良ければケーキあるよ。っつーか。黄泉川のヤツ雲雀に色んなケーキを食べさせたいからって20人分のケーキを作るってあり得なくね?」

「そ、そんなに!!!?ってことは残り物って」

「ああ、ほぼホールが五人分はあるけど。食べる?」

「食べる、食べるー!!」

「にゃー、にゃー!!」

この時、綾峰の頭の中には昨日引っかかっていたことなど完全に忘れていた。

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