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八月六日 壱【狂乱逢引編】

第七学区、コンサートホール前。
カップルやアベックの集合場所として名高いこの場所では、たくさんの男女の組み合わせがいた。
その中に1人、壁に寄りかかっている常盤台の制服に身を包んだツインテールの茶髪の女の子がいた。
どことなく慣れない雰囲気に圧されつつも少女は回りを見てカップルしかいないこの空間で居心地が悪そうにしていた。

白井黒子だった。

普段とは違い、今日は風紀委員(ジャッジメント)の腕章はしていない。
ふと、白井は呟く。

「…………遅いですわね…………」

携帯の時計を見ると既に集合時間の10時から30分が経っている。
カップル達がそれぞれお互いの相手を見つけて去っていくの1人見ているのは意外としんどいものがあった。

「もしかしてどこかでまた事件に巻き込まれて………………ありうるから嫌ですわ。はぁ」

妙な想像をして、白井はため息を吐いていた。







とある科学の事件体質(トラブルメーカー)第26話








「きれいな空だろ、10時なんだぜ、もう」

…………………………………………(汗)

「遅刻だああああああああ!!!」

朝の学生寮に綾峰の叫びが響き渡った。


「目覚ましセットしておいたのに!?」

目覚まし時計は何故かセットしておいた8時より1分前の7時59分で止まっていた。
なのでそのまま眠っていた綾峰が気がつけば朝の10時だったのだ。

「ああ、もうメンドクセー」

愚痴を言っていても始まらないと、綾峰はすぐに顔を洗い身支度を始めた。
まず朝食はパス、食べてる時間なんてないし、後2時間もすれば昼だ。
着替えは特に凝った格好ではなく、普通の学生服。
常盤台は外出時の学生服の着用義務があるから、白井も学生服で来るだろうし。
携帯よし、財布よし、中身よし。
よし、後は出かけるだけだ。
そう考えて外に出ると、いきなり学生寮の通路に倒れているインデックスを見つけた。

「……………た」

インデックスの口から微かな声が聞こえてくる。
何か、壮絶に嫌な予感がした。

「お腹、減った」

「上条に食べさせて貰いなさい」

即座に上条にパス。

「しかもまだ昼前にもなってないよ?」

時間は10時10分。
お昼にしては早く、朝ご飯には遅い時間だ。
こんな時間に食べるものとしたらせいぜいお腹がぷっくり膨れた大人が食べるという伝説の10時のおやつ程度だろう。

「とうまは学校に行ってていないもん。それに食べ物が冷蔵庫になかったからお昼も食べれないし、朝のあの量じゃ私には足りないんだよ」

どうやら上条のところではエンゲル係数が急上昇しているようだ。
綾峰は時計をちらりと確認してすぐに行くべきだと判断する。

「インデックスさん。俺はこれから出かけるんで「そう、じゃぁ。仕方ないね。ばいばい」………………わかりました、わかりましたよ、とりあえずお金貸すんでコンビニで何か買いなさい」

哀愁を漂わせる少女を見捨てられるほど綾峰は外道ではないのだ。

「え?良いの!?わーい。ありがとう」

嬉々として綾峰から千円札を受けとるインデックス。
即座に起き上がるところを見るとこの娘はかなりゲンキンなようだ、と綾峰は判断した。

「どういたしまして、それじゃ。俺はこれから出かけるから。良い子にしてるんだよ?」

「はーい」

子供にお留守番をさせる父親ってこんな気分なんだろうなぁ、とか綾峰が思っていたのは秘密だ。



「って遅刻!」

慌てて綾峰がエレベーターに乗り、1階に降りると、
寮の入り口に、

「おにーちゃーん」

緑色のワンピース姿の雲雀がいた。
肩にショルダーバックをさげている。

「あるぇ~?どうしたんだ雲雀」

予想外の人物の登場に綾峰は驚く。

「今日はおねーちゃんが忙しいからこっちで預かってもらえって」

「………………あのQKY」

綾峰は小声でぼそっと呟く。

(どうしよう、子供を1人で部屋に置いてくわけにはいかんし、かといって連れて行くのはダメだろうし………………。とりあえず黄泉川は後で倒す)

あのレベル3程度の能力者なら笑って倒す黄泉川に挑んでやられるのは綾峰だろうが、ヲトコには負けると分かっていても戦わなければならない時がある。

「? どうしたの?おにーちゃん?」

(ああ、そう言えばインデックスがいたな)

彼女も1人でいるらしいし、2人分ぐらいにはなる昼飯代も渡してある。
午後になれば上条も戻ってくるだろうし、さすがにヤツも10歳の女の子相手にフラグは……………………立ちそうで困る。
信頼のおけない友人にため息を吐いて、まぁ大丈夫だろうと判断した綾峰はインデックスのところに雲雀を連れていくことにした。

「すまんが、今日は俺も用事があって……その……代わりといっちゃなんだが、インデックスっていう人と……………………いや、一緒に行くか?」

「うん!」

綾峰の言葉に壮絶なまでにショックを受け、それを目に涙を溜めて我慢している少女相手に見ず知らずの人間と留守番してろと言えるほど綾峰の心は強くなかった。

(白井なら……分かってくれる、か?)

そう考えて手を繋いで2人で寮を出て表通りを歩き出す。

「ふぅ、この分じゃもう無理か……いや、もとから遅刻だし…………」

白井に連絡をしようと、携帯を出すと、


雲雀が黒塗りのワンボックスカーから身を乗り出した男に捕まれた。


雲雀が捕まれれば雲雀と手を繋いでいる綾峰も引っ張られる。

「は?」

という、抜けた声を上げながら綾峰はぶっ倒れた。
そのまま手にもっていた携帯が投げ出される。
気がつけば黒い車は遠くへと走り去っていった。

「な? え?」

綾峰は自分に、というより雲雀に何が起きたのか理解できない。
そしてすぐに理解する。
雲雀が誘拐されたのだと。
それも自分の目の前で。

「ひばりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」

綾峰の叫びが表通りに木霊した。





直後の綾峰の動きは素早かった。
すぐに携帯を拾って寮の自転車置き場に行くと、自転車を出して車を追って走り出したのだ。
雲雀を攫っていった犯人は車に乗っていたので、いくら足より速い自転車でも追いつく事は不可能だが、綾峰の場合は違う。
綾峰の能力、『能力解析(AIMリーダー)』を使えば特定の人物のAIM拡散力場を追跡することも可能なのだ。
前に解析したことのある雲雀のAIM拡散力場はわかっている。
これなら多少時間はかかっても犯人の後は追う事ができる。
同時に綾峰は携帯で警備員(アンチスキル)を呼ぼうとしたが、携帯の画面は何も映していなかった。
どうやら先ほどの転倒で吹っ飛んで画面が砕けてしまったようだ。

「くっそ。つかえねぇな!」

叫びながら綾峰は一気に自転車を走らせていった。






第七学区、とある路地裏。

「おい、聞いたか?」

1人の金髪の少年が楽しそうに仲間の少年達に声をかけた。
彼らはスキルアウトと呼ばれる無能力者達の集団だった。

「何がだよ?」

「何でも第五学区のグループやつらが報復に警備員(アンチスキル)の身内を狙うんだとさ。さっき第五の奴らが言ってたぜ」

「うわっ。腐ってんなぁ。んで、その哀れな被害者は?」

「ああ、黄泉川ってヤツの身内「何だとおおおおおおおおおおおおおおおお!!!?」は、はいいいいいい!!?」

突然、スキルアウトの1人が声を上げ、楽しげに喋っていた金髪の少年は驚いて腰を抜かす。
しかし、声を上げた少年はそんなことも構わず、腰を抜かした金髪の少年の胸元を掴んで聞いてきた。

「おい!それは本当か!?本当なんだな!!?」

「あ、ああ。なんでもこれから決行するとか言ってたっていてぇ!」

胸元を掴んでいた少年は、金髪の少年をそのまま放り投げ、携帯を取り出すとある所に電話した。

「…………おい、リーダー。これから第五のやつらを潰すぞ」

『……どうした?』

陰鬱な声が携帯の向こうから聞こえてくる。

「あいつらに黄泉川の身内に手を出したらどうなるか思い知らせてやる」

そう言って、服部 半蔵(はっとり はんぞう)は細かな指示を出し始めた。







第七学区、とある道端。
茶髪の少年は服にジュースを零していた。
紅い色をベースにした学生服に身を包み、ボタンを開けたシャツの下に赤いシャツを着た少年は口の回りからその下にかけてまでびしょびしょになっていた。
先ほどすれ違った黒い車から出ていた誰かの手が歩道にいた少年のジュースの缶を持つ手にぶつかったのだ。

「ははははっ!ははははっ!!」

少年は怒りで笑う。
回りの人々は少年の笑い声に半分引きながら、少年を遠巻きに見ていた。
しかし少年はそんな視線を気にもせず、自分の服を汚すという挑発行為を行った(ように見えただけだが)度胸ある相手を称賛していた。
命を捨てても良いという度胸ある相手を。
とりあえず下手人をぶちのめすため、少年は先ほどすれ違った車を追いかける事にした。

彼の名は垣根 帝督(かきね ていとく)。

世間的にはレベル5の第2位として有名だった。

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