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七月二十五日 【禁書目録・幻想殺し編】

そこは、花畑だった。
綾峰は花々の香しい香りに穏やかな気分を味わいながら一抹の不安を覚えていた。
それは、既視感。
遠くを見れば川のようなものが見える。
その先で誰かが手を振っていた。
少し近づいて目を凝らしてみる。
そこには、白井がいた。
ああ、無事だったんだな。と綾峰は安堵する。
白井をあのAIM拡散力場の塊から抜き出した後、何も覚えていない。
ふと、白井がこっちに気がついたのか、手を振っていた。

「唯鷹さ~ん」

ぶふぁ!!
何かが綾峰の中で弾けた。

「いやいやいやいや、落ち着くんだ、綾峰。落ち着け。白井は単に俺を下の名前で呼んだだけだ。そう呼んだだけ。別に何かこう親しみが込められていたわけじゃない」

「大好きですわ~」

ぶるあああああああああああああああああ!!
何かが綾峰の中で大爆発した。

「落ち着け。これは夢だ。これは夢だ。これは夢だ。前をみろ。現実を思い出せ。白井がこんなことを言うはずがない」

「何言ってんや、峰やん。君はもうこっちにおるんやで?」

「そうにゃ~。現実はこっちだぜぃ。峰やん」

「君も此方側に来たんだ。認めてもらうよ」

首がぎぎぎと不吉な音を立てながら後ろからの声の主を確認する。
そこには、ロリコンデルタフォース(ロリコングラス、ロリコンピアス、ロリコン神父)がいた。
綾峰はダッシュで走り出した。
向こう側をみる。
そこには白井ではなく、上条がいた。

「綾峰ー!!こっちだ!!早くこっちに来るんだ!!」

「かみじょおおおおおおお!!」

綾峰は一気に駆けて行く。
河辺に辿りつくと、慌てて川の中を進んでいく。

「綾峰!!後ろだ!」

「なっ!?」

上条が叫んだ瞬間、綾峰は何かにがしっと足を掴まれる。
水中を見ると、そこには、

「おにーちゃーん。こっちおいでよー」

「そうですわー。こちらにおいでませー」

「綾峰ちゃーん。こっちですよー」

何かお化けじみた年下の女の子(+1名)がいた。

「か、かみじょおおおおおおお」

「あやみねえええええええええ」

もう少しで、上条の手に届く。
そして、

「何をやってるにゃー?」

「ほらほら、こっちやでー」

「逃がさないよ?」

ロリコンデルタフォースが綾峰の肩を掴んできた。

「ぐっそおおおおおおおおおお」

それでも、綾峰は手を伸ばす。
社会的な烙印から逃れるために。

そして、届いた。







「はぁ、はぁ、はぁ」

綾峰は肩で息をしていた。

「良かったな。綾峰」

そう言って上条は笑う。

「ああ、助かった。ありが………と………ぅ?」

感謝の言葉を言おうとして綾峰の声が消える。

「あん?どうしたんだ?」

そこには、ロリコンと描かれた判子が上条の額に押されていた。
上条は唖然とする綾峰の前で立ち上がると、ロリコンデルタフォースと共々言った。

「「「「ようこそ、仲間(ロリコン)よ」」」」







とある科学の事件体質(トラブルメーカー)第19話








「って、どっち転んでもロリコンエンドコースはあんまりだと思うんですが!!?」

叫びながら綾峰は起き上がった。

「はぁ、はぁ…………はあぁ。上条。お前もか…………」

そう呟いて、綾峰は回りを見た。
どうやら病室の中で綾峰は眠っていたらしいが、部屋の中は薄暗い。
窓からは外の景色が見えるので、どうやら夜らしいことはわかったが、

(俺は何日間眠ってたんだ?)

栄養剤の点滴が打たれているとこをみると1日2日は眠っているとはわかったがそれ以上は分からなかった。
とにかく一旦自分の体調を確認することにした。
体調の方はだるい。
これでもかってぐらいにだるかった。
外傷は痛み止めでも効いているのか、特に感じられない。
ただ、右手が包帯でぐるぐる巻きにされているのは暗闇でもわかった。
この分では明日明後日は動けるかは分からない。だが、もう時間はない。
下手をすれば今日。あるいは明日か明後日には上条は”死ぬ”。
既に”その日”が過ぎている可能性もあるが、それは考えたくないので今は後回し。
まぁ今日だとしたら、何ができるか?
能力の演算…………できる。
これなら『空間移動』も可能だろう。
最悪、『空間移動』で向かうしかない場合も考えておく。
次に、上条がいつから眠っているかを考えねばならない。
上条が”死ぬ”正確な日付けを覚えていれば話は別だが、綾峰が覚えているのは、

『上条が神裂に倒されて3日後の夜中に”死ぬ”ということ』

ならば、上条が倒されて眠り始めた日がわかればどうにかなる。
だとすると、小萌先生に電話するのが一番かもしれない。
彼女の家の電話番号はわかっている。

(なら、とりあえずはベッドを出て電話を探さなきゃならねえな)

綾峰は結論を出すと、ベッドから降りてみる。
がくっと足に力が入らず綾峰は倒れる。

「くっ……そ」

それでもどうにか点滴の台を杖代わりに起き上がり進む。
薄暗くてよく見えないが、出口らしい扉に向かって歩く。
途中、何度も足がもつれて倒れそうになったが、どうにか扉に辿り着いた。
綾峰は扉を開け、病院内を進んでいく。






上条は眠っていた。
その横でインデックスはシスターのように(実際シスターだが)看病している。
顔の汗を拭き、ぬるくなった額のタオルを水に浸して冷やす。

「シスターちゃん。もう寝ても良いですよ?後は先生がやりますから」

横にいた小萌が言う。
インデックスは昨日から寝ていないのだ。
昨日上条を血だらけの状態で発見し、連れ帰るとインデックスは守れなかったと言って責任を感じていたようだった。

「ううん、とうまの看病はわたしがしなきゃ。でも、ありがとう。こもえ」

「別にいいですけど。無理はしちゃだめですからねー」

「うん」

小萌はそれだけ言うと、研究資料の本を読もうとして手近にあった本を開く。
その時、電話が鳴った。
インデックスがちらっと小萌の方をみる。

「先生がとるから良いですよー」

「うん、わかった」

そう言ってインデックスはとうまの方に向き直った。
小萌は黒電話の受話器を取ると、

「はーい、月詠です。どちらさまですかー?」

『…………小萌先生?』

綾峰だった。

「綾峰ちゃん?どうしたんですかー、こんな時間に?何かあったんですか?」

『先生、1つ聞きたいんだけど。今日は…いや、そんなことより上条が倒れてから何日経ちました?』

「ッ!?な、何で綾峰ちゃんが上条ちゃんのことを知ってるですかー!?」

『あ、あー。それはまぁ、虫の知らせ、かな?』

「むー、自分も信じられないような嘘はやめて欲しいですー」

『あっははは…………。まぁそんなことはともかく……何日…経ちました?』

「そんなことって…ふぅ。上条ちゃんが倒れていたのを見つけたのが昨日ですから、1日ってところですよ」

『1日…あと2日か。分かりました。ありがとうございます』

「ところで綾峰ちゃんはどうしたんですかー?なんか息が荒いですよー?」

『え?いや。そんなことは…………ない…で…す…………』

「…………?綾峰ちゃん?」

『………………………………』

「綾峰ちゃん!!どうしたんですかー!!?」

『………あ、すいません。夜分遅くにすいませんでした。俺は大丈夫ですから。また明日かけます。おやすみなさい』

それだけ言うと綾峰からの電話は切れた。

「もー!!なんなんですかー!?先生心配なのですよー?」

「どうしたの、こもえ?」

「むー、綾峰ちゃんが今にもぶっ倒れそうな声で電話してきたんですよー。もー先生は心配ですー」

「あやみね?ゆたかのこと?」

「あれ?綾峰ちゃんを知ってるですかー?」

「うん、前に一度だけとうまの部屋の前であったよ」

「そうですかー。綾峰ちゃんは明日もかけると言ってましたし、今は待ちますかー」

「そうだね」






「あと、2日…………微妙だな」

そう言って綾峰は体の状態が自分が思っている以上に酷かった事に気がついた。
右手意外は特に外傷は見当たらないものの、体を動かす度に筋肉痛が走る。
それに足は力が入らないでいた。
目も既にぼやけている。

(やべ、もう体動かねぇな…………さっきも電話中に意識飛んだし……とにかく、今は寝るか……)

綾峰は意識を投げ出した。






一方、その頃の白井と御坂。


「やっと終わったー!!」

そう言って御坂はブラシを投げ上げた。
昨日、事件が終わりどうにか寮に帰ると既に門限を過ぎていた。
隠れて帰ろうとしたが、待ち伏せしていた寮監に見つかり、罰としてプール掃除を言い渡されたのだ。

「はぁ、私疲れましたわ」

白井も御坂の横でため息をついていた。
御坂は暗くなった空を見上げ呟いた。

「門限すぎちゃったわね。まぁ罰としてプール掃除やってたんだし…………大丈夫よね?」

「…………断言できませんわ」

「とにかく帰ろう。その”子”もお腹すいてるでしょうし」

そう言って、御坂は白井の頭の上にいたものを撫でた。

「きゅい」

御坂が撫でるのを特に嫌がるでもなく、撫でられるままになる”それ”に、

「うーん。やっぱりこうやって逃げられないってのはうれしいわぁ」

御坂の頬は緩みまくっていた。

「それにしてもこの子は何なのでしょう?」

そう言って白井は頭の上にいた”それ”を両手で持ち上げる。
それは、トカゲのような犬のような奇妙な生き物だった。
黒い毛に覆われ、尻尾は長く、それでいて顔はトカゲのようだった。

「どこかの研究施設の実験動物が逃げ出してきたんじゃない?」

「ですが、気がつけば私のベットにいたのですわよ?」

「うーん。じゃぁ昨日アンタが連れ帰ったんじゃないの?」

「そんなはずはないですわ。第一それだったら覚えてますもの」

「だよねー。ま、何にせよ。さっさと帰るわよ。黒子、ゲコ太」

「…………お姉さま?そのゲコ太っていうのはこの子のことですの?」

「え?ダメだった?」

「………クロで良いと思いますわよ」

「きゅい!」

「えー。まぁ、いっか。そっちの方がその子も喜んでるみたいだし」

「じゃぁ、帰りますか。お姉さま。寮監に見つからないようにしなければ………」

「そうね………気をつけないとね」

ごくり、と2人は昨日の恐怖を思い出していた。




結論、クロは見つからなかったが、門限を過ぎたとして2人は翌日も罰を喰らうのだった。

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