スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

七月十六日

「不幸だ………不幸すぎるー!!」




「なんて叫ぶのはいつものように上条だと思っただろう?残念でした、俺は綾峰 唯鷹(あやみね ゆたか)そこら辺にいる高校生だ」

「うるせー!テメェ、静かにしてろってのが聞こえねぇのか!」

「はい!すいませんでした!!」

拳銃を突きつけて銀行強盗犯が綾峰を黙らせる。
綾峰はごくフツウの高校生だ。
1日1回は何かの事件に巻き込まれる、この事件体質(トラブルメーカー)でなければ。





とある科学の事件体質(トラブルメーカー) 第1話






銀行の名前は「いそべ銀行」。
学園都市にある銀行の1つで、綾峰は月に1回ここに金を下ろしにくる。
今日もいつも通りに通帳からなけなしの金を下ろして、綾峰はため息を残して銀行から出ようとした。
そこに突然、中から爆発音が響いた。

「っ!?」

「テメェら動くなぁ!!」

驚いて振り向いた綾峰の目の前で黒いジャンパーとジーンズをはいた身長180cmは軽く超える大柄で太った男が女の子を掴み顔に手を押し当てていた。
顔には白いハンカチが覆われており、どう見ても銀行強盗だった。
回りを見ると揃いの白いハンカチと服装に扮した白髪の小柄な男と中肉中背の男が警備員達を気絶させていた。

「この場にいる全員、その場に座れ!」

中肉中背の男が客たちに手から炎を出してみせながら命令した。

「いいか、お前らが少しでも許可なく動いたら、このガキの顔が二度と人様に見られないようになるからな!!」

小柄な男がそう言って、大柄な男は左手で女の子の体を抱いて右手で炎を出して見せる。

「いやーーーー!」

「黙れっつってんだろ。燃すぞこらぁ!」

女の子が恐怖のあまり叫び出すがすぐに犯人の1人に脅されて泣きやむ。
3人はその手から出した炎をちらつかせて回りの客や銀行員達を脅していく。
恐怖で青ざめた客たちは強盗達の命令に従ってその場に座り込んだ。
綾峰は女の子を助けたかったが、ああやってあからさまに脅されては動けない。
綾峰も他の客と同様に静かにその場で座り込んだ。
銀行強盗達のうち2人が客たちを見張りながら、1人が金を袋に詰めさせている。
座りながら綾峰は最近後輩のオセロ(綾峰命名)に聞いた話にあった「連続発火強盗」の一味なんだろう、と推測する。
見張り2人の視線が外れた瞬間を狙って綾峰は目を閉じると意識を集中し始めた。

『能力解析(AIMリーダー)』発動。

瞬間、世界の色が反転する。
綾峰のまぶたに映るように強盗犯達の姿が見えてくる。
しかしその姿はオーラに包まれたように赤く変色していた。

(このパターンは『発火能力』か、んでレベルはだいたい2が2人に、3が1人か)

綾峰の見ているオーラは犯人達の放つAIM拡散力場だ。
そしてその色や形状、大きさなどから犯人達の能力を解析する。
しかしこの程度の情報なら街中を歩いていても綾峰には簡単に解析できる。
今回、わざわざ目を瞑ったのはその先を行うためだった。

(んじゃ、潜るか)

独特の言い回しをして綾峰は更に深く解析を始める。

(感情パターンに幾らか”余裕”が見られるな、だいぶこなれてきて油断してんのか?それにしても半分以上が”愉悦”と”諦念”か。こいつら何かしら自暴自棄になってやがるな)

綾峰は犯人達の感情パターンを的確に当てて、その心象を把握していく。

(やっかいだな。こういう手合は後先考えないで特攻してくるし。あー、でも上条やらオセロやらはきっと関係なく立向うんだろうなー。メンドクセー。俺もたまには頑張るか)

綾峰は犯人達のAIM拡散力場を解析していく。
そして、ジャスト1分後解析を終えた綾峰は目を開けた。
犯人達は丁度金を詰め終わった袋を掴んでいるところだった。
犯人達のリーダー格らしい中肉中背の男が導火線のついた白い玉を持っていた。
どうやら小規模の爆弾らしい。あれを投げて逃げるのだろう。
確かオセロが言っていた発火強盗の常套手段だ。
既に犯人達の感情は油断が生じているのが能力で感じ取れた。

(今だ!)

犯人が導火線に能力で火をつけようとした瞬間、綾峰は己の武器を発動した。

「あれ?」

犯人の1人が異変に気がつく。

「ん?何してんだよ。さっさと火ぃつけろよ」

小柄な男が催促する。

「いや、あれ?何でだ?あれ?」

「どうした?」

大柄な男が訊ねるが、中肉中背の男は軽いパニックを起こしていて返事をしない。

「おい、いい加減にしろ」

小柄な男が爆弾を奪い取って自分で火をつけようとするが、

「あ?」

その手が止まる。

回りの客たちも強盗犯達の様子に不審がる。

「どうしたんだ?」

「おい、お前能力使ってみろ」

「は?何言ってんだ?」

そう言いながらも能力を発動しようとする大柄な男。
しかし発動しない。

『AIMジャミング』

それが綾峰のAIM拡散力場を媒体としての技だった。
他人のAIM拡散力場を解析し、逆位相の力場を綾峰自身のAIM拡散力場を介して発生させる。
そうすることで能力を封じることができるのだ。

「な、どうなってんだ?」

そう言って大柄な男は能力に集中しようとしたのか女の子を下ろそうとした。
綾峰が犯人達に向かって走り出したのはその瞬間だった。

「なっ!?」

驚く犯人達、だがもう遅い。

「どりゃぁあああ!!」

叫び声と共に俺が女の子を奪い取ると、庇うように客たちの中に滑り込んだ。
他の客たちから歓声があがる。

「なんだ、テメェは何だってんだ!?」

「俺は、風紀委員(ジャッジメント)だ!!」

「んな!なにぃぃぃ!!」

「く、風紀委員(ジャッジメント)だと!?」

「くそう、風紀委員(ジャッジメント)か。ここでおしまいか」

そう言ってうなだれる犯人達をすぐに取り押さえると、やっとこさやってきた警備員(アンチスキル)に犯人達を引き渡す。
そして俺は銀行から感謝され、幸運にも謝礼金として100万円を受けとったのだった。



~完~













(…………なんて妄想をしてた時期が俺にもありました)

「貴方という人は…………阿呆なんですの?馬鹿なんですの?死ぬんですの?」

と、綾峰は部下のオセロこと白井 黒子(しらい くろこ)に説教を喰らっていた。

「通信機で警備員(アンチスキル)に通報しながら犯人の能力を封じたのはお手柄ですが、結局拳銃で取っ捕まった揚げ句に爆弾はライターで着火されて逃亡されかけて、しかもその取っ捕まった原因がバナナの皮でずっこけたってのはもうそれはギャグですの!?」

「ぎゃー!!それ以上俺の忘れたい現実をこんな公共の場で大声で叫ばないでくださいー!!つーか、再認識させた上で恥辱にまみれさせるのはあれですか!?羞恥プレイですか!!?って無言でダーツを構えるな!っつーか飛ばしてくんなー!!」

結局、あのあと強盗犯達は逃げ出したまたま外にいた白井と御坂 美琴(みさか みこと)によって解決したものの、同じく風紀委員(ジャッジメント)の後輩の初春 飾利(ういはる かざり)が駆けつけたら芋虫のように縛られた綾峰が発見されたのだった。
そして事の顛末を聞いた白井がキレたのだった。
現在、綾峰と白井はファミレスにいた。
御坂は犯人達の1人によって服が汚されたので着替えるために先に帰り、初春は風邪ぎみなので同じく帰っていった。
そして残された綾峰は1人誰も止めない白井の説教ルートへと入ったのだ。
しかもこのルートを抜け出すにはなけなしの金を払って2500円というジャンボウルトラパフェなるものを奢らねばならないという貧困ルートだ。
しかし今日の白井はジャンボウルトラパフェをいらないと言い放った。

「これはあれですか?今日こそは一夜通して説教してやるというやる気の現れですか!?」

「そ、そういうわけではありませんわ!ただ、今は単に…その…」

そうどもって赤面する白井。
それに気がついた綾峰は一言。

「あ。もしかして、今ダイエット中?そりゃそうだよな。あんだけ毎日俺にジャンボウルトラパフェを奢らせてんだもんな」

2人の側に座っていた客たちの耳にプチンという何かがキレる音が聞こえた。

「フフ、ウフフフ。今日と言う今日は貴方のその腐った性根を骨の髄まで叩き直してやろうじゃないですの」

「あれ?白井?白井さん?白井様?何でその手にそのような明確に凶器っていうかトンカチをもって笑っておられるのですか?ていうかさっきまでそんなもの持ってなかったように綾峰は記憶してるわけですが?ってトンカチはだめぇぇぇ。死ぬっていうか出ちゃうから出ちゃいけない何かが頭から出ちゃうから!俺は某マンガの学園長じゃないから!!タンコブ1つじゃすまないから!ぎゃー!!」


閑話休題


「ただでさえ貴方の能力は低能力者達には意味が無い上に、大能力者や超能力者相手にはせいぜい能力の威力を落とす程度しか力がないという中途半端な能力なんですから。あまり無理はなさらないでくださいまし」

そう言って白井の説教は終わった。
既に夕方の銀行強盗事件が終わってから6時間は経過していた。
その間トイレと寮官対策に御坂に白井が電話している以外はずっと正座させられていた綾峰の足は既に自力で立てないまでに痺れていた。

「足はもう痺れ通りこして力が入りすらしないのに、夕飯まで奢らされて俺の財布は今月を超えられない気がする。つーか、もう何て言うか、メンドクセー」

「ふん。私を心配させた罰ですわ」

「は?お前が心配だって?」

「あ……た、単に部下としてですわ!」

「そうかい、コンチクショー。とりあえず帰るか。送ろうか?」

「へ!?あ……その……私には『空間移動』の能力があるから大丈夫ですわ!」

「そか、じゃあな。気をつけて帰れよ~」

そう言って綾峰は手を振りつつ会計を済ませると、壁に捕まりながらファミレスを出ていった。

「いきなり、なんてこというんですの。驚いたあまり断ってしまいましたわ……」

残された白井が1人ごちた。




Prr Prr Prr、とファミレスを後にした綾峰のポケットから携帯の着信音が聞こえてきた。

「はい」

回りを見て、誰も近くにいないことを確認したあと、電話に出る。

「………………はい…………はい…………わかりました」

数分で電話を切ると綾峰は90°向きを変える。
寮とも、高校とも違う方角。第一〇学区の方向へと。
綾峰の目は鷹の目のように鋭く光っていた。


スポンサーサイト

Comment

 
管理人にのみ表示する
 

Track Back

TB URL

HOME

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。