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日十二月七 壱【置き去り編】

わたしが学園都市に初めて来たのは5才ぐらいの時だったと思う。
おとーさんに連れられて来た。
わたしの家族はおとーさんとおかーさんが喧嘩して別れたので、おかーさんはいなかった。
おねーちゃんもいたけど、おかーさんと一緒に行ってしまった。
でもおねーちゃんとは携帯のメールで連絡をとってたから、寂しくはなかった。
幼稚園の子たちとはすぐに仲良くなれて、たくさん友達ができた。
毎日が楽しかった。
毎日が幸せだった。
だから、ツケが来たんだと思う。
おとーさんがいなくなった。
わたしを学園都市に入学させた後、行方をくらませたらしい。
それを聞かせにきた黒い服のおじさんは、そのままわたしを別の幼稚園に移動させると言ってきた。
そしてあれよあれよという間にわたしは気がつけば、

モルモットになっていた。









とある科学の事件体質(トラブルメーカー)第11話









第一〇学区。
夜に紛れるように綾峰はいつもの仮面と黒合羽の姿になっている。
だが今日の綾峰にはやる気なんてものはなかった。
なにせ、今日のターゲットは置き去りではないのだ。
どうやら研究者を1人捕まえねばならないらしい。
なんでも、普段黄泉川に置き去りの情報をリークしている相手の1人が頼んできたらしい。
このターゲットがどうやら実験費を横領したとからしいのだが、逮捕するにはかなり学園都市の裏側を知り過ぎてしまっているらしい。
そこで綾峰が捕まえてこの研究者を特定の場所まで運ばねばならないらしいのだが。

「メンドクセー」

つい、本音が漏れてしまう。
今日はいきなりストリップし出した木山博士から全速力で逃げ出したり、上条が来るまでインデックスを守る為にロリコン神父と戦闘をしたり、KYな黄泉川を相手に憂さ晴らしをしたりわりかし大変だったのだ。
その上で更にこの任務がこのさえないおっさんを捕まえる仕事とは……。
綾峰は手元にある端末を見る。
そこにはどこにでもいそうなおっさんの写真が映り、横に「蛇縞 隼(へびしま しゅん)」と書かれていた。
研究内容は「レベル限界の素質と要因」とやららしい。
詳しくは黄泉川が教えてくれなかったので知らないが、あまり良い仕事をしているわけはないだろう。
そんなことを考えているうちに綾峰は目的の研究所まで辿り着いた。



「君、ここは立ち入り禁sっぐっアーッ!?」

いつものように電撃で相手を痺れさせる。
そして電撃を操作して警報を鳴らさないように研究所の扉を開ける。
最近こういう術がだいぶ身についてきたかもしれない。

(最悪、泥棒とかで生計立てられんじゃないか…………?)

自分の将来にすこし不安が湧いた綾峰だった。






side ???

入り口の警報装置から不審者が入ってきたとの情報が入った。
どうやら不審者は入り口の扉はうまいこと開けたようだが、内部についていた隠しカメラには気付かなかったようだ。
カメラを見ると、黒合羽の男が映っていた。
『多重能力者』だ。ついに、私のところまで来たようだ。
近年、『多重能力者』とかいう能力者が巷の研究所を騒がしているとは聞いていたが、そのターゲットは、置き去りが大量にいる研究所だと聞いていたのであまり警戒はしていなかった。
私の研究所でも幾人かの置き去りがいたが、そのほとんどは能力開発をして”検査”をするという比較的人道的なつもりだったし、きちんとした教育も受けさせている。
まぁ、1人違うのもいるが…………そこまで気にはしていないはずだ。
ん…………そうだ。せっかくだし、”アレ”を試してみるのも良いかもしれない。
噂を聞いて入手をしてみたが、その威力がどれほどのものかはまだ試していない。
ふむ、考えついてみれば面白い。

さっそく実験開始といこう。



side out



端末に映し出されている見取り図をもとに綾峰は建物内部を探索していく。
蛇縞は夜遅くまでいるらしく、ここで寝泊まりしていると聞いていた。
できればぱっぱと終わらせて早めに帰りたいと思う綾峰だったが、警備ロボットがいないか確認しつつ徐々に目的の部屋へと進んでいく。
意外とラクショーで順調に進んでいく。
気がつけばもう少しで蛇縞専用の研究室まで後数mのところまで来ていた。

(これは…………流石におかしいよな)

警備ロボットの一台もいないというのは異常だった。
冷や汗が綾峰の背を流れる。
警戒されていないのは大歓迎だが、ここまであからさまに警戒されていないと逆に不安になる。
綾峰は先ほどまでよりも慎重に研究室の扉に近づいていく。
そして扉のセキュリティに手で触れられるぐらいにまで近づいた瞬間。
がこん、と床が無くなった。

「…………ハ? アアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァ!!?」

綾峰は落とし穴に落ちていった。





「アアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァ!!!!」

暗闇を落ちていく中、綾峰はとっさに黒い物体(綾峰はAIM拡散力場を集めたものと言っている)で身を包み、衝撃を待った。
衝撃は意外と早く、そして思ったよりも軽い衝撃だった。
どうやら下がクッションになっているらしい。

「マッタクアトラクションカ何カナノカ、ココハ?」

先ほど落ちてきた方からガタンと何かが閉まる音が聞こえる。
どうやら閉じこめられたようだった。
回りを見ると、目の前には少女が立っていた。

綾峰はその少女に度肝を抜かれた。

年はだいたい小学生ぐらいか。
髪は黒く、服装は手術用に患者が着るような服みたいだったが、特にこれといって不審なところはない。
綾峰が度肝を抜かれたのは、あどけなさを残している顔についた2つの目に篭っていた明確な殺意だった。
綾峰も今まで何人かと命の取り合いをやってきたことはある。
できるかぎり殺しはしなかったが、不運な事故で死んでしまったものも多い。
また、そのうちの何人かは、綾峰が救うべきである置き去りが相手だったこともあった。
彼らは自由、仲間、家族など、何かしらの大切な物を守る為に心無い研究員達によって闘わざる負えない立場に追いやられたのだ。

(今回もそのパターンか?)

綾峰は体育館ほどの大きさで円形に広がった広場の中心に向かって足を一歩踏み入れた。

『ようこそ『多重能力者』。君を待っていたよ』

瞬間スピーカーから重圧的に聞こえてくる声に綾峰はがくっと肩を落としてorzという格好になった。

「ハァ、スゲー二流的展開ダナ。モシカシテアンタ蛇縞 隼ッテ名前ダッタリスル?」

『な、なぜ!?私の名前を!!?』

(三流以下か。つーか、何?これは「綾峰の戦いはまだまだ続くぜエンド」で終了ってオチなのか?はぁ、メンドクセー)

『と、とにかくそこにいる少女と闘ってもらうぞ!!』

「ヤダ。メンドクセー」

(こっちとしては、ささっとあんた捕まえて帰りたいんですが)

綾峰にとって殺し合いなんて物騒なものはできるだけ控えたいのだ。
それに今日はもう疲れているのだ。面倒くさいのは綾峰は嫌いだった。

『やれっつてんだよー!!いけ!!雲雀!!』

途中からキレ気味な蛇縞に綾峰はもう半分以上やる気が無くなっていた。
だからこそ、目の前の雲雀と呼ばれた少女の動きにたいして油断していた。

「グガッ!!?」

瞬間、綾峰の腹に衝撃が走った。
綾峰は竹とんぼのように吹き飛び壁に激突する。

(っぐ…………あぁ、くっそ!合羽がなきゃ危なかったぞ。チクショー)

綾峰の能力によって作られている合羽は衝撃を吸収するように出来ている。
レベル2程度の能力者の攻撃なら痛くもかゆくもない。
だが、それでも、

(肋が一本逝ったか?)

綾峰の体にはダメージが入っていた。

「イッテーナ!コンチクショー!」

綾峰は半分やけになって叫ぶ。
すると、

「ひっ」

雲雀と呼ばれた少女はなんかびびっていた。

(あれ?意外と怖がり?)

『何をしている雲雀!!さっさとやれっつてんだよ!!』

スピーカーから蛇縞の煩い声が聞こえてくる。

「ひっ、ご、ごめんなさい!!」

雲雀は涙目になりつつ、綾峰の方に手を向ける。
瞬間、綾峰は即座にその場から退避した。
直後に綾峰がいた場所が凍っていく。

(あ、危なかった。AIM拡散力場の歪みを感知しながら先読みしてなきゃ、一瞬で凍ってるっての!)

雲雀は逃げる綾峰に手を向けて綾峰のいる場所を凍らせていく。
しかし、綾峰はそれを感知し、先読みして全て避けていく。
綾峰は先読みしつつ部屋の中心にいる雲雀の能力の解析を始める。

(珍しい能力だな。『運動変速』か。凍ってるのは、分子レベルで運動を停止させてるってことか。だが、レベルが2?いや3…………4…………5?だと!?こいつも『幻想御手』を使ってるのか!?)

「避けないでよ!!」

雲雀は叫び、先ほどよりも強い力を行使していく。
綾峰の回りは既に凍っている場所だらけだった。

『何をしている!!さっさと倒せ!!」

痺れを切らしたのか、蛇縞が雲雀に怒鳴った。
雲雀の回りのAIM拡散力場が凄まじい動きを見せていく。

「ナ、嘘ダロ!?」

AIM拡散力場の歪みは部屋中に広がって、

「ごめんなさいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

部屋の全てを絶対零度に凍らせていった。




全てが凍った部屋の中心で雲雀は立っていた。
全てが凍り、常人ならば立っていられるはずもない場所でも雲雀は何のダメージもなく立っている。
『運動変速』の能力で雲雀の回りだけ温度があげられて常温となっているのだ。
だが、それ以外は全て-273.15℃。万物が止まる部屋と化している。
そして雲雀の回りに、一つの塊があった。
それは、先ほどまで雲雀が戦っていた黒仮面の男だった。
全身が凍っており、既に事切れているのは明白だった。
ぽつりと雲雀が呟いた。

「ごめんなさい。でも、これでやっとおねーちゃんに会える」

『よくやったぞ。雲雀。成功だ』

蛇縞がスピーカー越しに話しかけてきた。

「これで、おねーちゃんに会えるんですよね!?」

雲雀は喜びの声を隠せないまま蛇縞に言う。

『は?誰がそんな事を言った?』

「へ?」

『お前の姉の居場所なんてしるわけないだろ?だいたい、本気でそれを信じてたのか?はっマジ笑えるんだけど』

「え?」

雲雀の中で何かが崩れていく。

『つーか、もうお前は用済みだから。後は、そこでお前に何の副作用もなければこの『幻想御手』を他の奴に使うだけだ』

「ま、待って!」

『あー、あとそこにいる奴は、お前みたいな置き去りを救ってるやつらしいぞ?お前は自分の味方を殺したんだ。アハハハハハハハハ』

耳障りな嗤い声がスピーカー越しに聞こえてくる。

「そ、そんな…………」

雲雀は慌てて先ほど凍らせた仮面の男の運動を再開させる。
しかし、男は倒れてぴくりとも動かなかった。

「あ、あ………………あ」

『アハハハハハハハハハハハハハハハハ』

「いやあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

瞬間、少女の回りが今度は燃え上がり始めた。

『な、なんだ!?何が起きたんだ!?』

「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

暴走だった。

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