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七月二十日 弐

(戻ら…な……きゃ)

チン、とエスカレーターが目的の階に着く。
少女は”文字通り”全身を切り裂かれたような痛みを味わいながら、よろよろと歩いていく。
3台の清掃ロボットが少女の歩く跡を従者の如く着いていく。

(取りに……行かな…きゃ…………)

少女は力つき、倒れる。
その回りに広がっていく赤い液体は少女の血。
清掃ロボットは広がる”汚れ”を清掃する。
徐々に力を失っていく少女の瞳は、すぐに光りが無くなっていった。
少女の背に影が差し込んだ。








とある科学の事件体質(トラブルメーカー)第10話








綾峰が寮に着いたのは陽が落ちる少し前のことだった。
上条の部屋と同じ階にある綾峰の部屋は陽の沈む直前の赤い光が壁を赤に染め上げていた。
そして、床を赤く染め上げていたのは今朝会ってほんの少しだけ話をした少女の血だった。
インデックスが倒れていた。
だが、回りにはまだ上条もステイルも到着していない。清掃ロボットがたむろっているだけだ。
心なしかインデックスの顔色もまだ赤く、生気があるように見える。
それでも切り裂かれた傷痕と、それに沿って切れている銀髪があまりにも痛々しい。
綾峰はとりあえず3体の清掃ロボットのスイッチを切り、端にどける。
清掃ロボットがいなくなったからか、インデックスの血溜まりが徐々に広がっていく。
その姿があまりにも悲しく、

「なんで、こんなことに…………」

ならなきゃいけないんだ、と綾峰は呟いた。
当然、インデックスは返事を返さない。

「まぁ、斬ったのは神裂なんだけどね」

「ッ!!」

だからその声はインデックスの物ではなかった。
綾峰が振り返ると、身長2メートルはありそうな大男がいた。
髪は赤く、神父のような修道服を着ているが、ファッションはあまりにも神父らしくない。
甘ったるい香水の匂いに、口にくわえた煙草、指輪やらピアスやらのアクセサリで着飾った男の顔は、意外と若く見えた。
どうやら原作でいうステイル=マグヌスらしい。

(あれ?何でこの人もう登場しちゃってんの?上条まだ来てないよ?)

「そこをどいて貰えるかな?それを回収したいんだけど」

(まさか、俺が来たから?俺が来たから登場しちゃったの!?ちょっとおおぉぉぉ!!?)

「おい、ジャップ。聞いているのか?僕はどけって言ったんだが?」

(あー、もう。メンドクセーなコンチクショー。時間稼いでやるからさっさと来やがれ上条!!)

「聞こえてるよ。ロリコン野郎」

「………………は?」

どうやら、よく聞こえなかったようだ。

「聞こえてるっつったんだよ!ロリコン野r…いや、ロリコン神父!」

「訂正するとこはそこじゃないだろっ!第一、彼女と僕は同い年だ!!」

予想外の言葉だったらしく、ステイルの顔は赤くなっている。

「いやいや、どう見ても彼女12歳前後だよ?胸的に。それに比べて君ってどう見ても20代は行ってるよね?背格好的に」

「もう一度だけ言うぞ。どけ、ジャップ」

どうやらロリコン神父はキレたようだ。意外に背が高いことを気にしていたのだろうか?それともインデックスの胸のことを言ったからか?

「さすがに、そんな妖しさ満点の男にこんな重傷少女を預けられないね、そう思うでしょ?ロリコン神父さんも」

「なら、もういい。死ね。僕の名はForti「ハイハイ、カルシウム足らないね!」っ!!」

喋っている間に一気に近づくと顔面を狙って殴りにかかる。
ステイルは間一髪でそれを避けたが、此方の急襲に驚いたのか一気に間をあける。

「口上も聞かない気かい?」

「ロリコン神父の口上なんて興味ないし」

綾峰の言葉にステイルは苦々しい表情になる。

「っち、なんなんだよ?君は?それに僕はロリコンじゃない!」

「俺?ただの一般生徒だよ?あー、まぁ一応風紀委員(ジャッジメント)っていう学生の自警組織には入ってるけど。うるせーよ、ロリコン神父」

「だったら入ってくるなよ。これは僕たちの問題だ。それに僕には、ステイル=マグヌスって名前があるんだよ!」

「そうも言ってられないんだよ。友人がきっとこれを見たら”死ぬ”程怒るだろうからさ」

「もういい。口上もなしだ!」

そう言ってステイルは口にくわえていた煙草を手にとり、横合いに投げ捨てる。
煙草はオレンジ色の軌跡を残して飛んでいく。

「炎よ――――」

ステイルが呟いた瞬間、軌跡は爆発し、ステイルの手に炎を固めて作ったようなオレンジ色の剣が現れる。
炎は回りを焦がす間もなく、溶かしていく。

「――――巨人に苦痛の贈り物を」

ステイルは剣を振り上げ、そのまま綾峰に向かって振り下ろした。
灼熱の炎剣が綾峰に降りかかり、触れた瞬間に爆発した。
熱波と爆炎と閃光と黒煙が吹き荒れた。

「少し、やりすぎたかな」

呟くステイルの目の前は黒煙によって視界が塞がれ、何も見えなかった。
しかし、今の一撃は摂氏3000℃の炎の地獄だ。
見ずとも、結果は決まっている。

「殺すつもりはなかったんだけどね。どけと言って聞かなかった君が悪い」

「ハッ。技モ陳腐ナラ、台詞モ陳腐ナノカ?ロリコン神父」

返事などないはずのステイルの言葉に擦れたような声が返事をした。
しゅばっと、風が吹き荒れるように一気に黒煙が消えていく。
そこには灼熱で溶けて、再度固められた床の上に立つ、黒仮面の男がいた。

「なるほど、君は能力者か。それにしてもさっきのは3000℃の爆炎だったんだけどね?どうやって助かったんだい?」

「言ウト思ウノカ?」

「それもそうだね。じゃぁ、今度は「な、なんだこりゃあ!!」!?」

ステイルが第3者の声に驚いて振り向くと、黒髪がツンツンに逆立った少年がエレベーターホールに立っていた。
そして、少年の視線が一点に向かう。

「『多重能力者』?それに、インデックス!?おい!インデックス?返事しろ!」

血まみれのインデックスをかばうように立つ『多重能力者』に上条は慌てて駆け寄ろうとする。

「させな…くっ!」

ステイルはそれを防ごうとするが、黒い物体によって邪魔をされ、上条をそのまま通してしまう。
上条は『多重能力者』の横をすり抜け、そのままインデックスに駆け寄る。
上条は揺り起こそうとするが、インデックスの体が血まみれであることにようやく気がついたのか、怒りに顔を歪めて、

「誰が!こんなことやったんだよ!?」

叫んだ。

「アイツノ仲間ラシイヨ、上条」

『多重能力者』の言葉に上条はステイルを見る。

「そうだよ。僕達『魔術師』がやったけど?」

上条はステイルの雰囲気に呑まれたのか、睨んではいるが黙っていた。

「それにしても、よくよく見ると酷いもんだね。神裂の刀に血がついてなかったから安心安心と思ってたけどねぇ」

ステイルは先程までとは違い、調子を取り戻したのか、高圧的な口調で上条を揺さぶっていく。

「けど、何で?」

「うん?彼女がここまで戻ってきた理由かな?さあねぇ、何か忘れ物でもしたんじゃないのかな。そう言えば、昨日撃った時には被っていたフードがないけど。いったい「Prr Prr Prr Prr Prr」どこ…で……」

携帯が鳴り響いた。

「「………………」」

Prrカチャ、と『多重能力者』が懐から携帯を取る。

「スマナイ。携帯がマナーモードニナッテイナカッタヨウダ。ワタシハ席ヲ外スノデ続ケテクレタマエ」

言い終わった瞬間、『多重能力者』は『空間移動』で消えた。

「………………こほんっ。いったい彼女はどこでフードを無くしたんだろうね」

2人は何事も無かったように会話を進めることにした。









Prr Prr Prr カチャ

「はい」

『あー、急に電話して悪かったじゃ「空気読んでください」ん……?」

『どうしたんj「空気読んでくださいって言ってるんです」……すまなかったじゃん』

「今度から黄泉川さんは黄泉川(よめなかわ)さんって呼びますね」

『それって逆に呼びにくいじゃん!?』

「じゃぁ、良いですよ。ヨメナイさんって呼びます」

『じゃあってなんなんじゃん!?それにもう私の名前の原型ないじゃん!!?』

「良いから、さっさと仕事の内容教えてください。QKYさん」

『QKY!?それってQueen of KYって事じゃん!!?』

「いえ、『いっそ空気になれば良いと思います』の略です」

『QKY関係ないじゃん!!?』

綾峰の八つ当たりはもう少しの間続いたらしい。

同僚の話では黄泉川は数日へこんでたとか、いなかったとか。

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