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八月二十一日 伍【一方通行編】

「…ここは」

美琴が気が付くと、斜めになったコンテナの上に座っていた。
辺りを見ると美琴のいるコンテナの周りにはレールやコンテナ、そしてぐしゃぐしゃにひしゃげた電車が子供がばらまいた玩具の様に散らばっていた。
操車場の中心に、美琴は飛ばされていたのだ。

「いったい、何だってのよ」

美琴の口から疑問の声が漏れる。

過去の『絶対能力進化(レベル6シフト)』実験の被験者で、今回の実験の成功を狙っている人物。
そう聞かされて本人に問いただせば、救えないの一言だったというのに。
対峙して蓋を開けてみれば、美琴を庇って怪我を負ってその上で美琴を逃がした。
何が本当で何が目的で何が綾峰を動かすのか。
美琴にはまったくわからなかった。

「いったい、何だってのよ…」

美琴の呟きが風のない夜に零れた。
悩み俯く美琴の耳に騒音が聞こえてきた。
顔を上げた美琴の目には数十個以上も散らばったコンテナの向こう側でレールが飛んでいるのが見えた。
上条と一方通行が戦っているのだろう。

同じく、背後のコンテナの山、その反対側からは連続した爆発音が聞こえてくる。
美琴はこの爆発音を一昨日に聞いたばかりだ。
おそらく綾峰と垣根提督が戦っている。

どちらに向かえばいいのか?

美琴のために最強に立ち向かう上条。
美琴を庇って悪魔に立ち向かう綾峰。

進むべきか、戻るべきか。

『とにかく、お前には見届けなきゃいけない戦いがあるだろ』

一瞬の逡巡の後、御坂は爆音に背を向けて走りだした。
とある科学の事件体質(トラブルメーカー)第57話









爆音が背後に迫る。

「くっそ」

追従する爆発から綾峰は『空間移動(テレポート)』で距離を取る。
瞬間、綾峰は周囲の状況に目を見開き、その場を飛びのいた。
直後に綾峰のいた場所が大爆発を起こした。

「ぐぁ…」

爆発の衝撃によって綾峰は地面を転がると即座に体勢を整えて上を見た。
そこには、6枚の翼を生やして地上の綾峰を睨みつける帝督がいた。

「流石にワンパターン過ぎて動きが手に取るようにわかるぜ」

未だ軽口を叩く綾峰に帝督はイラつきに顔をしかめて、夜空を見上げた。
星が瞬き、三日月が浮かんでいる。

「良い夜だな」

ばさり、と帝督が広げた6枚の翼は半透明になり、頭上の星々を映しだす。

「?」

「こんな夜は星がよく輝く」

そして翼で透析された星々の光がレーザーとなり、地上に降り注いだ。
慌てて綾峰はレーザーの軌道をかいくぐりながら走り抜ける。

「うおおおぉぉぉぉ!?」

それらの光線に混じり、追従する爆発が複数綾峰を狙い迫る。
『能力解析(AIMリーダー)』を使ってそれらの弾幕を掻い潜る綾峰だったが、次第に逃げ場が埋め尽くされ。

一際大きい爆発音がその場を埋め尽くした。





とさ、と帝督は地上に降り立つと翼を閉まった。
辺りを見渡すと自分の手によって起きた惨状が肌で実感できた。
砂利はひっくり返されて地層が抉れている。
コンテナは紙切れのように切り裂かれ原型を留めていない。。
空気は焦げてツンとした異臭が帝督の鼻孔を刺す。
惨状の中心には巨大なクレーターができており、先ほどの爆撃の威力を物語っていた。
そのクレーターの中心で黒い何かが蠢いていた。
綾峰が黒い物体で衝撃を殺したのだろうと、提督は判断した。

「自分にしか救えない。そんなモンはハナからテメェの幻想だ」

帝督は破壊され尽くした辺りを見渡し手を広げ言う。

「見ろ、これが、これだけが! 俺たち悪党ができる唯一のことなんだよ!!」

叫ぶ帝督の言葉に綾峰は返す言葉もなく、ただ蠢いている。
綾峰の様子に帝督は舌打ちをしながら数刻前の電話を思い出していた。





「あん? 何だって?」

『おや、聞き逃しましたか? では、もう一度ですねぇ』

病院に着いた先で他のメンバーが車を降りた後、帝督に『電話相手』から指令が届いていた。

『今あなたがいる場所ですがねぇ。先ほど言った通り『多重能力者(デュアルスキル)』が一枚噛んでるようなんですねぇ』

提督は他のメンバーにはなかったもう一枚の書類に目を通す。
そこには、ここ数日間の『多重能力者』の行動が記されていた。

「それはわかった。その先だ。俺に何をしろって?」

『電話相手』の冗長な喋り方に若干イラつきながら提督は先を促す。

『だから、ちょいとですねぇ。痛めつけて欲しいんですねぇ。とりあえず最低限死なない程度にですねぇ』

「…それも相手の依頼か?」

『いえ、もっと上ですねぇ。おっと、これ以上は言えませんよ。くっふふふ』

尋ねる帝督の言葉に『電話相手』は茶化すように答える。

「わかった。だが、あいつとやるかどうかは俺が決める」

『お好きにどうぞ。それにしても、あれですねぇ。まったくあれですねぇ』

「あァ? さっきからあれあれって何だよ。もう指令がないなら切るぞ?」

『いえいえ、青春してまs「死ね」』ガチャ。







どうにも『電話相手』の思惑通りに話が進んでいるようで帝督は気が進まなかったが、それ以上に綾峰の言い分が気に入らなかった。
帝督はクレーターの中心に一気に飛ぶと蠢くだけの綾峰の頭を踏みつけた。
地面に頭がめり込んだ綾峰が呻く。
それを提督は再度叩きつけるように足を踏み下ろす。

「テメェは馬鹿だよな」

ごすっ、と再び帝督の足が踏み下ろされる。

「誰にもバレねぇようにたった一人で学園都市の誇る第一位相手に戦って」

どすっ

「それを数日間も繰り返して」

がすっ

「第四位とも戦ったそうじゃねぇか」

ごんっ

「しかも救おうとした相手(第三位)には一撃入れられた上に、俺からの攻撃を庇う?」

帝督は綾峰の頭を踏みつける足に力を込める。

「誰かを救おうなんて考えるからそんなことになる」

吐き捨てるように帝督は言う。

「俺たちは悪党だ。両手も全身も真っ赤に染めた悪党だ」

「だから悪党は救われねえし、誰も救えねえ」

その時だった。

「だから救おうとしちゃいけないなんて、誰も決めてねぇ」

綾峰の声と共に帝督の足がむんずと掴まれた。
今まで数日もの間、そして先ほどまでのダメージが嘘のようにすさまじい怪力で帝督の足を握りしめる。

「ぐあっ…」

痛みに帝督がひるんだ瞬間、綾峰が動いた。
足をそのまま払いのけ、バランスを崩した帝督を押し倒して足の関節を決める。

「第一、てめえは俺を悪党、悪党と言うけどな。俺は悪党っていう柄じゃねえよ」

「あぁ?」

「悪党は力で事件をねじ伏せる。正義は事件を通して心を救う」

綾峰の顔に笑みが浮かぶ。

「俺は、事件を解決する奴らを手伝って少しでも良い方向に導くだけだ。そうさな。馬鹿(fool)か。良いじゃねぇか」

「俺は道化(fool)だよ」

「かっ。テメェで馬鹿だと自称するなら世話ねえな!」

帝督は叫ぶと背中から生やした6枚の翼を乱雑に振り回して綾峰を振りほどいた。
お互いに距離を空けると、二人は相手を射殺すような視線を交らせて隙を伺う。
先に動いたのは帝督だった。

「オーケー、わかった。こうしよう」

口を動かし、翼を広げる。

「…………………………」

「テメェをぶち殺すのは後だ! 先にあの病院にいた『妹達(シスターズ)』を殺す。全員殺す。そしてテメエも何も守れない事を思い知らせてやる!」

「行かせるわけねえだろ。メンドクセー」

帝督はにやりと笑うと空に僅かに浮かび上がる。
空までは綾峰だって追ってこれはしない。
来たところで空中での戦闘で綾峰に勝機がないのは前回の戦闘で理解していた。

「そこで待ってろ。それとも一緒に来るか? 世紀の大虐殺ショーをお目にかかれるぜ?」

「だから、行かせねえっつってんだろうが!」

瞬間、綾峰が帝督の目の前に現れる。
帝督の顎を狙い綾峰の右の拳が唸りを上げる。
しかし、

「空中に俺の死角はねえ」

帝督は僅かに後ろに反れて迫る拳をよけた。


はずだった。


「ごっ……ッ!?」

しかし綾峰の拳は帝督の顔面を捉えていた。
地面と平行に立ちながら。
次の瞬間、帝督は殴られた鼻を押さえようと手を上にあげて腹に衝撃を受けた。

「がっ…ッ!!?」

呻き、帝督は綾峰がいつの間にか自身の真横にいることに気が付く。

(こいつ…『空間移動』を使って…ッ!)

気が付いた時には顎に綾峰の左のジャブが入っていた。
そこからは綾峰の一方的なラッシュが始まった。









「何のつもり?」

不愉快そうな言葉が『心理定規(メジャーハート)』から漏れる。
その口調に原谷矢文はげっそりとした表情でそれに答える。

「いや、俺一般人なんで帰っていい?」

「帰れると思ってんの? この状況で」

二人が茂みの中から外を伺うと『アイテム』の下部組織らしき人間達が辺りを見渡していた。
その手には拳銃が握られている。

雲雀と原谷を置いて削板が下に降りた後、削板が壁に穴を開けた音を聞きつけた男たちから二人は逃げるように茂みに飛び込んだのだ。
そしてそこにいた先客が、『心理定規』だった。


男が去って、周りに誰もいなくなるのを確認した二人は一息ついた。
ふと、二人の横にいた碓氷雲雀は原谷に言う。

「あれ? そういえばおにいちゃんって誰?」

「今更かよ!? いやいや、それで良いんだ。うん、俺あの馬鹿に連れてこられただけだから。帰るからな」

雲雀のあんまりな言葉につい突っ込みを入れてしまう原谷だったが、すぐに言い直す。
その瞬間、ぱふ、という小さな音が原谷の耳に聞こえてきた。
直後、足元の地面に穴が開いた。
背後を見ると『心理定規』がレディース用の拳銃を構えていた。
即座に原谷は手を挙げて降伏のポーズを取る。その動き、約0.0000003秒の早業だった。

「一人で逃がさないわよ、後あいつの事を説明しなさい」

「おい、今あっちから銃声しなかったか?」

建物の方から声が聞こえてくる。
茂みに再度身を隠すが、徐々に足音が迫ってきている。
見つかるのは時間の問題だった。

「やば…」

「ちょっ。見つかっちゃたじゃん!?」

「えっとこういう場合は…『ムカついた!』」

「何がこういう場合かわからないけど、絶対それ間違ってるよ」

冷静に突っ込みを入れる原谷だったが、恐怖に声が震えている。

「誰かいるのかい?」

直後聞こえた声に三人は硬直した。








見張りをしていた男は角を曲がると辺りを見渡し、茂みの方を見た。
どうにも今回の仕事はきな臭いが、仕事は仕事。
上からの命令であればやらざるを得ない。
茂みからかさり、と音が聞こえてきて誰かいるのがわかった。
使い慣れない銃を構えながら徐々に茂みに近づいていく。

「だ、誰かいるのかい?」

気弱な声が口から洩れる。
思えば男はこの気弱さが嫌いだった。
気弱で能力を持てれば変われると思い中学から学園都市に来た。
だというのに判定はレベル0。
友人たちに流されるままにスキルアウトになり、気が付けば『アイテム』なんていう学園都市の裏側にいた。
これ、終わったら俺はこのての仕事をやめよう。
そんな考えが心から吹き出す。

その時、更にかさりという音が茂みから響き、

「うわああああ!」

男は銃を撃ちまくった。
慌ててもう一人の見張りがやってくる。

「どうした!?」

「あ、あそこに誰か…」

男は腰を抜かしてもう一人の見張りに伝える。
もう一人の見張りは茂みにがしがしと入っていくと。

「あん? ったく。馬鹿かお前は」

そう言って銃で撃たれたネズミの死骸を持ち上げた。

「まったくこのへたれがネズミごときでビビッて…って気絶してる!? お前この仕事向かな過ぎだろ…」

呆れて溜息をつくもう一人の見張りはネズミの死骸を放り捨てると、気絶している男のシャツを掴むとそのまま引きずって行った。







しばらくして、先ほどまでもう一人の見張りが立っていた場所が開いた。
地面に偽装された蓋を持ち上げて原谷が顔を出す。

「行ったみたいだね…ってうお、ネズミ!?」

「ネズミさん!? 見たい~♪」

「ちょっ。ダメ! これはだめ!」 

原谷の下のはしごにいた雲雀が上がって来ようとするのを慌てて原谷が止める。
二人がいるはしごの下。
そこで『心理定規』は一人の老人と通路のような場所で相対していた。
クリーム色の通路で、病院の通路と同じ様子だった。
ただ違うのは辺りにこの老人と『心理定規』達の4人しかいないことだった。

「どうして私たちを助けてくれたの?」

カエル顔の老人は『心理定規』の問いに笑って答える。

「患者に必要なものをそろえるのが僕の信条でね? そして雲雀ちゃんは僕の患者だからだけど?」

3人が話あっている時に顔を出したのがこの男だった。
どうにか助かったが、こんなところにこんな物を作っているこの男が一体誰で何が目的なのか『心理定規』には理解できないでいた。

「せんせ~」

そこにはしごから降りてきた雲雀がカエル顔の老人に抱きついた。

「それじゃ奥に行こうか。ここでは何だしね。外の状況も教えてあげよう」

カエル顔の老人はそう言うと雲雀を連れて通路の奥へと進んでいった。










綾峰のラッシュに帝督は慌てて翼で全身を包み繭のように身を守った。
それでも尚、綾峰は拳を翼に振るう。
しかしそれは、翼によって包み込まれるように衝撃を殺されて終わった。

「ちっ…硬えな」

綾峰は手を押さえながら僅かに下がる。

「だが、この瞬間を待っていた」

直後、綾峰は宣言する。

「俺の『絶対能力(レベル6)』を見せてやる」





攻撃が止んだのを感じ翼を開いた帝督の前に綾峰が空中に立っていた。

「今、なんつった?」

改めて問い直す帝督に綾峰は笑いながら言う。

「レベル6、だよ」

綾峰の言葉に帝督は警戒する。
第四位を打ち破ったという能力。
何が起こるのか、それとも既に起こっているのか…。

「無意味な警戒はやめとけって」

堂々とした口調で言う綾峰に僅かに違和感を感じつつも帝督は空中に降り立った。

「なるほど、もうテメェのレベル6とやらにかかってるってわけか」

「ああ、だからもうお前は俺に反撃できない。お前は俺に何もできない」

笑う綾峰に帝督は体の自由が消えていることに気が付く。
次の瞬間には、両手を鎖で繋がれ左右に引かれて両膝をついた状態になっていた。
わずかに動く首だけを使い、辺りを見るが、鎖は空中で消えていた。
この異質な状況に帝督は驚きながらも考える。
あり得ない現象の裏にある真実を。

「何をした、テメェ」

「レベル6ってのはあらゆる物を操る力だ。それはベクトルやダークマターなんていうチャチなもんとは違え」

「はっ。笑わせるな。道化」

帝督の言葉に綾峰は笑みを浮かべ、直後、帝督の右手が吹き飛んだ。

「がっ…ああぁぁぁああぁぁあああああああぁぁあああああぁぁあああぁぁぁああああぁぁあぁああぁあ」

「あらゆる物ってことはこんなこともできんだよ」

帝督は痛みに声を上げながら考え続ける。

「次はどれがいい?」

瞬間、帝督の右足が文字通り潰された。

「げっ…あ…あああ……」

帝督はあまりの痛みに声が出ない。

次は左腕を。

次は左足を。

潰されていく。

そこまで来て帝督はあることに気が付いた。

「なるほど、それがテメェの能ryがぱぁっ…!?」

皆まで言う暇はなかった。
最後に帝督の頭が吹き飛んだ。

「残念、時間切れか」











「すごいパーンチガードラッッシュ!」

妙な掛け声と共に目にも止まらぬ速度で削板の両手がパンチを繰り返す。
それに伴い、『拡散支援半導体(シリコンバーン)』により拡散されて複数の光線となった『原子崩し(メルトダウナー)』を全て吹き飛ばした。
削板自身はおろか、削板の後ろにいる『妹達』にすらダメージを受けた様子はなかった。
それを科学者たちが麦野の背後で震えながら見ていた。
レベル5同士の戦い、それを間近で見れる喜びに震えながら。
科学者達は仕事そっちのけで慌ててデータを取り出していた。
そんな科学者達と離れたところで2人の戦闘を見ている滝壺は首をかしげる。
さっきから一方的に麦野が攻撃している。
だが、実際には麦野が優勢というわけでもない。
麦野もさっきから気になっていたのか、攻撃の手を止めてイラついた様子で削板に尋ねた。

「さっきからどういうつもり?」

「どういうつもりとは?」

わからないと言うように首を捻る削板に麦野は声をあげる。

「私の攻撃を防いでばかりでしょうが! 少しはそっちから攻撃したらどうだっつってんだよ! 玉無○かぁ!? この××××[ピー]野郎が!!」

「俺は女子供と戦う趣味はない。だからお前は全力で来い。俺が全部防ぎ切ったら俺の勝ち。あんたが俺の根性を上回ったらあんたの勝ちだ」

どん、と胸を張って答える削板に、後ろにいた『妹達』の1人が声をかける。

「いえ、一般人のあなたがそこまでしていただく理由はありません。ミサカ達は単価18万円のクロー「細かいことはわからん。でも、俺は他人が殺されそうになっているのをみて見逃すほど根性なしじゃないってのはわかってる!」…あの方もそうなのでしょうか…とミサカは意味のない問いを呟きます」

「なら、会って確かめると良い」

それだけ言うと、削板は拳を掌に打ち合わせる。

「さあ、かかってこい! 俺の根性を試すいい機会だ!」

にやりと笑う削板に麦野は俯きながら笑い出した。

「あは、あはははあっははあはははははアハハハアハハハハハハ………」

そして、歯ぎしりを上げながら言った。

「コロス」

直後、光が部屋を充満した。











「がふっ…」

綾峰が血を吐いた。
その原因は能力使用によるダメージ。

そして、腹を帝督の翼に突き刺されたことによる吐血だった。

吐血する綾峰に、五体満足の帝督が言う。

「ネタがわかっちまえば大したことねぇな。レベル6様」

嘲る様な笑みを浮かべて帝督は言う。

「人は、痛みを体では感じない」

帝督は悠々とした口調で語り、自身の頭を指す。

「脳で感じるわけだ。つまりそこさえ操れればどんなことだって可能だわな。跪かせるのも、四肢を奪うのも。そういう風に感じさせれば良い」

答え合わせを行う探偵が犯人を絞っていくように帝督は言葉を繋ぐ。

「ようはテメェの言う『絶対能力(レベル6)』ってのはそういう感覚、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の全てを操ることだ。確かにこれなら大抵の奴が敵わねえな。だが――」

「だが、これには弱点がある」

弱弱しい口調の綾峰の言葉に帝督は頷く。

「ああ、テメェが操れるのは五感までだ。第六感までは操れない。俺の『未元物質』を操る際の感覚までは操れない」

能力者にはAIM拡散力場という己だけの感覚が存在する。
能力を操るにはこれを正しく把握し、能力演算を行う必要がある。
このAIM拡散力場を把握するというのはまさに第六巻に等しい。
それも誰にも真似できない己だけの感覚。
それを使い、帝督は新たに回りの空間を感知する術を編み出したのだ。
そうすることで自身の体が実際には五体満足の状態であることを見抜いたのだった。
こうして綾峰が使っていた催眠を解かれ、一瞬の隙を突かれた綾峰は腹を貫かれてコンテナへと縫い付けられていた。

「ミスった…」

「ああ、ミスったな。テメェの負けだ」

どしゅっ。

翼が綾峰の腹から抜ける。

コンテナの上部に縫い付けられていた綾峰は縫い付けていたものが抜け、そのまま地上へと落ちていった。




「俺の勝ちだ」

帝督が呟いた。




Winner 『Dark Matter 未元物質』垣根帝督












「こんなモニター室があったのね」

通路の奥に移動した『心理定規』達4人は通路の一番奥にあった部屋の中へと入った。
そこには、モニターが並べられており、病院内の至るところが映し出されていた。
その中には『妹達』がいた部屋もあった。
部屋の中央では2人の超能力者がぶつかっているのが見えた。
光線を撃つ能力者とそれを殴り弾く能力者。
学園都市の内部でもそうとう異常な空間だった。

「それにしても、何でこんな部屋があるの?」

「もともとはここは緊急時の外部警備員室でね? テロリストが立て籠もっても大丈夫なようにできているんだよ。患者の状態はどんな時でも確認したいからね」

「そ、そう」

若干ずれているような答えの内容に、『心理定規』は頷くと、もう一度尋ねた。

「ならあなたはここで何をしていたの?」

「本当はここで君達が彼女達を運ぶのを見届ける予定だったんだよ? いくら返す予定だったとは言え…患者を見送れないのは残念だからね」

「返す予定だった?」

「なるほど、って返す予定ってどういう「おい、大丈夫か?」ん?」

カエル顔の医者の言葉に違和感を感じて『心理定規』が問い直そうとしたその時、突如後ろで原谷の慌てる声が聞こえてきた。

「うぅ……かきねのおにいちゃん…」

頭を押さえて雲雀が倒れていた。











とさ、と帝督は地に降りた。
警戒のため、先ほどの戦闘で習得した『未元物質』による空間探知を行ってから辺りに人がいないのを確認する。
その時、何かが空間探知に引っかかった。
それは、

「なんだ? この不思議発見な生き物は」

「きゅい?」

トカゲのような頭をした犬のような妙な黒い生き物だった。

「まぁいいか」

今は綾峰の方が最優先である。
まずは綾峰をどこかに張り付けてその目の前で1人1人ぶち殺していけばいい。
残忍な笑みを浮かべる帝督の横を黒い生き物が走っていく。
そして黒い生き物は綾峰に駆け寄ると、

「? おい、何して…」

綾峰を飲み込んだ。














あーーーーーーーーーーーーとーーーーーーーーーーーがーーーーーーーーきーーーーーーーーーーーー!

長え・・・。
それが今回のみなさんの感想になるだろうなぁとか想像してる作者です。
なんだこれ。
書きたいこと書いてたらこんなになったんですが… あれー?

と、とりあえずクロちゃん!?何やってんの?と思う方もいると思いますが、綾峰は食べ物ですよ(注:一気に書き上げたため作者は疲れで錯乱しています


で、今更なんですけどね。
あとがきって何を書けば良いんだろう…(え


あ、それと更新ペースですが、前回から今回くらいの長さになりそうです。
申し訳ないです。
それからコメント返しも遅れて申し訳ないですorz


後、K・U様からのご質問をここで返させていただきます。

>今回、綾峰の能力が『上位能力』になっていましたが、「とある科学の後日談集」でアレイスターが綾峰の能力を『強制終了』と言っています。
にじファン版では『上位能力』でしたが、アレはどうなったんですか?
>どうかよろしくおねがいします。

えー、今後の事に関わるので明確には言えないのですが。
『上位能力』は確かに綾峰のことですが
『強制終了』は綾峰の事ではありません。

フラグだと思って今後を待っていただけると幸いです。
すいません、微妙なことを言って…orz(やべぇ、これで特に詳しく考えてなかったからだとか言えねぇ…)
まぁ、冗談は置いといて、こんな感じでw
では、また次回! ノシ

誤字修正(11/23 16:55)
×彩峰→綾峰○
パソを変えたために起きた模様です。
ご指摘いただいたrafale様、ありがとうございます^^
ちなみに「そうさな」は誤字ではないので悪しからず。

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