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とある魔術の魔術殺し 第一話






彼女に出会って初めに考えたのはこれから起こる様々な『悲劇』を起こさない方法だった。

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VS四男【第一話】

ピンポンパンポ~ン♪

この作品は本編、『とある科学の事件体質』とはいっさい関係ないものだとご了承ください。
出てくる登場人物は本編とも、原作ともまるで関係ありません。
なお、本編をシリアス:ギャグ=5:5といった感じなのに対し、
この作品ではシリアス:ギャグ=0:10です。


また、この作品は以下の要素を含めます事をあらかじめご了承ください。

・登場キャラのほとんどがキャラ崩壊してます。


以上。

あと、若干設定を組み替えたところもありますが、この作品の流れとはあまり関係ないのでスルーしてもらえれば良いと思います。

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とある2人の初任務 四

「何て言うかっ!そのっ!不幸だーっ!!」

その少年はいつもの言葉を吐きながら地下街を走っていた。
正直、日にちが悪かったのだ。
少年は明日から高校生としての新生活を送ることになっていた。
今日は中学生最後の日だぜぇ!という普段はあり得ないぐらいのテンションの中、明らかに外れな漫画を購入したり、今まで入ったことのない地下街で食事をしてみようと歩き回ったりしていた。
気がつけば、

「待てやコラァ!」
「ぶっ殺すぞテメェ!」
「血祭りだオラァ!」

丁寧な脅し文句を聞きながら走っていた。
仕方なかったのだ。
少年が少し早めの夕飯を食べ終わり地下街を歩いていると、少女達が不良達に絡まれていた。
そこでたまには人助けみたいのもやってみるか、とついついいつもとは違うノリで彼らに話しかけてしまったのだ。
少年も喧嘩をしたことはある。
一対一なら相手の力量次第。
一対二なら良くて引き分け。
一対三以上なんて言ったら逃げるしかない。
現在少年を追っている不良達の数は8人。
逃げるが百計。
あるいは戦略的撤退とも言う。
少年はどうにか逃げ回っているが、何故か不良たちの足が異様に速い。
少年も足は速い方ではあったが、先ほど食べたイカ墨入りラーメン風納豆カレーライスが少年のお腹の中であり得ない共鳴を起こし腹痛を起こしていた。
追いつかれず、されど逃げ切れず。
そんな状況とお腹の激痛に少年は心の底から叫んだ。

「だーっ!もーっ!不幸だーっ!!」

少年の叫びは地下街に虚しく響いたのだった。

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とある2人の初任務 参

「きゅ~い~」

常盤台中学学生寮の二○八号室のベッドの上でクロが大きな欠伸をした。

「クロ、そろそろ寝なさいですの」

白井はクロを撫でながら言うと、白井のベッドからクロ用のタオルで作ったベッドへ移した。

「それにしてもあんたの話聞いてると本当にその綾峰さんが今の綾峰さんと同一人物か信じられないんだけど」

御坂が白井の持ち帰ったケーキを食べながら言った。

「ええ。私も最初は驚いたりしたんですのよ。でも、まぁその後いろいろありまして……」

手をもじもじさせて照れる白井を見ながら、御坂はこの話題をふって良かったと安堵していた。
帰ってきて早々ケーキを出して白井と御坂の出会いを語ろうとする白井をどうにか白井と綾峰の出会い話にしたのだった。

「へぇ~。で?そのいろいろには何があったの?」

「う、お姉さま?は、話さないといけませんの?」

白井は顔を赤くしながら上目使いで御坂に訊ねた。

「綾峰さんならともかくそんな上目使いで私を停められると思うなー」

けらけらと御坂は笑いながら話の続きを急かす。

「わ、わかりましたわ。話しますわよ」

そんなことを言いながらすごく嬉しそうに話す白井が幸せそうで何でか負けた気がする御坂だった。

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とある2人の初任務 弐

「あんた……………流石にそれはひどいんじゃん?」

綾峰の昔話に黄泉川は半分引いていた。

「だって、仕方ないだろ?突然襲いかかってくるんだから。反撃しなかっただけマシだ」

「それにしたってダイブしてきた女の子をスルーって。しかも額ぶつけて悶絶してるの無視とか……」

「はぁ、とにかくその時は見知らぬ少女Aだったの。それにこっちは卵ぶっ壊れたんだぞ!弁償してもらいたいぐらいだ(ていうかあの頃は原作キャラだって気付いてたら即座に行方くらましてたろうし)」

「ん?何か言った?」

「別に。つうか、文句つけんなら続き話さないぞ」

食器を片づけながら、メンド臭そうに言う綾峰の後ろから、

「おにーちゃん?おはなしやめちゃうの?」

寝ていたはずの雲雀が起きてきていた。

「ありゃ?雲雀起きちまったか?」

「うん、私もおにーちゃんのおはなし聞きたい」

「ほらほら、雲雀が頼んでんだからさっさと続きを話なさい」

「………………はぁ。メンドクセー。わーったよ。話す、話します、話させていただきますよーだ」

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とある2人の初任務 壱

「そう言えば、2人の出会いってなんだったの?」

「あ?」

突然の黄泉川の質問に綾峰はケーキにラップをかける手を止めて聞き返してしまった。
雲雀の誕生日会が終わり、雲雀は疲れて眠り、白井は門限で帰った後のことだった。

「だからあんたと黒子ちゃんの出会いだってば」

「何でそんなもんをお前に話さなければならないんでしょうか?というか俺としてはこのケーキの山をどうするんだと逆に問い質したい!!」

綾峰はキッチンを指差す。
そこには数十個のホールケーキの山が積まれていた。

「というか、黄泉川。どこでこれだけのケーキを買ってきたんだよ?」

「……………………?」

「何だその『何を言ってるんだこいつ。え?馬鹿なの?死ぬの?』っていう表情は!?」

「実際思ってるじゃん」

「酷いな、おい!!何か!?お前はこれらを全部自分で作ったというのか!!?」

「当たり前じゃん」

「嘘だ!!?この炊飯ジャーしかないキッチンでこれだけの、しかも1つも同じ種類がないケーキの山を作るなんて!!!不可能だ!!」

「でも、ほら。そんなことを言ってるうちに新しいケーキが」

ぴ、ぴっぴぴ。
電子音と共に先程まで稼働していた炊飯ジャーが止まる。
綾峰が中を見ると、

「なんでミルクレープができんだよ!!?湯気出てたよな!?それに何故新たに作った!?」

あり得ない現象につっこみをいれる。

「心意気?」

「首を傾げるな!!第一、お前が首を傾げても可愛くない!!!」

「んなっ!?………………誰が勿体ない女だぁああああああああ!?」

「そこまで言ってない!!」

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八月八日 【吸血殺し編?】

「必然、君をその地獄から救いだそう」

かつて聖女(ヒロイン)に誓い、それでも救えなかった主人公、アウレオルス=イザード。

「誰も、私を救ってくれなかった」

かつて吸血鬼(モンスター)に襲われ、それでもヒロインになれなかった、姫神秋沙。
2人が出会い、禁書目録の少女と幻想殺しの少年と交差する時、物語が始まる。







のだが、一方その日の綾峰は何かを忘れてたいた。
昼を過ぎて外が容赦ない太陽の光線により灼熱の地獄と化していた頃、

「何だったかなぁ………………?」

冷房の効いた風紀委員(ジャッジメント)の事務所にて綾峰は呟いていた。

「何だったけぇ………………?」

うーん。と唸る綾峰は事務処理仕事を淡々とこなしていた。

「何だったんだっけ?あるぇ~?」

先ほどからずっとこの調子でうんうんと唸り続けている。
それでいて綾峰の身長の2倍程に溜まった書類を軽々と処理していた。

「んー?何だったかなぁ………………?」

「もう、何だ何だうるさいですわよ。唯鷹さん」

綾峰が事務所内で延々と唸っていることに痺れを切らしたのか、白井が綾峰に注意してきた。

「うーんってあれ、黒子?お前今日は外回りは?」

綾峰の言葉に今まで自分の存在が気付かれていなかった事に気がついた白井は少々むっとした表情になりながら左肩に腕を吊るした右肩を示した。

「何言ってるんですの。この肩じゃ、外回りには行けませんわ。今日はここで唯鷹さんと……その、お留守番ですわ」

「………………あ、ああ。そうか……」

白井の言葉に聞いていた綾峰どころか、白井も赤くなる。
そして2人は見つめ合い、

「………黒子」

「………唯鷹さん」

「だー!!もー!!いちゃいちゃするなら外でやってください!!冷房の効いてる中だってのに2人のせいで暑すぎます!!」

初春の怒りの声に正気に戻されたのだった。

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八月七日 【日常編・詰込み】

そこは、花畑d(ry
俺は気がつけば立っていた。
他に表現ができないし、ただ立っていたとしか言えなかった。
回りを見ると、四季に関係なくありとあらゆる花が咲いている。
向日葵の横にチューリップが、カーネーションの横に菊が咲いていた。
と言っても、意外とこの学園都市ではそれほど珍しい光景ではなかったりする。
だから、特にこれといった驚きもなく、俺は歩いてみることにした。
そんな中で考える。

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とある科学の事件日記

この話は他の話のネタバレが含まれています。

まだ、読んだ事が無い方は先に第1話から読んでからにしてください。

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八月六日 陸【狂乱逢引編】

第七学区の裏側、路地裏の奥にてその戦闘は繰り広げられていた。
『多重能力者(デュアルスキル)』VS『無能力者(スキルアウト)』というある意味で極地に対する者同士の戦闘は、始まってから20分間も続けられ、路地裏に様々な傷痕を残していた。
地面のアスファルトは抉れ、壁は凍り、窓は焦げ、砕かれた壁のセメントが地面に突き刺さり、まるで数十人以上の能力者同士による戦闘が行われた後のようになっていた。

その中心に3人の能力者達の姿があった。

1人は黒い仮面と合羽を着た『多重能力者』の綾峰。
もう1人はスキルアウトの駒場利徳。
そしてもう1人は同じくスキルアウトの服部半蔵だった。
誰かが動けばそれに合わせて他の2人が動き出す。
半蔵の死角からの攻撃に綾峰は直前で気付き、無理矢理体勢を崩し避ける。
体勢を崩した綾峰に駒場の蹴りが迫るが、綾峰はそれを黒い物体で防ぎ、そのまま地面を走らせるように『風力使い』の刃を走らせる。
駒場はそれを辛うじて避け、そこに綾峰は更に空気を固めて作った塊を投げつけようとする。
しかし綾峰の攻撃は半蔵の死角からの攻撃によって中断させられる。
そして3人は再度もとの膠着状態に戻るのだった。
先ほどから繰り返された動きだった。
綾峰の使う能力や半蔵の死角からの攻撃手段は毎回違うものの、結局この膠着状態に戻された。

(とことんまで時間を稼ぐのが狙いって訳か…………)

綾峰は苦々しげに奥歯を噛みしめる。
このスキルアウト達が何のために動いているのかわからない今、安易に彼らを信じるわけにはいかない。
黄泉川という単語が出てきたのも聞こえていたが彼らと黄泉川の繋がりが綾峰にはいまいち掴めなかった。
本来、警備員(アンチスキル)の黄泉川と、無能力者集団(スキルアウト)の彼らが協力関係になどならないからだ。
黄泉川にぞっこんな男がいることを知らない綾峰は、

(だから、雲雀は俺が救う)

そう決意する。

「…………イイ加減、ココヲ通シテ貰オウカ」

『音波使い』の能力の不調もだいぶ回復してきたらしく、綾峰は男とも女ともつかない声でスキルアウト達に言う。

「……そうもいかない。何の目的で動いているのか分からないお前を放せば何をするかわからん」

「オレハアノ子ヲ救イタイダケダ」

「信じられないな。確証がない」

「………………ナラバ、無理矢理ニデモ通ルマデダ」

綾峰は『空間移動』で消える。

「っな。リーダー!」

半蔵が慌てるが、陰鬱な声で駒場は落ち着いたまま言う。

「……大丈夫だ。逃げられたとは言え、これだけの時間を稼げたのなら大丈夫だろう。ここに来るまでに黄泉川にも連絡しておいたしな」

「そうか」

「……それにしてもアイツはいったい…………」

そう言うと2人基地に向かって歩き出した。

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八月六日 伍【狂乱逢引編】

12時55分、綾峰は自転車で第七学区まで来ていた。
途中で改造タクシーに追いかけられてた行きと違い、帰りは何事もなくすぐに帰ってこれたのだ。
今回はもちろん運ではない、流石に綾峰自身も学習した。

(行きは表通りを爆走したから見つけられたんだから、こうやって、路地裏を走ってりゃ風紀委員や警備員達に見つかることもないだろ)

そう考えて、現在路地裏を『肉体強化』で爆走中だったりする。
よくよく考えてみればそういう問題ではないのだが、意外とそういう事に気付かない綾峰だった。
今は雲雀と共にいる可能性のある『未元物質』を追っているところだった。
レベル5の1人である『未元物質』のAIM拡散力場は他のレベル5(御坂)と同様に非常に濃く、本人の意識がない状態でさえもその痕跡を残す。
AIM拡散力場を目で感知できる綾峰が『未元物質』を追うのは非常に簡単だった。

(え?)

その途中、予想外の光景を目にした。
路地裏の一画にスキルアウトらしき少年達に担がれていた雲雀がいたのだ。
てっきり『未元物質』と共にいるのではと思っていたがために予想外の事態に綾峰は致命的なミスをしてしまう。
綾峰は自転車のブレーキを力強く握ったのだ。
時速60㎞は軽く出していた。そこに急なブレーキをかければどうなるか。
答えは簡単、ブレーキによってゴムが焼けるような匂いと共に地面に焦げ目ができ、綾峰は体勢を崩してしまう。

(あ、やべ)

多少ブレーキが効いて減速はしていたが、ほぼ時速60㎞前後の速度で体勢を崩したままの綾峰は狭い路地裏で壁に激突した。
狭い路地裏にずどん、という轟音が響いた。

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八月六日 四【狂乱逢引編】

正午、第五学区と第十八学区の境、第五学区側。
人通りの多い表通りから少し外れた路地裏に赤い車が停めてあった。
中には白衣を着た中年の男がいた。
外見は目立たず、どこにでもいそうなその男は憎々しげにその凡庸な顔を歪ませていた。

「くそっ」

悪態をつく男、蛇縞隼の視線は表通りに向けられていた。
表通りでは第五学区と第十八学区の間で検問が行われていた。

(誘拐のことがバレたのか?いや、だとしても何故第五学区と第十八学区の間に?)

考え込む蛇縞は、とある怪造タクシーの運転手がトラブルに巻き込まれ、車に乗れない警備員(アンチスキル)と共に学園都市内を法定規則を超えた速度で走り回って指名手配されていることを知らない。
もちろん、この話とは何の関係もないのだが…………。
そんな事も露と知らない蛇縞の頭の中では悲観的な想像が止まらないでいた。
その顔には焦燥が浮かんでおり、額や首回りには脂がてかてかと輝き滝のような汗が流れていた。
蛇縞は後部座席で静かに寝息を立てている少女を見て呟いた。

「こいつを第十一学区まで連れて行けば、元の立場に戻れるんだ…………」

欲望をそのまま表情に浮かべ、蛇縞は地図を取り出すと別の経路を考えだした。
そして多少遠回りにはなるが第七学区を通り抜けていく道を見つけ、車を発進させた。
蛇縞は、ガソリンのメーターを見て針がEに近づいているのを見て途中でガソリンスタンドに寄らねばと考えていた。

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八月六日 参【狂乱逢引編】

第七学区、コンサートホール前。
時計の短針が11と12の間になった頃、カップルやアベックの集合場所として有名なこの場所の1画は1人の少女によって恐怖空間へと変わっていた。

白井黒子(魔王)だった。

既に正午を過ぎ、約束の10時から1時間以上も待たされている白井は嗤っていた。
どこから現れるのか言い寄ってくる男達を睨みで退け、最後の方は気迫で近寄らせないでいた。
ふと、ため息を吐く。

「それにしても、電話かメールの1つくらいよこしてくださっても良いですのに…………」

手に持っている携帯の液晶画面を見る。
未だに連絡は来ない。
1時間程すぎた頃に電話をしたが、『ただいま、電波のはいらない場所にいるか、電源を切っています』という音声が流れてくるだけだった。
再度、電話をしてみる。
数回のコール音の後、

『ただいま、電波のはいらない場所にいるか、電源を切っています』

という音声が聞こえてきた。

「まったくどこで事件に巻き込まれてるんですの?」

誰ともなしに白井は呟く。


そこに、携帯が鳴った。


「は、はい!」

慌てて電話に応対する白井の耳に、甘ったるい声が聞こえてきた。

『あ、白井さんですかー?初春ですー』

「あ、そう」

『白井さん!?近年稀に見るローテンションですね!?』

「そう?それで初春は何の用ですの?」

『えー、何か自動車の法定速度を超える速度で走ってる自転車がいるから捕まえて来いって話なんですが…………』

「…………あなたがやればいいんじゃないですの?」

『うわー。投げやりですねー!どうしたんですか?あ、もしかして綾峰先輩にデートをほっぽかれたとか』

「………………………………」

『あれ?白井さん?しーらーいーさーん?』

「初春」

ぼそりと、白井は呟いた。

『は、はぃいいっ!!』

「その爆走自転車やらを取っ捉まえるんでしょう?」

『そうですけど…………何か殺気篭ってません?』

「うふふふふふふふふふふふふふふふ、気のせいですわ。その自転車に乗ってる馬鹿なヤツを取っ捉まえて鬱憤晴らそうなんて思ってませんわ」

『いや、絶対思ってますよね?』

「初春?」

『は、はい』

「私は思ってないと言ったのですわよ?」

初春の耳にゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴという地鳴りのような音が聞こえてきた。

『そ、そうですよね。それじゃ、場所は………………』

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八月六日 弐【狂乱逢引編】

第五学区、とある廃ビル。
初めはとある外部のブティックの店がここに店を構えた。
しかし第五学区と第七学区の同じ学生とはいえ、年代の違う学生層に気付かずに大学生には少し子供っぽい商品で、あまり人気が出ず廃退。
次はあるフランチャイズのレストランが入ったが、場所が悪く廃退。
次は洋服店が入ったが、どういうわけか廃退。
そんなことを繰り返すうちに、いつしかこのビルは入った店が悉くダメになるという悪評が出て、いつの間にか空き物件となった。
そして、現在そこは不良たちのたむろう場所と化していた。
高校生や大学生を中心に作られた数十人からなるこの不良グループはかつあげからATM泥棒まで行い、かなり前から警備員(アンチスキル)に目を付けられていたが、天才的なブレーンがいたこのまえまで実質的な証拠を残さず事件を行っていた。
しかし、先日とある事件でほんの些細なミスからそのブレーンが数人の味方と一緒に警備員(アンチスキル)に取っ捕まったのだ。
ブレーンという理性を失った彼らは本能的に行動し、報復という名で女性警備員の1人を人質でおびき寄せ、犯してしまおうという話になったのだ。
そこで標的になったのが黄泉川 愛穂(よみかわ あいほ)だった。
活動範囲が広く、しかもレベル3より強いというふざけたポテンシャル故に彼女に掴まった者が多いこのグループにとっては自然と彼女に目がいくのは当然だった。
主要なメンバーはビルの2階にたむろっており、1階の入り口のドアには見張り役の2人の高校生が座っていた。

「それにしても、黄泉川のやろうに妹なんてのがいたとはな」

「あぁ。ガキらしいけどあいつが受けとりに来る前に一度味見してみねぇ?」

「あっはっはっはっはっはっはっは。そりゃお前犯罪だって。てかお前ロリコンだったのか?」

「ちげーよww」

「うそつけww」

実行犯であるメンバー達が帰ってくる予定時刻は11時半。
予定時刻まで40分を切った今、計画が既に成功したものだと思っている彼らの口調は明るかった。
その時、

「なぁ、あんたらって『デモンズ』のメンバー?」

「あん?」

自分たちのグループの名前が聞こえ見張りの2人が声の方を見ると、2人の前に鼻にピアスをした少年が立っていた。

「だったら何だよ?」

「つーか、お前ここが『デモンズ』の基地ってわかって聞いてんのか?」

2人はガンを飛ばしながら訊ねる。

「ああ、合ってるならいいんだ。それじゃ、ちょいとこれから死ぬより辛い目にあってもらうから」

は?という声が出る前に2人は気付いた。
いつの間にか自分たちが大量の少年達に囲まれている事に。
その中心に立つ少年が苦笑して2人に声をかける。

「まぁ、どんまい」

浜面 仕上(はまづら しあげ)は本当に残念そうに言った。

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八月六日 壱【狂乱逢引編】

第七学区、コンサートホール前。
カップルやアベックの集合場所として名高いこの場所では、たくさんの男女の組み合わせがいた。
その中に1人、壁に寄りかかっている常盤台の制服に身を包んだツインテールの茶髪の女の子がいた。
どことなく慣れない雰囲気に圧されつつも少女は回りを見てカップルしかいないこの空間で居心地が悪そうにしていた。

白井黒子だった。

普段とは違い、今日は風紀委員(ジャッジメント)の腕章はしていない。
ふと、白井は呟く。

「…………遅いですわね…………」

携帯の時計を見ると既に集合時間の10時から30分が経っている。
カップル達がそれぞれお互いの相手を見つけて去っていくの1人見ているのは意外としんどいものがあった。

「もしかしてどこかでまた事件に巻き込まれて………………ありうるから嫌ですわ。はぁ」

妙な想像をして、白井はため息を吐いていた。

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八月三日【日常編・恋悩み 弐】

昼、日差しの暑い外とは違い、病室は非常に居心地が良かった。
ベッドの上でのんびりとしているにはもはやこれ以上無いほどの至福とも言える。
綾峰もベッドの上で座っていた。
既に体のほとんどから包帯が取られており、後は左腕のリハビリと、右腕の包帯だけだった。
そんな綾峰が苦々しく呟いた。

「……………… はぁ。どうするかねー」

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八月二日【日常編・恋悩み 壱】

常盤台中学学生寮、二○八号室。
ベッドの上で、白井は悶えていた。

(「黒子は、綾峰先輩のことが好きだったのですわよ?」)

綾峰がちょっとした悪ノリで行った記憶喪失ゴッコの際に、白井がつい口にしてしまった言葉だ。
その時は怒りのあまりドロップキックをしてそのまま3時間連続で説教をしてしまったが、今更考えてみれば、

(あれじゃ、告白じゃないですの~!!!)

ばたんばたんとひっくり返るようにベッドの上で白井が頭を抱えていると、その衝撃でベッドの横の棚に置かれていた目覚まし時計がぼとっと落ちてきた。

ごんっという音が部屋に響く。

「――――――――ッ!!」

白井は別の意味で悶え出した。
それを端で見ていたクロは、

「きゅい」

何やってんだか…とでも言うように、鳴いた。

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八月一日 【禁書目録・幻想殺し編】

太陽の光が窓から注ぐ病室に、1つだけあるベッドの上で少年が座っていた。
ベッドの前には1人の少女が立っていた。

「あなた、病室を間違えていませんか?」

左腕以外全身包帯まみれの少年の言葉は丁寧で、不審そうで、様子を探るようだった。

「……、っ」

少女はカエル顔の医者に聞いていた。

――――あれはどちらかというと記憶喪失というより記憶破壊だねぇ。

能力の使い過ぎによる反動。そして、血が足らず死にかけたこと。
それらが重なった事による脳細胞の一部が破壊されているという事実。
それを知っていた少女は無理矢理笑顔をつくろうとした。
せめて、笑っていたい。
悲しい顔など見せたくない。
だから、少女はうまく笑顔を作れたような気がした。
だが、透明な少年は言う。

「あの、大丈夫ですか?なんか君、ものすごく辛そうだ」

少年は軽々と少女の嘘を看破した。
そう言えば、この少年は他人の嘘を見抜くのが得意だった。
それでも少女は嘘を貫き通す

「いいえ、大丈夫ですわ」

爪が食い込みそうな程、手を握りながら、

「大丈夫に決まってますわ」

白井黒子はベッドの上にいる、綾峰唯鷹に言った。

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七月二十七日 弐【禁書目録・幻想殺し編】

「きゅい?」

街の中を歩くクロは首を傾げるような動作をすると、回りを確認する。
そこには誰もいない。
本来ならばこの時間帯であろうとも人足が少なからずあるはずのこの通りもステイルが貼った人払いのルーンによって人通りは完全に途絶えていた。
その中を歩くクロは当たり前のように歩いていく。

ふと、

「――――qw急e」

クロの鳴き声にノイズが走った。

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七月二十七日 壱【禁書目録・幻想殺し編】

数日前、夜が更けるころ、学園都市のどこか。

「よー、ねーちん。元気かにゃー?」

「……土御門。調べはついたのですか?」

神裂は路地の暗闇から出てきた”同僚”の挨拶も返さずに訊ねる。

「ちゃーんと調べてきたぜよ。そんな怖い顔しなさんなって」

「だったら貴方はそのにゃーにゃー言うのをやめなさい」

「これは俺のアイデンティティーだから捨てられないにゃー」

軽く言いながら、土御門はぽすっと神裂に封筒を手渡した。

「これが……」

「ああ、上条当麻に関する書類ぜよ。能力からその身の回りの環境、ストーカーも真っ青な情報までのってるにゃー」

封筒を開くと、中には十数ページにわたる書類が入っていた。
神裂は書類を軽く流し見ると、再度土御門の方を見た。

「なるほど、わかりました。もう一つは?」

「はいよ」

土御門は、もう一つの封筒を手渡した。

「そっちが綾峰唯鷹に関する情報。内容は結構深いとこまで探ったけど、それぐらいしか出なかったにゃー」

神裂が開いた封筒には、上条と違い、僅か、数ページしかなかった。

「これはどういうことですか?」

「さぁ?でもかなり強力なロックがかけられてるってことだと思うぜぃ」

「あの程度の少年にですか?」

神裂は訝しむ、と土御門が言った。

「おいおい、ねーちん。あんた何か勘違いしてるぜよ?」

「? どういう意味です?」

「あれは、上条とは違った意味でやっかいなやつだぜ。せいぜい注意しとくんだな」

「………………」

「それじゃ、俺はこれで。そろそろ帰らんと義妹が怒るにゃー」

そう言ってスパイは去っていった。
路地には神裂1人が残された。

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七月二十六日 【禁書目録・幻想殺し編】

朝、目が覚めると妖怪ジャージ女と幼女がいた。
誰がうまいことを言えt(ry

「「言ってない(じゃん)##」」

何かお二人ともお怒りのご様子。
片方は拳骨を構え、片方は冷気と熱気を両手に………………冷静と情熱のあぢああああああああああああああああ!!!!

あれ?これなんて言う死亡フラグ?

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七月二十五日 【禁書目録・幻想殺し編】

そこは、花畑だった。
綾峰は花々の香しい香りに穏やかな気分を味わいながら一抹の不安を覚えていた。
それは、既視感。
遠くを見れば川のようなものが見える。
その先で誰かが手を振っていた。
少し近づいて目を凝らしてみる。
そこには、白井がいた。
ああ、無事だったんだな。と綾峰は安堵する。
白井をあのAIM拡散力場の塊から抜き出した後、何も覚えていない。
ふと、白井がこっちに気がついたのか、手を振っていた。

「唯鷹さ~ん」

ぶふぁ!!
何かが綾峰の中で弾けた。

「いやいやいやいや、落ち着くんだ、綾峰。落ち着け。白井は単に俺を下の名前で呼んだだけだ。そう呼んだだけ。別に何かこう親しみが込められていたわけじゃない」

「大好きですわ~」

ぶるあああああああああああああああああ!!
何かが綾峰の中で大爆発した。

「落ち着け。これは夢だ。これは夢だ。これは夢だ。前をみろ。現実を思い出せ。白井がこんなことを言うはずがない」

「何言ってんや、峰やん。君はもうこっちにおるんやで?」

「そうにゃ~。現実はこっちだぜぃ。峰やん」

「君も此方側に来たんだ。認めてもらうよ」

首がぎぎぎと不吉な音を立てながら後ろからの声の主を確認する。
そこには、ロリコンデルタフォース(ロリコングラス、ロリコンピアス、ロリコン神父)がいた。
綾峰はダッシュで走り出した。
向こう側をみる。
そこには白井ではなく、上条がいた。

「綾峰ー!!こっちだ!!早くこっちに来るんだ!!」

「かみじょおおおおおおお!!」

綾峰は一気に駆けて行く。
河辺に辿りつくと、慌てて川の中を進んでいく。

「綾峰!!後ろだ!」

「なっ!?」

上条が叫んだ瞬間、綾峰は何かにがしっと足を掴まれる。
水中を見ると、そこには、

「おにーちゃーん。こっちおいでよー」

「そうですわー。こちらにおいでませー」

「綾峰ちゃーん。こっちですよー」

何かお化けじみた年下の女の子(+1名)がいた。

「か、かみじょおおおおおおお」

「あやみねえええええええええ」

もう少しで、上条の手に届く。
そして、

「何をやってるにゃー?」

「ほらほら、こっちやでー」

「逃がさないよ?」

ロリコンデルタフォースが綾峰の肩を掴んできた。

「ぐっそおおおおおおおおおお」

それでも、綾峰は手を伸ばす。
社会的な烙印から逃れるために。

そして、届いた。

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とある科学の後日談集

(…………あれは夢だったんだろうか?)

久々に歩く街の中で、そんなことを思っていた。
特に意識せず歩いていたせいか、回りへの警戒を怠っていた。

「よう」

ぞくり、といつもの感覚が迫ってくる。

(ああ、”全部”元に戻ったのか)

少年は後ろを向く。
そこには少年の同級生である男子生徒が3人。
いつものように、にやにやと嫌な笑い方をしてこちらを見ている。

「また、金がなくなっちまったんだけどさ。金貸してくんね?」

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七月二十四日 四【幻想御手編】

気がつけば、白井が掴まっていた。
黒い塊。
胎児の様でそれでいて醜怪な化け物にも見えるそれは、触手のような物で白井を掴み。

「先……輩……………無事で良かっ」

白井の言葉を満足に聞かせることもなく体内に取り込んだ。

「白………井?」

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七月二十四日 参【幻想御手編】

「さて、お喋りはここらへんにして、そろそろ始めよう。レベル5の『超電磁砲』それに噂の『多重能力者』。どちらが来る?それとも同時に来るかい?私はどちらでも構わないが。

君たちに、一万の脳を統べる私を止められるかい?」
木山は不敵な笑みを浮かべている。

「それじゃ、私が「いや、俺がいこう」……ちょ!綾峰先輩!!?」

「御坂、お前は一般人だ。それはどこであろうと変わらない。一方、俺は風紀委員(ジャッジメント)。なら誰が彼女を止めるべきかはわかるだろ?」

「っく。一般人だからって……」

「頼む、御坂。たまには先輩にいい格好ぐらいさせてくれ。それにお前が怪我したら……」

「怪我、したら…?」

「白井に殺される(ガクブル」

綾峰は本気で震えていた。

「そ、そう。わかったわ。でも危なそうだったら参戦するから」

そう言って御坂は後ろに下がった。

「そいじゃ、始めよう。いや、違うか。

……これで終わらせよう」

「来たまえ」

『多重能力者』と『多才能力者』。複数の能力を使う能力者同士の戦いが始った。

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七月二十四日 弐【幻想御手編】

高速道路を走る車の助手席に初春は座っていた。

「『幻想御手(レベルアッパー)』ってなんなんですか?」

初春は睨むように運転席に座っている人物、木山 春生(きやま はるみ)に訊ねた。

「どうして、こんなことしたんですか?眠った人達はどうなるんですか?」

「矢継ぎ早だな」

そう言いながらも木山は答えを言っていく。

「まず、『幻想御手』だが、あれは複数の人間の脳を一定の脳波にすることで繋げて高度な演算を可能にするものだ」

「繋げる?」

「なに、例えば1人で書類仕事を終えるよりも2人、3人、あるいはもっと多くの人間が一斉に終わらせた方が早く済むだろう?それと同じさ」

「なるほど」

初春の脳裏に風紀委員の書類仕事事情が浮かぶ。
普段は綾峰先輩のみが仕事をしているが、もしも全員でやればもっと早く仕事は終わるだろう。

「それに加えて同系統の能力者は同じ能力者と演算を共有する事で演算の効率も上がる。
 そしてここからはまた別の理論をつかったのだが、確かに能力者同士の脳を脳波を一定にして繋げても同系統の能力者がいないのでは能力の向上は低い。だから、AIM拡散力場を脳の電気信号の補助として利用する事にした」

「まさか、だからAIM拡散力場が収束したんですか!?」

「…?誰からそれを…ああ、なるほど綾峰か。確かに彼にはAIM拡散力場を視ることができるからな。まぁ、彼の関与した実験のデータを元にしたのも事実だよ」

「関与した実験?」

「さて、何で能力者が昏睡するかだが、やはり他人の脳波を強要されるのが原因だろう。なにせ私の脳波だ。私以外の人間では受け付けまい」

「なんでそんなことを…」

「あるシュミレーションが行いたくてね。『樹型図の設計者(ツリーダイアグラム)』の使用申請を出したが、どういうわけか却下されてね。他の演算装置を探していたのさ」

「だから、能力者を…?」

「ああ、一万人程集まったから、たぶん大丈夫だろう」

「!!」

「そんな怖い顔をしないでくれ」

初春の顔を見て木山が言う。

「シュミレーションさえ終われば能力者達は解放するさ」

「………………」

「嘘だと思うかい?……君に預けておくのも面白いかもしれないな」

「?」

木山はポケットからチップを取り出して手錠をしている初春の手に預けた。

「それは『幻想御手』をアンインストールする治療用のプログラムだ。後遺症はない、全て元に戻る。誰も犠牲にはしない」

「臨床実験が充分でないものを安全だと言われても何の保障もないじゃないですか!」

きっ、と木山の勝手な言い草に初春は反論する。

「ハハ、手厳しいな」

「それに一人暮らしの人やたまたまお風呂に入ってた人はどうするんですか?発見が遅れたら命に関わりますよ」

初春の言葉が終わると同時に車が急に暴走した。

「? ? ?」

目が回った初春の横で木山はぼそっと呟いた。

「まずいな…学園都市統括理事会に連絡して全学生寮を見回らせなければ………」

「想定してなかったんですかッ!!?」

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七月二十四日 壱【幻想御手編】

体は 紙で出来ている
血潮は文字で 心はグラフ
幾たびの事務所を越えて不敗
ただ一度の残業もなく、
ただ一度の早退もなし

担い手はここに独り。

書類の山で判子を押す

ならば 我が生涯に インクは不要ず

この体は、 無限の書類で出来ていた

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七月二十三日

綾峰が退院して2日ぶりに風紀委員(ジャッジメント)の事務所に行ってみると、
文字通り書類の”山”がそこにはあった。
既に机は埋め尽くされており、机に乗らない分は椅子の回りを囲うように置かれていた。

「………………あるぇ~?白井?俺って6日前にこの書類の山を消したはずじゃなかったっけ?」

「6日前も同じことを言ってましたわ。それにしてもお怪我はもうよろしいんですの?確か、階段からずっこけたと聞きましたけど」

「いやぁ、単に腰打っただけでもう問題ないってさ」

まさか、レベル4以上の能力者の暴走に巻き込まれたとは言えず、回りには寮で階段から落ちて腰を打ったことになっている。

「まったくこの忙しい時期に入院するなんて、時間さえあればこの書類の山を病室に持っていってやろうかと思いましたわ」

「へいへい。んで?『幻想御手』について何か進展は?」

「特になしですわ。ただ、最近『書庫』とレベルの合わないのをいい事に能力を悪用する輩が増えてますの。あと、昏睡者がこの3日間で更に増えてますわ」

「ったく、『幻想御手』を使ったら昏睡するって噂流しちまえば皆使用をやめる……ってわけはねーよな」

「ええ、それに使用者がそんな噂を聞いたら自暴自棄になって何をしでかすか分かったもんじゃありませんし」

「はぁ、とりあえず退院したての俺にできるのはこの書類との格闘だけ、か。メンドクセー」

綾峰は書類の山に目を向けてがっくりと肩を落とす。

「頑張ってくださいな。私はこれから外を回ってきます」

そう言って白井は鞄を持って外に行こうとする。

「白井、あんま無理はすんなよ?」

「何のことですの?」

「……いや、最近ジャンボウルトラパフェを奢ってないからダイエットに勤しんでのかと思って、あまり若い娘がダイエットダイエットなんて言って……ってあれ?白井?白井さん?白井様?何で手を俺の胸に当てっぐがぶ!?」

白井の『空間移動』によって上下逆転させられた綾峰は頭から床に叩きつけられた。

「まったく、入院してもその失礼な口は変わってないですわね」

はぁ、と呆れながらため息を吐く白井に綾峰が真剣な表情で言った。

「白井、何て言うか。これは避けようがない事態だったから、完全な事故なんだけどさ。1つ言わせて欲しい」

「………?いきなり何ですの?」

「中1のお前にそんな大人パンツは早ぐげっ!?」

鳩尾に蹴りを入れられて綾峰が悶絶する。
白井はスカートを押さえるとそのまま距離を置くと言った。

「と、とにかく私はでかけますので、後をよろしくお願いします!」

そのままダッシュで事務所を出ていった。

「…………たく、1人で無理しやがって」

そう言って綾峰はすくっと立ち上がると、目の前の書類に向かって不敵に笑う。

「白井が外で『幻想御手』使った能力者ども相手に頑張ってるんだ。わりぃがささっと終わらせてもらうぜ」

そう言って綾峰は鷹の目の表情になる。
そこへ、

「あ、綾峰さん。書類追加です」

初春がもう一”山”書類を持ってきた。

「………………メンドクセー」

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七月二十一日

「わかった、ありがとな。初春。データはちゃんと受けとったから……ああ、それじゃ。白井によろしく」

運動変速暴走事件から翌日、綾峰は起きたばかりの体だったが車椅子を駆使して移動して病院の端で電話していた。
今は初春に電話して『幻想御手』という音楽データを受けとったところである。
初め、初春に電話した際はただの音楽ファイルで能力者のレベルを上げられるものなのかと驚いたが、今こうして手にしてみると不思議な感覚だった。

「それにしても、犯人は何が目的なんだ?」

綾峰の言葉は病院内の騒音に消えた。

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日十二月七 弐【置き去り編】

「ふむ、やはりたまには紙媒体の資料にも目を通しておくのも良い事だな」

埃くさい部屋の中で木山 春生は数枚の資料を片手に微笑んでいた。
学園都市では電子情報が基本であるため、現在はほぼ全ての資料がネットワーク上に上げられていた。
そのためこういった紙の資料は”電子情報化待ち”という名目で書庫などに保管されてそれっきりということが多い。
木山が読んでいる資料は本来探していた古い資料と共にたまたま見つかったものだった。

「やはりどこかで聞いたことのある名前だとは思っていたが、こんなところでとはな」

木山は資料の内容に目を通すと、一瞬物憂げな表情になる。

「なるほど彼もまた私と同じか。だが、そうなると本当に可能なのか?こんなことが。それに気まぐれの実験だとしてもこれが完成していたのだとしたら、
何故彼はレベル3止まりなんだ?」

木山は何かを考えるように目をつむる。

「いや、もしかして彼は…………いや」

そこで、木山は自分の推測を鼻で笑うと、

「どちらにせよ、私の思惑に彼は関係ないな。邪魔をするならば潰す。それだけだ」

紙の資料をその場の適当な山に投げ置いた。
資料には、
「AIM拡散力場制御実験:被験者 綾峰 唯鷹」と書かれていた。

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