スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

八月二十一日 陸【一方通行編】

綾峰をクロが丸呑みにした頃、『実験』について何も知らない初春は自身の寮でフライパンを振りながら料理に勤しんでいた。
その横ではルームメイトである春上 衿衣(はるうえ えりい)がその様子を食い入るように見ていた。

「あの、春上さん…」

「どうしたのなの?」

続きを読む ≫

スポンサーサイト

八月二十一日 伍【一方通行編】

「…ここは」

美琴が気が付くと、斜めになったコンテナの上に座っていた。
辺りを見ると美琴のいるコンテナの周りにはレールやコンテナ、そしてぐしゃぐしゃにひしゃげた電車が子供がばらまいた玩具の様に散らばっていた。
操車場の中心に、美琴は飛ばされていたのだ。

「いったい、何だってのよ」

美琴の口から疑問の声が漏れる。

過去の『絶対能力進化(レベル6シフト)』実験の被験者で、今回の実験の成功を狙っている人物。
そう聞かされて本人に問いただせば、救えないの一言だったというのに。
対峙して蓋を開けてみれば、美琴を庇って怪我を負ってその上で美琴を逃がした。
何が本当で何が目的で何が綾峰を動かすのか。
美琴にはまったくわからなかった。

「いったい、何だってのよ…」

美琴の呟きが風のない夜に零れた。
悩み俯く美琴の耳に騒音が聞こえてきた。
顔を上げた美琴の目には数十個以上も散らばったコンテナの向こう側でレールが飛んでいるのが見えた。
上条と一方通行が戦っているのだろう。

同じく、背後のコンテナの山、その反対側からは連続した爆発音が聞こえてくる。
美琴はこの爆発音を一昨日に聞いたばかりだ。
おそらく綾峰と垣根提督が戦っている。

どちらに向かえばいいのか?

美琴のために最強に立ち向かう上条。
美琴を庇って悪魔に立ち向かう綾峰。

進むべきか、戻るべきか。

『とにかく、お前には見届けなきゃいけない戦いがあるだろ』

一瞬の逡巡の後、御坂は爆音に背を向けて走りだした。

続きを読む ≫

八月二十一日 肆【一方通行編】

夏の夜が過ぎる中、とある高校の学生寮の一室で土御門元春は義妹の蕎麦にあやかっていた。

「にゃー、やっぱ夏と言えば蕎麦だぜい」

「この前はそうめんだにゃー、とか言ってたけどなー」

そんな義兄の台詞に茶々を入れたメイド服に身を包む13~14程の少女、土御門舞夏は回る清掃ロボの上で皿洗いをしていた。
舞夏の言葉に元春は、はっとした表情で台所にいる舞夏を見ると言った。

「舞夏。もう一回さっきの台詞を言ってくれ」

「? 兄貴、いったい何を真剣な表情で…」

「良いから!」

尚もいつもは見られない真剣な表情で迫る義兄に押される形で舞夏はもう一度同じ台詞を言った。

「この前はそうめんだにゃー、とか言ってた「それだ! もう一回!」 ?」

舞夏はよくわからぬまま、もう一回同じ台詞を口にする。

「この前はそうめんだにゃー…」

ふと、台詞の途中で義兄が悶えている姿に気がつき、声をかけた。

「兄貴、何やってるんだー?」

「ま、ま、舞夏が『にゃー』って、くぅ、俺はもういつ死んでもかまわないにゃー」

やはりいつもの義兄であることが分かった舞夏は呆れた様子で溜め息を吐き、ふと気になった事を尋ねた。

「そう言えば最近綾峰唯鷹を見ないなー?」

「ハァハァ…舞夏…ハァハァ…」

「……………………兄貴ー、聞こえてるカー?」

「ハァハァ…舞夏…ハァは…ん? どうしたんだにゃー、舞夏? そんな凶悪なフライパン構えて…」

横に来てやっと気がついたのか、元春は舞夏が大きめのフライパンを片手に近づいて来た事に対して疑問を口にした。
ちなみにこのフライパン、世界一大きいメロンすら焼けるという触れ込みで売られていた物だが、舞夏は今までそんな用途で使った事は無かった。
舞夏は笑顔で義兄の疑問に応えた。

「いや、ちょっと兄貴の頭がいかれてきたんだと思ったからこれで直そうかと、思ったんだー」

「いや、待て舞夏。それは直すとかそう言うレベルのものじゃないって聞いてるかにゃー?」

「大丈夫だ、兄貴ー。私が働いてる常盤台中学で良い方法を聞いてきたんだなー」

「良い方法?」

尋ね返す元春の前で舞夏はフライパンを振り上げる。

「うん、『常盤台中学内伝 おばーちゃん式ナナメ四五度からの打撃による故障機械再生法』!!」

「それは機械にやるもnぐふぁ!」

元春の脳天にクリーンヒットしたフライパンがいい音を立てる。

「さて、さっさと片付けて明日の朝食作っておいてやるかなー。 ん?」

再度、台所に立った元春はふと隣の部屋から聞こえてきた物音に耳をそばだてた。

「綾峰唯鷹の部屋から聞こえるなー。帰ってきたのかー?」

しかし、すぐにどうでも良いか、と首を振ると皿洗いを再開した。

続きを読む ≫

八月二十一日 参【一方通行編】

夜になるに連れ染み込む様に流れて来た冷気に、夏という季節でありながら僅かに震えた綾峰は自らの手の平が汗ばんでいる事を自覚した。
ふぅ、と溜め息を漏らし回りを見る綾峰の眼下には百を越える電車が並んでいる。
しかしそのどれもが無人で人の気配も灯りも無い。
操車場、と呼ばれるこの場所は車で言う車庫のような場所だった。
完全下校時刻がそのまま終電という学園都市では比較的早い時刻に操車場からは人が消える。
綾峰が来た時には幾人か残っていたが、それも先ほど事務所の灯りを消して帰って行った。
既に1人となった綾峰は一方通行や御坂妹、そして上条当麻(ヒーロー)と御坂美琴(ヒロイン)が来るのを待っていた。
ここまででやれるべきことは全て終えた。
だから後は待つだけだった。
後は、一方通行と10032号が戦闘を始め、その途中で上条が現れて一方通行との死闘の末に一方通行を倒しハッピーエンド。
それでこの件は終わり。

「終わったら飯でも食うかねぇ」

そんな呟きを漏らした直後、綾峰のAIMセンサーに1人の人物が引っかかった。
透視を使い、感覚が反応する方向へと目を向ける。
既に闇が広がり始める逢う魔が時、その中心に楔を打つ様に立つ白いソレはゆっくりと歩いていた。
学園都市最強の能力者、一方通行(アクセラレータ)。
最強で最狂で最凶な登場人物の入場に綾峰の頬が緩む。

「まずは、1人目ご入場ってな」

瞬間、振り向いた一方通行と、目が合った。

「………え?」

にたり、と赤い絵の具を零した様な赤が一方通行の口に広がる笑みから漏れる。
その口が動き、言った。

『今行くからそこで待ってろよ、変態野郎』

綾峰の笑みが凍った。

続きを読む ≫

八月二十一日 弐【一方通行編】

「またかよ」

原谷矢文は憂鬱な口調と共に溜め息を吐いた。
夏休みも終盤、宿題という夏の魔王を倒すために友人達と勉強会をするつもりで外出したのが今朝。
ちょっと休憩のつもりで飲み物を買いにコンビニに向かって出て来た矢先、原谷が油断するのを待っていたかのようなタイミングで、

「超すごいパーンチ」

『非日常』が彼の目の前に現れた。

続きを読む ≫

HOMENext ≫

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。